【書評・紹介】『友情 平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」、「最後の約束」』 山中伸弥、平尾誠二・惠子
平尾誠二と山中伸弥
五十に手が届くような年齢にして出会った生涯無二の友の話。
平尾氏のことを知らない、山中先生のことを知らない、あるいは二人とも知らない、そんな人が読んでも心を動かされ考えさせられる作品です。
| 読みやすさ | |
| 考えさせられる度 | |
| 感動度 | |
| 専門性 | 低 |
| 他のメディア展開 | 文庫本(改題)、テレビドラマ |
| 電子書籍 | 有り |
あらすじ
2010年、雑誌の対談で初めて出会った二人は急速に仲良くなり、やがて親友と呼べる関係になった。出会ったときはすでに40半ばを過ぎ、二人とも超のつく有名人。でも、そんなことは一切関係なく、ただ気のあう男同士として酒を酌み交わし、家族ぐるみで食事を重ねた。こんな関係がずっと続けばいいーー。お互い口に出さずともそう思っていた矢先、友・平尾誠二に癌が宣告される。山中伸弥は医師として治療法や病院探しに奔走。体調は一進一退を繰り返すが、どんなときも平尾は「先生を信じると決めたんや」と語る。そして、永遠の別れ。山中は「助けてあげられなくてごめんなさい」と涙を流した。
大人の男たちの間に生まれた、知られざる友情の物語。
『友情 平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」』(山中 伸弥,平尾 誠二・惠子)|講談社BOOK倶楽部 (kodansha.co.jp)
書評
この本は対談の企画で出会い、友人となった
iPS細胞の研究によりノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥と
ラグビーの日本代表選手、監督として活躍したミスターラグビーこと平尾誠二の
二人の友情の記録です。
本書は大きく分けて三つの要素からなります。
一つは山中伸弥先生が語る平尾誠二氏との友情。
もう一つは平尾誠二氏の妻、平尾惠子氏が語る平尾誠二氏と山中伸弥先生の関係性。
そして二人の出会いのきっかけとなった未公開部分を含む対談です。
まずはお二人のご紹介を。
山中伸弥先生
もう知らない人はいないと思います。学校の教科書にも載るようになりましたし。
iPS細胞という画期的な細胞の発見、開発しノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
iPS細胞、どこが画期的なのか。
一言で言えば、細胞の時間を巻き戻す技術だからです。
ヒトは最初、受精卵という一つの細胞が分裂、分化することで体になります。
従来、この分化した細胞は他の細胞になることはできないと考えられていました。皮膚の細胞が免疫細胞になることはできないなど。
しかし、山中先生はこの分化した細胞にある遺伝子(山中因子)を組み込むことで、受精卵のようにどんな細胞にも分化できる性質(分化全能性)を持つことを発見したのです。この山中因子を組み込み作成された細胞がiPS細胞です。
この研究によって山中先生はノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
平尾誠二氏
日本のラグビー選手であり、日本代表選手であり、神戸製鋼の総監督や日本代表の監督などを歴任したミスターラグビーと呼ばれる存在です。今でこそ強豪国相手に見事な戦いを繰り広げているラグビー日本代表(ブレイブ・ブロッサムズ)ですが、第一回W杯では勝利を挙げることができず、第二回でやっと初勝利を挙げました。この時のキャプテンが平尾氏です。
しかしその後日本代表はW杯で連敗を続け(2分けを挟んで16連敗)、そして2勝目を挙げたのがあの2015年W杯南アフリカ戦、後にブライトンの奇跡と呼ばれることになるあの試合です。このことからもいかに最初の勝利が貴重であったか、平尾氏がミスターラグビーと呼ばれる所以がわかると思います。
そんな平尾氏の大ファンだったのが、大学時代に自身もラグビーをやっていた山中先生です。そして二人は対談企画で出会い、友人となります。しかしそんな折、平尾氏ががんであることが発覚。平尾氏から相談された山中先生は、専門外の分野でありながら、専門医に意見を聞きに行ったり、同じ京都大学の教授で後に同じくノーベル生理学・医学賞を受賞する本庶佑先生にオプジーボという薬について聞きに行ったり、友を救おうと精一杯努力されます。
その様子が山中先生、そして平尾氏の妻である惠子氏の言葉で語られます。
感動。
この言葉が適切なのかどうか分かりませんが、私はこの本を読んでこの二人の友情に心を動かされました、感動しました、泣きました。
この本はそういう作品です。
そして後半に掲載されている二人の対談。こちらは教養書やビジネス書の類だと思います。
山中先生が影響を受けた本の話、平尾氏が考えるリーダー論など、仕事・勉強・日常生活などにおいて役立てることもできる示唆に富んだ対談が収録されています。
私個人の話をするならば、この本で紹介されていた『仕事は楽しいかね?』という本を読んで起業を決心したので、この本も私の人生に大きな影響を与えた一冊です。
私はこの本を読む前、平尾さんのことを全く知りませんでした。ただ山中先生が書かれた本だから手に取っただけだったのですが、二人の友情にとても心を動かされました。
故に、冒頭にも書いた通り、平尾氏のことを知らない、山中先生のことを知らない、あるいは二人とも知らない、そんな人が読んでも心を動かされ考えさせられる作品となっています。
平尾誠二と山中伸弥
五十に手が届くような年齢にして出会った生涯無二の友の話。
是非お読みください。
単行本
文庫本
『友情 平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」』として刊行された作品が改題されたもの。
電子書籍
dorasyo329
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