【書評・紹介】『幼女戦記 1 Deus lo vult』 カルロ・ゼン

2022年5月23日小説,ダークファンタジー,異世界もの,異世界転生(小説),解釈のしがいがある物語,SF小説,戦記小説,バトル・アクション,ファンタジー,ライトノベルアニメ映画,テレビアニメ,カルロ・ゼン,篠月しのぶ

唯一無二を行く異世界転生系SFファンタジー戦記ライトノベル。
幼女という言葉に騙されるな。

幼女戦記1巻の表紙

著者:カルロ・ゼン
イラスト:篠月しのぶ

シリーズの紹介はこちら

ストーリー
描写
キャラクター
続きが気になる度
独自性
電子書籍 有り
他のメディア展開 コミック、テレビアニメ、アニメ映画、オーディオブック
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あらすじ

戦争の最前線にいるは幼い少女。

「幼女戦記 1 Deus lo vult」 カルロ・ゼン[新文芸] – KADOKAWA

受賞歴

BOOK☆WALKER大賞2017 大賞

書評

異世界転生系SFファンタジー戦記ライトノベル。
一言で表すとそんな感じの小説です。

それにしてもあらすじ。
「戦争の最前線にいるは幼い少女。」
いやそうなんですけど、これはちょっとねえ。。。

ということで簡単なあらすじを。

時は現代、日夜仕事に励む人事勤務の30代エリート社畜。
そんな彼は持ち前の他者を顧みない性格もあって殺されてしまう。
しかし、気が付くと目の前には神を名乗る老翁がいた。
神は男の、ひいては現代人の信仰心の無さを嘆き、「科学の世界で、男で、戦争を知らず、追い詰められていない」から信仰心がないとし、それとは真逆の世界へ男を転生させた。

世界は変わり、1900年代初頭の欧州と似た魔法が存在する異世界。
一人の赤子が生を受ける。
名をターニャ。
場所は帝国「ライヒ」。合理主義を突き進む新興の軍事国家。
魔力適性があった彼女は、貧しい孤児院の生活から抜け出すため軍に入り、7歳で士官学校を卒業し、戦争へと巻き込まれていく。
というお話。

『幼女戦記』というタイトル付けられてはいますが、中身は30代の合理主義的エリートサラリーマン。中身も完全な戦記小説で、「幼女」という単語から連想されるようなイメージは皆無です。

その上でジャンルについて少し。
神がいて転生後の世界には魔法がある。この時点でファンタジーであることはご理解頂けると思います。
では何故SFもつけたのか。
それはこの世界観において、魔法が科学的に解明されようとしているからです。
実際物語にも科学者(マッドサイエンティスト)が登場し、魔法を科学します。

そして肝心の書評。
まず戦記の部分については、実際の歴史なども参考にしており、リアリティのある戦記小説となっています。
また、主人公が合理主義者なエリートサラリーマンだったこともあって、経済学的な考察が展開され、その点でも面白いです。
そして、経済や軍事などを学んだことがない読者も安心。
注釈に著者による用語の解説が設けられており、思わずクスッときてしまう面白さがあります。

戦闘に関しても、魔法があるとは言え、中身は実際の歴史上の戦争そのもの。
一次大戦における潜水艦や昨今のドローンなど、ある種の新兵器というくらいに思っていただければ良いかと。

更に特筆すべき点として、かなり独特な地の文。
ライトノベルに分類される本は、その特性としてある種自由な地の文で書かれているものが多いですが、この本がその自由さのベクトルが違います。
言うなれば、軽い地の文を目指したのが一般のライトノベルとするならば、こちらは重い地の文を指向した作品。
この1巻は400ページほどあるのですが、ライトノベルの400ページとは思えないくらい重厚感のある地の文となっています。

既存の戦記小説に飽きが来ている読者にとっては、異世界転生系であることも含め、ある種の新境地を開拓できる作品であると私は思います。

なお、副題の「Deus lo vult」。
ラテン語で「神がそれを望まれる」といった意味合い。
この物語は戦記小説であり、戦争が一つの軸ではあるのですが、もう一つの軸はこの神。
合理主義者が神という非合理的な存在(作中では「存在X」と呼ばれます)によって異世界に転生させられ、しかも戦う羽目になったのですから、その怒りたるや。
この存在Xと主人公・ターニャのある種の戦いがもう一つの軸となっており、物語の面白さを更に際立たせています。

唯一無二の異世界転生戦記ライトノベル。
是非お読みください!

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単行本

電子書籍

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自称システムエンジニアのくせに、農学系の地方国立大に通うおかしな生き物。 ひつぎ教育研究所社長。 好物は恋愛小説と生物学、哲学。BL以外はなんでも読む雑食。 一応、将棋のアマ三段。