【書評・紹介】『日米通貨交渉2000日 大蔵財務官たちの闘い』 野口均
プラザ合意、為替相場安定化の裏には日本の大蔵官僚(財務官僚)がいた。
日本の通貨外交を綿密な取材を元にした臨場感溢れる描写で描くノンフィクション作品。
| ストーリー | |
| 描写 | |
| 読みやすさ | |
| わかりやすさ | |
| 専門性 | 中 |
| 電子書籍 | 無し |
あらすじ
1985年9月のプラザ合意で、その力を世に知らしめた日米の経済官僚たち。それから10年に及ぶ虚々実々の駆け引き、友情、裏切り。通貨外交の最前線で繰り広げられた人間ドラマを描くノンフィクション。
日米通貨交渉2000日―大蔵財務官たちの闘い | 野口 均 |本 | 通販 | Amazon
書評
本書は通貨に関する官僚や政治家の闘いを描いたノンフィクション作品です。
通過。即ち円やドル、マルク(ドイツの通貨、今は廃止されユーロに)のことです。
今でこそ為替市場は変動相場制ですが、昔は1ドル=360円や308円などに固定されている固定相場制でした。
それが1973年に変動相場制に移行し、その後1980年代には1ドル250円の円安ドル高となっていました。
円安ドル高ですから、日米の貿易で見ると日本が有利でアメリカが不利となり経済摩擦が激しくなります。当然アメリカは黙っておらず、国内で保護主義が台頭。
アメリカが保護主義政策に移行して困るのは日本ですから、日本政府はとにかくドル高を収め円高へと誘導を試み。というところから物語が始まり、その後はプラザ合意、ルーブル合意、ブラックマンデー、日米構造協議、ソ連崩壊、日本のIMF出資比率引き上げと来て、湾岸戦争のあたりまでが本書の内容です。バブル崩壊も語られます。
本書の専門性は中であると書きましたが、高校の現代社会レベルの知識があれば普通に読める程度です。
もちろんより詳細に理解するためには更に事前知識があった方が良いでしょうが、絶対に必要というわけではありません。
円高、ドル高などの為替、インフレやデフレなどの景気、利上げ・利下げに代表される中央銀行の役割など経済の基本がわかっていれば十分です。
理解が難しいと思われるところに関しても都度著者が解説してくれているので問題ありません。
そんな本書の魅力は何といってもその臨場感でしょう。
著者による丹念な取材によって国内調整や外交が事細かに、そしてとてもリアルに語られています。
前述のように読むのに多少の経済知識が必要とは言え、作品としてとても面白いです。
そしてタイトルにもあるように、本書は大蔵財務官(現財務省財務官)らの闘いを描いたものであり、誰か特定の主人公がいるわけではありません。
が、大まかには
大場智満財務官
→行天豊雄財務官
→内海孚財務官
と主人公(視点)が入れ替わっていく感じです。
特に中盤以降は内海孚財務官の視点から話は進んでいきます。
もちろん他にも主たる登場人物として
大蔵省:山口光秀事務次官、吉野良彦事務次官、柏木茂雄財務官室長
政治家:竹下登大蔵大臣、宮澤喜一大蔵大臣、橋本龍太郎大蔵大臣
日本銀行:澄田智総裁、三重野康副総裁
アメリカ:ジェイムズ・ベイカー財務長官(国務長官)、リチャード・ダーマン財務副長官、デイビッド・マルフォード財務次官補、ニコラス・ブレイディ財務長官、ポール・ボルカーFRB議長、チャールズ・ダラーラ財務次官補
などが登場します。
金融政策が主題ではありますが、前述のように日本のIMF出資比率引き上げや日米構造協議、湾岸戦争の財政負担問題など、当時の財務官が関わった問題が全て語られています。
大臣と官僚の関係、省庁同士の関係(所謂縦割り)、日米関係、自民党と内閣の関係、日銀と大蔵省の関係なども赤裸々に語られています。
例えば日米双方がお互いの選挙に気を使って行動したりとか。
プラザ合意、為替相場安定化の裏には日本の大蔵官僚(財務官僚)がいた。
日本の通貨外交を綿密な取材を元にした臨場感溢れる描写で描くノンフィクション作品。
是非お読みください!
単行本
dorasyo329
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