【書評・紹介】『天地明察』 冲方丁
日本初の暦作りに命を懸けた渋川春海を描く時代小説
第7回本屋大賞大賞作品
| ストーリー | |
| 描写 | |
| キャラクター | |
| 温かさ | |
| 独自性 | |
| 電子書籍 | 有り |
| 他のメディア展開 | コミック、実写映画、 オーディオドラマ |
あらすじ
天命こそ、最高の勝負。
江戸、四代将軍家綱の御代。ある「プロジェクト」が立ちあがった。即ち、日本独自の太陰暦を作り上げること――日本文化を変えた大いなる計画を、個の成長物語としてみずみずしくも重厚に描く傑作時代小説!!
「天地明察」 冲方 丁[文芸書] – KADOKAWA
受賞歴
第7回本屋大賞 大賞
第4回大学読書人大賞 大賞
第31回吉川英治文学新人賞 受賞
書評
元V6の岡田准一さん主演で映画化もされた『天地明察』の原作本です。
まさか劇中で夫婦を演じた岡田准一さんと宮崎あおいさんが現実でも夫婦になるとは思いもしませんでした。
ストーリーとしては日本初の暦である貞享暦(大和暦)を作成し、初代天文方(幕府の研究機関)になった渋川春海の暦との出会いから改暦までの人生をフィクションを交えつつ描いた時代小説です。
江戸時代初期、日本では宣明暦という暦が使われていました。しかしこの宣明暦、西暦822年、菅原道真が遣唐使を廃止する70年以上も前から800年に渡って使われており、実際の暦とずれが生じていました。この宣明暦に変わる暦を作ったのが主人公渋川春海(安井算哲)です。ちなみに他にも日本で初めて地球儀を作ったりしています。
この渋川春海。元々は囲碁棋士の家に生まれ、自身も囲碁の棋士でした。算術(数学)が趣味というだけで暦と何の関わりもなかった囲碁棋士が何故暦作りに関わることになり、命を懸けるまでになったのかがとてもわかりやすく、また面白く描かれています。
そうした物語としての面白さもさる事ながら、やはり冲方丁作品、個性豊かなキャラクターが登場するところもこの作品の魅力です。
例えば渋川が暦に情熱を傾けるきっかけとなったと言ってもいい建部昌明、伊東重孝。
60歳前後でありながら、老いにめげず嬉嬉として学問に打ち込み、研鑽のため三十も年下の若者に頭を下げることさえ苦でも何でもない。また、渋川の誤謬(間違い)を見事と評するなど好々爺として描かれ、若き渋川に大きな影響を与えます。
あるいは、冲方丁の次作『光圀伝』で主人公として描かれる徳川光圀。登場は少ないながらも読者と渋川に熱烈なインパクトを残します。
渋川の妻もとても魅力的なキャラクターです。(がネタバレをせずに言及するのが無理なので気になる方だけ)
映画ではばっさりカットされちゃっていましたが、何故カットしてしまったのか・・・。それほどまでに初恋を描きたかったのか・・・。
カットするのが勿体ないと感じるくらいに渋川と良い夫婦になりますし、二人の別れ、喪失というかは胸にジーンと来るものがあります。
そして二番目の妻、えん。
映画では宮崎あおいさんが演じられていました。
初登場から渋川をとことん追い立てる面白い人物です。
他にも関孝和や本因坊道策、保科正之など魅力的なキャラクターが多数登場するのですが、それは読んでのお楽しみということで。
暦作りという関係上、数学や天文学の話も出てきますが、そこまで難しい話でもなく、作中でもわかりやすく説明されていますし、何より分からなくても問題ありません!分からなくても十二分に楽しめます!
無名だった天文学者渋川春海の名を全国に知らしめるに至り、本屋大賞や吉川英治文学新人賞を受賞し実写映画化もされた名作。
日本初の暦作りに命を懸けた渋川春海を描く時代小説。
是非お読みください!
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