【書評・紹介】『三日間の幸福』 三秋縋
寿命を買い取ってもらった。一年につき、一万円で。
| ストーリー | |
| 描写 | |
| キャラクター | |
| 感動度 | |
| 独自性 | |
| 電子書籍 | 有り |
| 他のメディア展開 | コミック |
あらすじ
どうやら俺の人生には、今後何一つ良いことがないらしい。寿命の“査定価格”が一年につき一万円ぽっちだったのは、そのせいだ。
未来を悲観して寿命の大半を売り払った俺は、僅かな余生で幸せを掴もうと躍起になるが、何をやっても裏目に出る。空回りし続ける俺を醒めた目で見つめる、「監視員」のミヤギ。彼女の為に生きることこそが一番の幸せなのだと気付く頃には、俺の寿命は二か月を切っていた。
三日間の幸福 三秋 縋:文庫 | KADOKAWA
書評
私の聖書の一冊と言ってもいい作品です。
この作品はあらすじの通り、残り30年と3ヶ月の余命を1年につき1万円で買い取ってもらった男、クスノキの残りの人生のお話です。
この寿命の買取制度では、買い取ってもらった人物が残り1年を過ぎた頃から自暴自棄に問題行動を起こすことから、そうした問題に対処するために常時監視員がつきます。
話はクスノキとこの監視員ミヤギの二人を軸に進んでいきます。
みなさんは、寿命を買い取ってもらえるとしたらどうするでしょう?
売りますか?売りませんか?それとも値段によりますか?
私はクスノキ同様売ると思います。
クスノキの言葉を借りるのなら
ひょっとしたら、いつかいいことがあるかもしれないという浅はかな期待を抱くよりも、今後、お前の人生にいいことは起こらないと断言してもらったほうがありがたい。
冴えない人生だったが、死を覚悟してからの三ヶ月だけは、それなりに幸福だったと最後に思えるような人生を過ごしたい。
からです。
長生きしたっていいことがあるかはわからない。
ならば寿命が尽きるまでの短い間、未来への不安など一切抱かずに遊びたい。長生きする幸せよりも、たとえ短い間であったとしても楽しい時間を過ごす幸せを私は選びたい。
しかし、寿命を買い取ってもらい、残りの時間を幸せに過ごそうと思ってもそう上手くはいきません。
寿命が明確になったところで劇的に自分の何かが変わるわけでもありませんし。
残された最後の時間をクスノキは何に使おうをと思い、何に使い、どうなったのか。
この本の題名である「三日間の幸福」は何を意味するのか。
この作品の素晴らしいところはそれが描かれる終盤だと思います。
クスノキの決意が、気持ちの強さが色々な人々を、そして自分自身さえも変えていく。
寿命を売り払った序盤、色々と考え自暴自棄にもなった中盤。それらは全てこの感動の結末へ繋がるための伏線だったのです。
ストーリー、設定、描写、キャラクター、感動度etc…..。全てにおいて高評価をつけたい、つけざるを得ない。
三秋縋先生らしい体験したことはないけれど何故か共感できてしまう描写によって表現された一つの幸福の形。それが本作のあらましです。
装画は前作『スターティング・オーヴァー』に引き続き、E9L先生が担当。
今、幸せな人にも、不幸な人にも、幸せが何かわからない人にも、皆さんに読んでいただきたい。
人生の価値とは、幸福とは、寿命を売り払った先でクスノキが行き着いた答えとは。
『三日間の幸福』、是非お読みください。
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