【書評・紹介】『女ともだちと結婚してみた。 1~3』 雨水汐

2023年2月20日漫画,GL(百合),青年漫画,大人(恋愛),日常系漫画,恋愛漫画

ともだち同士で結婚した2人の女性の日常を描いた物語
ほのぼのや幸せといった言葉が似合う作品

著者:雨水汐

ストーリー
キャラクター
ほのぼの度
独自性
電子書籍 有り
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あらすじ

「5年後お互い独り身だったら結婚しよう」
そんな友達との約束が実を結び、結婚することになったくるみと瑠璃子。
恋人だったわけじゃない"ともだち"同士の二人の結婚生活は、何から何まで初めてづくし。
薬指の指輪がしっくりくるのか、こないのか、それはこれからの二人しだい……。

一迅社WEB | インフォメーションポータル | 書籍情報 | 女ともだちと結婚してみた。(1) (ichijinsha.co.jp)

書評

友人に対する好きと恋人に対する好きに違いはあるのでしょうか。
友情恋愛感情の違いは何なのでしょうか。

タイトルそのままのお話です。

「5年後お互い独り身だったら結婚しよう」の言葉通り、結婚した2人。
そこに好きという気持ちはあるものの、それはやはりともだちに対する好意……?

結婚したことによって2人の関係性は友達から変わっていくのかいかないのか。
ともだちとして結婚した2人の日常と共に、変わっていくかもしれない2人の関係性を描いた漫画です。

友情恋愛感情の違いとは何か。

LikeLoveの違い。
社会科学や心理学において、古くから議論されてきたことです。

1970年、Rubinは友情恋愛について

友情とは、相手を好ましい人物であると見なし、尊敬や信頼感を持ち、自己との間に類似性を認知した状態
恋愛とは、相手に対する身体的・情緒的欲求と相手の幸福や欲求に対する積極的援助と関与、互いの親密なコミュニケーションから形成される
Rubin, Z. 1970 Measurement of romantic love. Journal of Personality and Social Psychology,16,265-273.

と、
また、BerscheidとWalsterは1974年、友情恋愛の違いについて

(1)友情は現実報酬によって強化されるが、恋愛は将来的な架空報酬によっても強化される
(2)友情は時間的経過に対して安定しているが、恋愛は一時的な要素が強い
(3)友情は欲求が阻止されると衰退するが、恋愛は欲求阻止(苦悩など)によっても強められる
Berscheid, E. & Walster, E. 1974 A little bit about love, In T. L. Huston(Ed.), Foundations of interpersonal attraction. Academic Press, 355-381.

と指摘しました。

では、この物語における2人はどうなのか。

お互いに、「相手を好ましい人物であると見なし、尊敬や信頼感を持っている」ことは疑いようがありません。
高校時代から25歳になるまで友人であり続けていることから、「時間的経過に対して安定している」とも言えます。

でもその一方で、
「相手に対する情緒的欲求(一緒の時間を過ごしたいという親和欲求)」や「相手の幸福や欲求に対する積極的援助」も描写されていますし、
「欲求阻止(苦悩など)によって強められる」想いも描かれています。

私個人の感想としては、この2人の想いは友情恋愛の狭間なのかなと。

確かな友情はある。しかし、それが恋愛感情に変わるかどうかはまだ定かじゃない。
その2人の互いに対する想い、その変化を2人の日常と共に楽しめるのが本作です。

と、ここまでつらつらと書いてきましたが、友情恋愛の違いなんてどうでもいいちゃどうでもいいんです。

そもそも、友情恋愛も人為的区分でしかありません。
十人十色、千差万別。
人同士の関係性の数だけ、好きという気持ちの数もあるはずなんです。

この物語が、この2人の関係性が
友情恋愛といった一般的な概念に着地するかは、現時点ではわかりません。

むしろこの作品は、2人の日常と共に、ともだち同士で結婚した2人の関係性がどのような形になるのかを楽しむ物語でもあると私は思います。

ともだち同士で結婚した2人の女性の日常を描いた物語。
ほのぼのや幸せといった言葉が似合う作品です。
是非お読みください!

単行本

電子書籍

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自称システムエンジニアのくせに、農学系の地方国立大に通うおかしな生き物。 ひつぎ教育研究所社長。 好物は恋愛小説と生物学、哲学。BL以外はなんでも読む雑食。 一応、将棋のアマ三段。