【書評・紹介】『先生助けて! Dr.コトーをさがして』 西秀人

2024年8月5日SDGs・持続可能な社会を考える上で読んでおきたい本,医学,教養書,ドキュメンタリー,福祉瀬戸上健二郎

Dr.コトーのモデルを連れてきた公務員が語る離島医療の現実

著者:西秀人

読みやすさ
わかりやすさ
考えさせられる度
電子書籍 無し
広告

あらすじ

Dr.コトー離島赴任までの苦闘の医師探し
 “よか医者どん”を見つけるために、村役場の民生課長・西さんは今日も奔走する。鹿児島県の西海上に位置する離島・下甑島(しもこしきじま)。医師が一人去れば、緊急時どころか当たり前の医療さえも受けられない現状。僻地に住む住民は切り捨てられていいというのか――。西さんの奮闘ぶりと村人たちとの交流、そして人気コミック『Dr.コトー診療所』の主人公のモデルとなった医師との出会いを通して、命の重みや離島・僻地医療のあり方をも問う感動作。

先生助けて!―Dr.コトーをさがして (小学館文庫) | 西 秀人 |本 | 通販 | Amazon

書評

Dr.コトー診療所
ご存知でしょうか?
自分で言うのもなんですが、若い人は知らないかな?

漫画、そしてドラマで知られる作品のことです。
ジャンルとしては医療もの。

”生きること”を問い続ける離島医療物語
本土から船で6時間かかる絶海の孤島・古志木島に、東京の大学病院で
外科医をしていた五島健助が赴任。穏やかな性格で頼りなさそうに見えるが、
じつは強靭な意志と高い技術で数々の難手術をこなす天才外科医。
最初はなかなか受け入れてもらえなかった五島だが、小学生のタケヒロや
看護師の星野彩佳たちの命を救って以来、島民の信頼を得る。ちなみに、
本名は「ゴトウ」だが、やがて「コトー」の愛称で呼ばれ、慕われるようになる。
温暖な気候の古志木島は人口約1000人。個性豊かな人々が住んでいて、
それぞれがさまざまな事情や病気を抱えて暮らしている。それらすべての
人たちを温かく包み込み、コトーは今日も島民の生命を守り続けている!!

Dr.コトー診療所 山田 貴敏(著/文) – 小学館 | 版元ドットコム (hanmoto.com)

原作となる山田貴敏先生の漫画は累計発行部数1200万部を突破する人気作。

2003年には吉岡秀隆主演で実写ドラマ化もされました。

そして、2022年。
続編が劇場版作品として帰ってくることに!

離島医療、無医村問題を描き、この作品をきっかけに医師を志す人もいるほどの人気作です。

そんなDr.コトーのモデルとなったのが瀬戸上健二郎 医師。
鹿児島県下甑島にある「下甑手打診療所」で39年もの間、地域医療に携わってこられた方です。

では、彼が来る前の下甑島の医療はどうだったのか。
彼が来たあとの医療はどうだったのか。

本書の著者は下甑村役場の職員。
民生課長として、医師の確保に奔走した人物です。
瀬戸上医師を島に連れてきた人物でもあります。

いわば、地域医療の現実に立ち向かう公務員のドキュメンタリーです。

島に医師がいないというのは島民の生死に直結する重大な問題です。
とにかく早く医師を見つけなければ。

村に招いた医師は瀬戸上医師だけではありません。
外国人の医師もいれば、年配の医師も。
専門も様々。

恐らく医師不足に悩む地方では今も著者のように医師集めに奮闘する公務員がいることでしょう。

本書はそうした医師不足の現実、地域医療の現実を著したものと言えると思います。
それも、医師の側からでも住民の側からでもない、その間を取り持つ行政の側から見た光景を著したものと。

私が本書を読んで思ったのは、医師がいないのは国の施策だけが原因なのか?ということです。
医療サービスが受けられないという状況は確かに国や自治体が是正しなければならないものです。
しかし、それだけでは医師不足という問題は解決しません。

医師も人。患者も人。
人と人が信頼しあえる関係があることこそが、医師不足を解決するまず最初のステップなのではないかと読んでいて思いました。

地域医療、離島医療の課題、問題を考える上で欠かすことのできない一冊であると思います。
Dr.コトーを島に招いた公務員が語る医師探しの日々。
是非お読みください。

単行本:先生助けて 離島の医師を求めて25年

1998年出版。

文庫本:先生助けて! Dr.コトーをさがして

上記単行本を改題、大幅に加筆修正を実施。
2006年出版。

関連書籍

The following two tabs change content below.
自称システムエンジニアのくせに、農学系の地方国立大に通うおかしな生き物。 ひつぎ教育研究所社長。 好物は恋愛小説と生物学、哲学。BL以外はなんでも読む雑食。 一応、将棋のアマ三段。