【書評・紹介】『ミノタウロスの皿』 藤子・F・不二雄
食べる側と食べられる側。
文化の差、価値観の差。
藤子・F・不二雄が描く傑作SF短編!
| ストーリー | |
| 絵 | |
| キャラクター | |
| 読後感 | |
| 考えさせられる度 | |
| おどろおどろしさ | |
| 独自性 | |
| 電子書籍 | 有り |
| 他のメディア展開 | OVA |
あらすじ
宇宙船の事故で地球と似た星に緊急着陸した主人公は、その星でミノアという少女と出会う。
彼女に助けられ、救助船が来るのを待つ主人公であったが、その星にはある秘密が隠されていた。
書評
藤子・F・不二雄先生のSF短編の一作。
そして名作、傑作。
『ミノタウロスの皿』です。
宇宙船の事故で、主人公は地球と似た星に降り立ちます。
そこで主人公を助けてくれたのはミノアという少女。
その星の文明は宇宙船の開発に至っていないどころか、宇宙から来たことすら理解できない。
生活程度も低く、食卓には草や木の実ばかり。
それでもミノアに助けられ平穏な日々を送っていた主人公は、ミノアの怪我をきっかけに
その星の支配者は人間ではなく牛の姿をした「ズン類」という生物であることを知る。
ミノアは、ズン類のエサになることが決まっている人間によく似た「ウス」という家畜だったのだ。
主人公はミノアを救うことができるのか……。
というストーリー。
本作のタイトルである『ミノタウロスの皿』はそのままの意味です。
地球では、人間が牛を育て、食べている。
しかし、この星では、ズン類がウスを育て、食べている。
人間がエサになる。
地球人の倫理観としては受け入れがたいものです。
でも一方で、我々は普段、家畜の肉を食べ生きています。
立場が入れ替わっただけで、何故受け入れられないのか。
地球とその星とでは食物連鎖が逆のように見えるだけ。
そもそもミノアは人ではなくウスですしね。
要は自分たちとは異なる文化、倫理観を持った星に降り立った主人公の葛藤を描いた作品です。
そんな本作で注目して欲しいのは、
終わり方が秀逸です。
昨今のドラえもん映画を見ていると、想像もつかないですが、
昔のドラえもん映画を始め、藤子・F・不二雄先生もまた藤子不二雄Ⓐ先生同様にブラックユーモアを描かれていた先生です。
その黒さがよくわかる作品であるといえます(他のSF短編もそうですが)。
加えて、文明の発達とはなにかということもまた考えさせられる作品であると思います。
主人公は、惑星間航行ができるほどに科学技術が発達した文明の出身。
片やこの星は、宇宙から来たことすら理解できない文明。
でも、読めばおわかりいただけると思いますが、
ズン類もウスも、主人公と比べればよほど人間ができている。
考えてもみてください。
ある日突然宇宙から地球にやってきた牛型宇宙人が、家畜の牛を食べるのはおかしいと言い始めたらどう思いますか?
そんな主人公を邪見にせず、きちんと話も聞き、賓客として遇するズン類。
どちらが成熟した文明の住人と言えるでしょうか?
気になるのは、この作品を描かれたのには藤子不二雄Ⓐ先生の影響もあるのかな?という点。
というのも藤子不二雄Ⓐ先生はベジタリアンとして知られていました。
もしかしたら、そこから着想を得られたのかなあと。
我々が普段食べている家畜の肉も、見方を変えればすごく深い問題となる。
考察のしがいがあるSF短編。
是非お読みください!
単行本
以下、短編の一つとして収録。
電子書籍
以下、短編の一つとして収録。
dorasyo329
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