【書評・紹介】『NHK「100分de名著」ブックス マキャベリ 君主論』 武田好
冷酷や権謀術数といった『君主論』に対するイメージを一変させる解説書
マキャヴェッリの言いたかったことが明らかに
| わかりやすさ | |
| 読みやすさ | |
| 専門性 | 低 |
| 電子書籍 | 有り |
| 他のメディア展開 | テレビ |
概要
慎重であるより、果断であれ
NHK「100分de名著」ブックス マキャベリ 君主論 | NHK出版 (nhk-book.co.jp)
権謀術数の書として物議を醸し、現代では帝王学として切り貼りされがちな『君主論』。しかし、それが政庁への再雇用を求めて権力者に献呈された論文だったことはあまり知られていない。ルネサンス期のフィレンツェで書かれた、乱世を生き抜く政治哲学を紹介する。
書評
この本は、NHKの放送を基にしたNHK「100分de名著」シリーズの一冊です。
マキャヴェッリ(マキャベリ)、君主論、あるいはマキャヴェリズム(マキャベリズム)。
高校の世界史や公民科目で扱うこともあり、どちらも聞いたことはあるという人は多いと思います。
しかし、実際に読まれたことのある方は少ないのではないでしょうか。
また、読まれた方もビジネス書的なものを読まれたなど、純粋に君主論自体の解説を読まれた方は少ないと思います。
この本は一般的なマキャヴェッリに対するイメージ、冷酷や権謀術数といったマイナスなイメージを打ち払うものです。
君主論が書かれた背景、マキャヴェッリの人生など明らかにしつつその本質に迫っていっています。
まずは、マキャヴェッリと君主論について簡単に。
マキャヴェッリは15世紀から16世紀にかけてのフィレンツェ共和国(かつてイタリアにあった小国)の外交官です。
隠遁後、政治から軍事、歴史、果ては喜劇に到るまで様々な著作を残したことで知られています。
そのうちの一つが『君主論』。
『君主論』は君主の在り方などに言及し、近代政治学の始まりの書とも呼ばれている本です。
その理由は当時一体となっていた政治と宗教、倫理を切り離し、現実主義的な考察したことから。
しかし、その一方で「国を維持していくためには、冷酷非道な手段や裏切りなどもあって当然」、「人は嘘つきであり信用してはならない」などとも書かれているため、冷酷な書、権謀術数の教科書といった評価もなされています。
しかし、この本は君主論が書かれた背景やマキャヴェッリの人生を明らかにすることで、そうしたイメージを払拭し、マキャヴェッリが何を言いたかったのかを解き明かそうとする本です。
例えば、君主論はマキャヴェッリが政治・外交の舞台に戻るために、当時力を持っていたメディチ家の当主に再就職のために出す小論文という目的で書かれたということが明かされています。
ただ読むのと再就職のためにに書いたものだということを知った上で読むのとでは、読後に抱く感想が変わってきますよね?
この本は『君主論』の解説ではなく、むしろそうした『君主論』、マキャヴェッリに対する現代の誤解を解こうとしているようにすら読んでいると思えてきます。
何より著者の武田好先生は政治学の専門家ではありません。
イタリア語の専門家の方です。
つまり『君主論』やマキャヴェッリの他の著作、手紙などを読むことでマキャヴェッリの考えを理解し、それを解説しようとされているということ。
こう聞くと他の『君主論』の解説とは少し違うということがおわかり頂けると思います。
この本の後半では、その武田好先生と元外交官の東郷和彦氏の対談が収録されており、当時の外交と現代の外交について興味深いお話が描かれています。
冷酷や権謀術数主義と言った『君主論』に対するイメージを変える一冊。
是非お読みください!
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