【書評・紹介】『魔法科高校の劣等生 SS』 佐島勤

2024年8月5日小説,連作短編集,高校生(青春),SF小説,このライトノベルがすごい!,青春小説,短編小説,短編集,バトル・アクション,ライトノベルテレビアニメ,小説家になろう,佐島勤,石田可奈

13巻スティープルチエース編では描かれなかった九校戦を描く連作短編集!

著者:佐島勤
イラスト:石田可奈

既刊のネタバレを含みます。
第1巻はこちら

ストーリー
描写
キャラクター
独自性
電子書籍 有り
他のメディア展開 コミック、TVアニメ、アニメ映画、ゲーム
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あらすじ

『達也による魔法兵器殲滅』の裏では、魔法師たちの華やかな競演が!
 二〇九六年度『全国魔法科高校親善魔法競技大会』。司波達也が、第一高校の技術スタッフとして九校戦に参加する傍らで、魔法兵器『パラサイドール』運用試験計画を阻止すべく『裏』で行動を起こしていた頃。
『表』側では、今年も九校戦優勝の栄冠を目指す魔法科高校生たちの、魔法を駆使した熱戦が繰り広げられていた。
 モノリス・コードの選手・吉田幹比古が、名家に生まれたプレッシャーとトラウマを撥ねのけるエピソード『竜神の虜(とりこ)』。
 新競技ロアー・アンド・ガンナーの選手・エイミィが、不慣れなコンビプレイに挑むエピソード『ショットガン!』。
 女子生徒の大一番、アイス・ピラーズ・ブレイクの選手・雫と花音による、美しくも超攻撃的なエピソード『一人でできるのに』。
 達也との関係を悟られないよう、九校戦を『無難』にクリアせよ。黒羽姉弟に与えられた課題を描くエピソード『目立とうミッション』。
 そして、選手では無いレオとエリカ、二人の隠された過去が解き明かされるエピソード『薔薇の誘惑』。
 書き下ろしを含む連作短編集、登場!

「魔法科高校の劣等生SS」 佐島 勤[電撃文庫] – KADOKAWA

受賞歴

このライトノベルがすごい! 2020 2010年代総合ランキング 第8位

書評

シリーズ累計発行部数は2200万部突破の大人気シリーズの連作短編集です。
描かれるのは13巻スティープルチエース編で描かれなかった九校戦。

5つの物語が収められています。

竜神の虜

主人公は吉田幹比古。
種目はモノリス・コード。

しかしそれだけに留まらず、幹比古が魔法を使えなくなるきっかけとなった出来事。
2094年の事も語られます。

彼のアイデンティティ、
そして、彼が美月の眼に興味を持つ具体的な理由にも迫る短編です。

主要キャラの一人なのに、なんとなくぼやかされがちだった彼の思いがよく分かる秀作です。

ショットガン!

主役はエイミィこと英美=アメリア=ゴールディ=明智。
種目はロアー・アンド・ガンナー。

こちらは本当に九校戦の話。
新種目に翻弄されるエイミィ。
彼女が助けを求めるのはもちろんエンジニアのあの人。

主役はエイミィのはずなのに、気づけばあの人の物語のようにもなっちゃってる。
そんな短編です。

一人でできるのに

主役は千代田花音。
種目はアイス・ピラーズ・ブレイク。

雫とのペア競技です。

五十里が大好き。
そして登場人物の中では、感情的で子供っぽくも感じる彼女。

そんな彼女がまたしてもエンジニアのあの人に、知らず知らずの間に上手いこと手の上で転がされている。
というような短編です。

雫がかわいい!

目立とうミッション

主人公は黒羽亜夜子、黒羽文哉の姉弟。
種目はそれぞれミラージ・バットとモノリス・コード。

と言っても本題は九校戦ではなく、四葉の指令。

題名の通り、九校戦で「目立ちなさい」というミッション。

達也を慕う妹弟分の楽しい短編です。

薔薇の誘惑

この短編集の核となる話。
主人公は千葉エリカと西城レオンハルト。

12巻、13で語られてきたエリカとローゼン家のお話。

ちなみに裏表紙のイラストに要注目です。

まあ何が言いたいかといえば、こういうものを運命って呼ぶんだろうなという。
達也と深雪の運命と書いて定めと読むやつじゃなく。

総評

面白いです。楽しいです。良作です。

が、前にも書きましたが、13巻とセットで描いて欲しかったという。

構成上、一巻にまとめることができなかったではなく、
それをまとめるのが筆者の腕の見せ所なのではと思うのです。

このSSと13巻をセットで読めば、3,4巻の九校戦編と同等、あるいはそれ以上に面白い小説であるにも関わらず、
それをまとめられず、
更にはこの二冊の間に二年も空ける。

うーん、です。

いずれにせよ、このSSは単体で読んでも十二分に面白いです。
魔法とスポーツという取り合わせもそうですし、
エリカや幹比古の過去という主要人物のアイデンティティに迫る話もそうですし、
雫が可愛いですし。

ただ一方で気になったのが、描写の使い回しが目立つなあという。
七宝の描写とか17巻の時と一言一句違わないじゃないですか。
そこはちょっと引っかかりました。
意図して同じ文言を使うべき場面でもなかったですし。

ですが、冗長すぎた師族会議編とか打って変わって
短編集ということもあってか小さくまとまっていて面白いSS。
是非お読み下さい!

文庫本

電子書籍

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自称システムエンジニアのくせに、農学系の地方国立大に通うおかしな生き物。 ひつぎ教育研究所社長。 好物は恋愛小説と生物学、哲学。BL以外はなんでも読む雑食。 一応、将棋のアマ三段。