【書評・紹介】『ラルース ギリシア・ローマ神話大事典』 ジャン=クロード・ベルフィオール
第56回日本翻訳出版文化賞受賞!
現存するギリシア神話・ローマ神話の事典の中で最も優れていると断言できる一冊。
| わかりやすさ | |
| コストパフォーマンス | |
| 項目数 | 約2500 |
| ページ数 | 1039ページ |
| 電子書籍 | 無し |
著:ジャン=クロード・ベルフィオール
主幹:金光仁三郎
訳:小井戸光彦、本田貴久、大木勲、内藤真奈
内容
ギリシア神話・ローマ神話の全貌を網羅した最新・最大の事典。項目数約2500。文芸作品からの引用や豊富な図版などで、神々や英雄たちの世界を生き生きと蘇らせる。
■本事典の特色
ラルース ギリシア・ローマ神話大事典 – 株式会社大修館書店 (taishukan.co.jp)
・項目数約2500。神や英雄のみならず、地名や文芸作品、ギリシア・ローマの文化など、関連項目も豊富に収録
・文献によって解釈が異なる異同(ヴァリアント)も網羅した詳しい解説
・神や英雄の生きた姿を伝える文芸作品からの引用も随所に収録
・「宗教」「祝祭と競技会」「女性」などの重要なテーマについては、特設ページで重点的に解説
・カラー口絵32ページの他、本文にも300点余の図版を収録
・索引完備(日本語、英語、仏語、図版)
受賞歴
第56回 日本翻訳出版文化賞 受賞
書評
大事典の書評とは一体…
ということはさておき、本書はギリシア神話・ローマ神話の大事典です。
『Jean-Claude Belfiore, Grand dictionnaire de la mythologie grecque et romaine, Larousse, 2003 pour la premiére édition, 2010 pour la présente édition』を5人の訳者が日本語に翻訳したものになります。
まずはギリシア神話、ローマ神話について簡単に。
と言ってもまあその名のとおり、古代ギリシア、古代ローマで信仰されていた宗教のことです。
日本神話と同じように多神教で、神々が個性を持ち、数々の物語から構成されている神話です。
ギリシア神話とローマ神話。
諸説ありますが、元々は別個の宗教、神話でした。
しかしある時からローマ神話がギリシア神話の影響を受け始め、ローマの神々をギリシアの神々と同一視したり、ギリシア神話から神様を輸入したりなど、深く関係するようになりました。
例えばギリシア神話の最高神ゼウスはローマ神話ではユピテル(ジュピター)。
その妻へーラーはローマ神話ではユノ(ジュノー)。
ポセイドンはローマ神話ではネプトゥヌス(ネプチューン)。
アテナはローマ神話ではミネルヴァ。
など。
ということもあって、ギリシア神話はローマ神話と同列に扱われることが多く、本書でもその両方の神を扱っています。
なお神々が同一視されてきたと前述しましたが、本事典では例えばゼウスとユピテルなどはきちんと別項目で扱われ、ギリシア神話でのゼウスとローマ神話でのユピテルのそれぞれの神話がわかるようになっています。
そんな本書の素晴らしいところは、やはりその項目数にあると思います。
その数2500以上。
ギリシア神話、ローマ神話の大半の神々から、「デルポイ」、「クレタ」などの地名、「イリアス」、「アエネイス」などの文学作品、他「奴隷」などの社会的用語など、神話・歴史の両面から多くの語が収録されています。
また、それに伴いこれまた多くの図版も収録されており、切っては切り離せないヨーロッパ美術と神話の関連もよくわかるようになっています。
そしてそうした神話や図版の引用ももちろんきちんと記述されており、この神話の部分はどこの文献から引っ張ってきたのかがひと目で分かります。
以上のように、ギリシア神話・ローマ神話を知る上ではとても有用な事典であり、少なくとも現状日本語で存在するギリシア神話・ローマ神話の事典では最も優れているものと断言できます。
ただ結一惜しむらくは、シュロスのペレキュデースによる神。即ち、クロノス(Chronus、時の神)などが掲載されていない点。
確かに、ある種偽典から生まれた神ではありますが、個人的には収録して欲しかった…。
しかし、そんなものはまた別の書籍で読めば良いこと。
ギリシア神話・ローマ神話をさらにより深く日本語で知りたい人々にとって、これ以上の本は存在しません。
価格は22000円と事典類の例に漏れずお高めですが、内容を鑑みれば、むしろ安いくらいです。
これだけの書籍を日本語に翻訳して2万円台。めちゃくちゃお得だと思います。
そして懸念すべきはいつまで販売されているかという点。
専門書籍ですから、少部数・高価格が常。増版するのかもわかりません(2021年12月に購入した時点では初版でした)。
2020年6月に出版された本書。いつ入手できなくなるかもわかりません。
ギリシア神話・ローマ神話をより学びたい、知りたいと思っている方。
あるいは小説や漫画の執筆などでギリシア神話・ローマ神話の知識を必要とされる方。
少しでも欲しいと思われるのであれば即購入されるべきです。
あとで買おうと思ったら絶版なんてよくある話です。
第56回日本翻訳出版文化賞受賞!
現存するギリシア神話・ローマ神話の事典の中で最も優れていると断言できる一冊。
是非お読みください!
単行本
dorasyo329
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