【書評・紹介】『とある飛空士への追憶』 犬村小六
姫を守り1万2千キロを単機敵中翔破せよ
流民上がりの傭兵飛空士シャルルに発せられた指令
「空の上では身分など関係ない」
飛空士シリーズはここから始まった
恋と空戦を描く犬村小六の真骨頂がここに
| ストーリー | |
| 描写 | |
| キャラクター | |
| 感動度 | |
| 独自性 | |
| 電子書籍 | 有り |
| 他のメディア展開 | 新装版、オーディオブック、 コミック、アニメ映画 |
あらすじ
「美姫を守って単機敵中翔破、1万2000キロ。やれるかね?」
とある飛空士への追憶、犬村小六、小学館 ガガガ文庫
レヴァーム皇国の傭兵飛空士シャルルは、そのあまりに荒唐無稽な指令に我が耳を疑う。
次期皇妃ファナは「光芒五里に及び」美しさの少女。
そのファナと自分のごとき流れ者が、ふたりきりで会場翔破の旅にでる!?
――――圧倒的攻撃力の敵国戦闘機群がシャルルとファナのちいさな複座式水上偵察機サンタ・クルスに襲いかかる!
蒼天に積乱雲がたちのぼる夏の洋上にきらめいた、恋と空戦の物語。
受賞歴
このライトノベルがすごい! 2009 第10位
2009大学読書人大賞 第2位
など。
書評
この作品は、言ってしまえば「皇子の婚約者である姫を一人のパイロットが送り届ける」ただそれだけの物語です。ただそれだけの物語なのですが、それだけで終わらないのが犬村小六先生のすごいところで…。
舞台は神聖レヴァーム皇国と帝政天ツ国の二大国が支配する世界。
二カ国の間の大洋には大瀑布という高低差1300mの滝が横たわる。
二カ国間で勃発した中央海海戦の最中、レヴァーム皇国の皇子の婚約者である姫を天ツ国の攻勢の中大瀑布を超え本国へ送り届けよ。
流民上がりの飛空士・シャルルはそう命じられ、姫と二人水上偵察機サンタ・クルスで出発します。
あらすじにもあるようにこの物語は恋と空戦の物語です。
そう、恋です。
まあ年頃の男女が数日間生死を共にすればそうなってしまうのが人間なわけで。
しかし、姫ファナには婚約者がいるわけで。
シャルルにとってはファナを無事に送り届けるということは、それはファナとの別れを意味するもので。
身分違いの恋。叶わないとわかっている恋、そうした葛藤、そして繰り広げられる空戦。
そして訪れる結末。
果たして二人は無事にたどり着けたのか、二人の恋の行方は。
もうこれだけで面白いと思うのですが、この作品、このシリーズの魅力はやはり空戦。
追う天ツ国の戦争機、逃げる偵察機。そして繰り広げられる1VS1の空戦。
犬村小六先生の緻密で臨場感のある描写が読者を空戦へと導きます。
この戦闘シーンが本作の一番の見所だと思います。
そして、この作品で一番読んでほしい部分は終章です。
最後の4ページにこの作品の、この物語の、このタイトルの、そしてシャルルとファナの思いの、その全てが集約されています。
終盤に一気に伏線をどばーっと回収する作品は珍しくないですが、この『とある飛空士への追憶』はその回収の仕方が見事としか言いようがありません。
そして忘れてはいけないのが本作の続きを描いた『とある飛空士への夜想曲』。対になる作品と言っても過言ではないシリーズ第三作なのですが、この作品の伏線すらも既に本作に含まれています。
最初から意図してなのか、後から伏線ではなかったところを伏線としたのかわかりませんが、シリーズが始まる第一作としてはもう文句のつけ用がありません。
『とある飛空士への恋歌』、『とある飛空士への夜想曲』、『とある飛空士への誓約』
飛空士シリーズはこの一冊から始まった。
姫を守り1万2千キロを単機敵中翔破せよ。
姫と飛空士の許されない恋と空戦の感動の物語。是非お読みください。
文庫本
新装版
文庫本に加筆修正されています。
電子書籍
dorasyo329
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