【書評・紹介】『わたしの恋人』 藤野恵美
誰もが一度は経験したであろうあの初恋の甘さ、苦さを丁寧に描写した
文句のつけようがない王道恋愛小説
| ストーリー | |
| 描写 | |
| キャラクター | |
| 幸福度 | |
| 独自性 | |
| 電子書籍 | 有り |
| 他のメディア展開 | 単行本、文庫本 |
あらすじ
彼女いない歴=年齢、高校1年生の龍樹は、保健室で出遭った女の子の「くちゅんっ」というくしゃみに恋をした。そんなに可愛いなんて、反則だろ。龍樹から告白された森せつなは、ちょっと不安になる。「本物のわたしを知ったら彼は幻滅するかも」。つきあい始めた二人、些細な行き違い。しかしのびのびと育った龍樹に触れ、頑ななせつなの心が次第にやわらいでゆく――。爽やかな初恋、駆け抜ける青春。永遠のラブストーリー。
わたしの恋人 藤野恵美 角川文庫
書評
はい。私dorayo329が大好きなもしかしたら今どこかで本当に紡がれているかもしれない恋の物語。特にこの作品は、本当の本当に今もどこかで起きているかもしれない恋のお話です。
あらすじの通り、主人公龍樹は保健室で女子のくしゃみを聞き恋に落ちます。
みなさん、初恋を思い出してください。意識するようになったきっかけって些細なことじゃありませんでした?
手を握られたからとか、メールアドレスを聞かれたからとか。
そんな私の黒歴史は置いておいても、中高生が恋に落ちるきっかけなんて些細なことだと思うんです。
そして気が付けばその相手のことを探したり、相手のことが知りたくなったり、話せるだけで嬉しくなったり。
そして告白。まあ、初恋は告白もできずに終わるなんてことはザラだと思うのですが(私もそうだったのでそう思いたい)、本作の主人公は経緯はどうあれ告白します。
ここからはヒロインせつなのターン。
実際問題、告白されて初めて意識するっていうのはよくある話だと思うんです。今までは特になんとも思っていなかったのに、告白されてからは何か気になってしまう。
そんなこんなで二人は付き合い始めます。
初めて手を繋いだり、初めてデートに出かけたり。あらすじについて書くのはもうここでやめておきますが、この作品は大人にとってはそうした、初恋ってこうだったな、初めて恋人ができた時こうだったななどと思え、子供にとってはこれから訪れるであろう初恋、初めての恋人に思いを馳せられる作品です。
評価で独自性に最高点を付けた理由はこの初恋、初めての恋人をとてもリアルに忠実に描いた点にあります。恋愛を題材とする小説や漫画はごまんとあれど、大体のものは他に脇役たちの恋愛も絡んできたり、三角関係があったり、まあそれはそれでリアルなのですが、この作品はそういったものがありません。
いえ、細かく言うのならばヒロインせつなの抱える事柄がその要素に当たるのかもしれませんが、それも寧ろリアルな恋愛でありえそうな事柄であり・・・。
このように、本作はただただ若人の恋愛が描かれています。プラスアルファは何もなし。
『ボーイミーツガール』。少年と少女は出会い恋をする。
ただそれだけと言えばそれまでなのですが、それだけを描いて且つ面白くするのは難しい。そんな困難な「二人の恋愛だけ」を描き、且つとても面白い作品であるという点で独自性に最高評価をつけました。
甘酸っぱい。ほろ苦い。とても甘い。ただただ辛い。しょっぱい。
初恋の味は?の答えは十人十色、いろいろなものがあると思います。
この作品はそうした初恋の味を思い出せる作品です。あるいはこれから訪れるであろう恋に思いを馳せられる作品です。
少年と少女の初恋をとても丁寧に描写した王道のボーイミーツガール小説。
読むと心が温かくなります。
是非お読みください。
文庫本
単行本
電子書籍
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この二人のその後も含む同じ世界感で描かれた続編と言ってもいい小説はこちら。
dorasyo329
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