【書評・紹介】『杉下右京のアリバイ』 碇卯人

2022年8月19日小説,警察小説,探偵小説,ミステリー映画(実写),テレビドラマ,鳥飼否宇(碇卯人),イギリス,香港

ドラマとはまた違った杉下警部が描かれるノベライズ本
題材は「アリバイ」
相棒好きなら絶対に読んでおきたい推理小説!

著者:碇卯人

ストーリー
描写
キャラクター
推理の意外性
電子書籍 有り
他のメディア展開 テレビドラマ、実写映画、ゲーム、演劇

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あらすじ

休暇でロンドンを訪れた杉下右京が、殺人事件の容疑者と間違われたことから捜査に関与する「奇術師の罠」、香港の連続殺人鬼の完全犯罪を暴く「シリアルキラーY」の2編を収録。「相棒」オリジナル小説第4弾!

朝日新聞出版 最新刊行物:書籍:杉下右京のアリバイ (asahi.com)

書評

皆様ご存知、2000年からテレビ朝日系列で放送されている『相棒』のノベライズ本です。
主人公はもちろん杉下右京。
ドラマとはまた違った杉下警部の一面を見ることができます。

もちろん、『相棒』を見たことがない方でも十分楽しめる推理小説です。
しかしやはり『相棒』のあらましだけでも知っていた方が面白いので、読む前に『相棒』という作品の概観だけでも調べてみてください。

なお、前作『杉下右京の密室』を読まずとも1話完結故、問題ありません。
一方、時系列通りに読みたいのであれば事件簿を読んだ上で本作を読むことをおすすめします。

さて、本作『杉下右京のアリバイ』は『奇術師の罠』と『シリアルキラーY』というアリバイトリックを題材とする2つの話からなります。
どちらもドラマ、映画の脚本にはなっておらず、ノベライズ本独自のストーリーです。
詳細は各話の書評にて。

奇術師の罠

時間軸は不明です。
ロンドン五輪(2012年)の直前、休暇中でロンドンを訪れたとのことなので、恐らくSeason10-19話で神戸くんが特命係を去ってから、Season11-1話でカイト君がやってくるまでの間と思われますが断定できません。

舞台はイギリス、ロンドン。
殺人事件の容疑者と間違われ、スコットランド・ヤードで研修をしていた頃の教官にも再会し、捜査に加わることになった杉下警部。
容疑者として奇術師の日本人が浮上するが、彼は事件が発生したときバーミンガムにいた。
しかもその時公演中で、テレポートしてロンドンを訪れたと言う。
杉下警部はこのトリックを解けるのか…というお話。

内村刑事部長らもおらず、しかもロンドン市警が協力してくれるといういつもの妨害というかがない中で杉下警部の推理能力が遺憾無く発揮される推理小説です。
特筆すべき点は今まであまり語られてこなかった杉下警部のスコットランド・ヤード研修自体が伺える描写があること。教官役であったハンブルビー警部も主要キャラとして登場するなど、相棒ファン必見の推理小説です。

シリアルキラーY

同じく時間軸は不明。但し、ロンドンから香港に来たとの言及があるため、恐らく『奇術師の罠』直後のお話。
舞台は前述の通り香港。
警察官が容疑者を射殺する場面に遭遇した杉下警部は事件へと巻き込まれていくことに…。

このお話で1話限りの相棒となるのは、香港警務のビビアン・ウォン督察(日本でいうところの警部補)。
杉下警部と同様独断専行のきらいがありますが、そそっかしいところもあるなど完全に同類とは言えない警察官。
この2人がシリアルキラーYと呼ばれる連続殺人犯に挑んでいきます。

欠点があるとすれば推理の意外性が薄い点。
少し見え見えではと感じました。

総評

ドラマと変わらず、杉下警部がらしさ全開で事件を解決していく推理小説です。
前作、『杉下右京の密室』は密室事件という題材で描かれていましたが、こちらの題材は「アリバイ」。
どちらも海外を舞台にアリバイトリックを題材とした推理小説が描かれます。

ドラマとはまた違った杉下警部が描かれるノベライズ本。
相棒好きなら絶対に読んでおきたい1冊です。
是非お読みください!

単行本

文庫本

電子書籍

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自称システムエンジニアのくせに、農学系の地方国立大に通うおかしな生き物。 ひつぎ教育研究所社長。 好物は恋愛小説と生物学、哲学。BL以外はなんでも読む雑食。 一応、将棋のアマ三段。