【書評・紹介】『ギャルとぼっち』 朝日夜

2024年8月5日完結済み,漫画,少女漫画,高校生(青春),エッセー・随筆,多様性社会の実現を考える上で読んでおきたい本,シリーズもの,青春漫画,同人誌

多様性の時代だからこそ読みたい!
ギャルとぼっちの友情の物語!!

著者:朝日夜

ストーリー
キャラクター
感動度
独自性
温かさ
電子書籍 有り
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あらすじ

ギャルは最強で最高だ!!!
「友達はいらない」そんなクラスでは“ぼっち”の陽菜に唯一声をかけるのは、ギャルの林原ちゃん。戸惑いながらも、何故か構ってくる林原ちゃんと過ごすうちに、陽菜の学校生活は、少しずつ変化していく――…。「2人の過去が明かされるお話」をはじめ、描き下ろしを40P以上収録!

ギャルとぼっち | SQUARE ENIX (square-enix.com)

書評

「ギャル」と聞いてみなさんはどのようなイメージを抱かれるでしょうか。

若い女性。
金髪、茶髪etc…..。
奇抜なファッション。
派手な化粧。
タメ口。

私自身としてはこんな感じのイメージです。
そして、残念ながら私自身はポジティブというよりネガティブな感想を持っていました。

最近よく「ヲタクに優しいギャル」という幻想が語られますが、
実際1人の若いヲタクとして思うのは、彼女たちとは住む世界が違うということです。

そんな「ギャル」に対してあまり良いイメージを抱いていなかった私ですが、
この作品を読んでそのイメージが少し、否かなり変わりました。

それがこの『ギャルとぼっち』です。

主人公は河合陽菜
笑顔を見せることが少ないぼっちな女子高生。

そして、林原伽耶
絵に書いたような金髪ギャル。

「私はギャルが苦手だ」から始まる話。
ぼっちな陽菜にギャルな伽耶が絡んでいく展開。
そして気がつけば2人は友達にというお話。

1巻はギャルとぼっちが出会い、仲良くなっていく物語。
あるいは、ギャルとは何かといった物語。

そして2巻は、ギャルと関わることによってぼっちがどう変わっていったのかという物語。

一言で言えば、優しい友情の物語です。

では、この物語を読んで、私のギャルに対する印象がどうして変わったのか。

前述したように、1巻の基本的な展開としては伽耶が陽菜に絡んでいくという展開です。
基本的に学校という閉鎖的環境において、ぼっちに積極的に絡んでいくという行動は、人間関係に悪影響を及ぼしかねないものです(私の経験からして)。

なんでわざわざあの人(ぼっち)と仲良くするの?という同調圧力。
あるいは、先生にいい目で見られたいから絡んでいっているんだ、という偏見。

でも伽耶は違います。
なぜ話しかけたのかというのは物語の中で明かされるのでここでは書きませんが、
言えるのは伽耶自身が話したい、仲良くしたいと思ったからです。

このように本作では、ギャルの行動を「同調圧力や外圧関係なく、自分の生きたいように生きる」ことの現れとして描いているように私には感じられました。
誰かに迷惑をかけているわけでもない。自分がしたいからそうする。

学校という閉鎖的環境の中で自分の生きたいように生きる、生きられる。
そうした強さを、格好良さもった存在の1つが「ギャル」なのだと。
言われてみれば当たり前のことなのですが、過去の私にとってはこれが新しい見方だったのです。

そして、この作品の中ではもう1人、格好良さをもった存在が描かれているのですが、それは四でのお楽しみ。

それに加え、この『ギャルとぼっち』という作品は

多様性を描く作品

でもあると思います。

具体的にどのような点が、というのはもう読んでもらいたいのですが、
自分の学校生活を思い返した時、もしこんな学校生活を送れていたらなあと思える作品です。

自分が生きたいように生きる。
自分の人生は自分で決める。
言うのは簡単ですが、するのは難しい。
でも、それが当たり前となった世界はきっと素晴らしい。

「多様性」が声高に叫ばれる現代。
過渡期にあるのだと思います。
そして、この作品の中の世界も。

そんな世界で、生きたいように生きて、かけがえのない友人と出会って、
優しくて、温かくて、感動的で、自分も頑張ろうって思える
そんな作品です。

わたしがギャルに救われた話

2巻に収録されている朝日夜先生のエッセイです。
ギャルを題材とした話ですが、朝日夜先生自身はギャルではなかったそうです。

ではなぜギャルを題材とした話を描こうと思ったのか。

さっきから感動感動ばかり言っている気がしますが、このエッセイも本当に感動します。
朝日夜という漫画家はこの出来事、巡り合せがあったから生まれたんだという。

総評

なんかすごく社会的漫画のように評している感はありますが、決してそんなことはありません。
この漫画で描かれているのは「友情」や「人の温かさ」であると思います。

優しくて、温かくて、感動するストーリー。
絵もストーリーととてもマッチしています。

1話4ページという短い構成ながらも、1話1話進むごとに少しずつ何かが変わっていく。
そして、1巻と2巻で描かれるものが変わっている点も良いです。
(ちなみに3巻は同人誌としてこぼれ話的なものがまとめらています。)

文句のつけようがないというか、もう完成されている作品です。
何においても素晴らしい。
老若男女問わず読んでもらいたい作品です。
是非お読みください!

単行本(1巻、2巻)

同人誌(3巻)

メロンブックス

とらのあな

Booth

電子書籍

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自称システムエンジニアのくせに、農学系の地方国立大に通うおかしな生き物。 ひつぎ教育研究所社長。 好物は恋愛小説と生物学、哲学。BL以外はなんでも読む雑食。 一応、将棋のアマ三段。