【書評・紹介】『平和へのかけ橋』 明石康

2022年8月19日自伝,国際政治学,SDGs・持続可能な社会を考える上で読んでおきたい本,教養書,児童書,政治学,伝記カンボジア,明石康

日本人初の国連職員にして国連事務次長が語る
国連とは何か

著者:明石康
絵:桂川潤

読みやすさ
わかりやすさ
考えさせられる度
電子書籍 無し
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あらすじ

明石康は雪ふかい秋田県比内町(ひないまち)に生まれ、ガキ大将のあとを追いかけては、山や川で大自然とたわむれて育った。東京にでてからは、東北なまりの英語のことを「イイ語」なんていわれたが、その「イイ語」でいま、世界じゅうの人たちと交渉し、問題を解決している。秋田人→日本人→地球人。この本は、いがぐり頭の明石少年が世界にはばたいて、現地の人たちとともに平和を勝ちとっていくようすを、いきいきとえがいている。そして、国連と日本の役割をわかりやすく解説し、21世紀の人たちに「世界にとびだせ。」とよびかけている。

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書評

国際連合。略称は国連、UN。
と聞いて皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。

ウクライナ侵攻を防げなかった無能な国際機関?
5大国が横暴の限りを尽くす安保理?
世界で最も力のある国際機関?

この本は、日本人初の国連職員にして、国連ナンバー2の国連事務次長まで務めた明石康氏が書いた本です。
中身は著者の人生、そして国連の担うべき役割、実態などが書かれています。

そんな本書のオススメポイントはやはり、

要織を担った人物がわかりやすく語る国連

国連と聞くとやはり「安保理」を思い浮かべる方が多いと思いますが、国連の理事会はこれだけではありません(経社理など)。

あるいは、国連には15の部局があるのですが、1つでも答えられますか?

国連の名前はよく聞くものの、その中身を知っている人は少ないのが実情。
そんな国連とは何かを知るための入門書として本書は良書です。
いかんせん児童書ですし、それはそれはわかりやすく書かれています。

尤も、押し付け憲法論やPKOなど著者の政治的主張が色濃く現れている面は否定しきれませんが。

そのPKO。
そのPKOが本書をおすすめする2つ目の理由です。

何故かというと、

著者は2度、PKOの代表を務めたから

1度目はカンボジア。
2度目はユーゴスラビア。

カンボジアについてはかなり細かく書かれています。
カンボジア内戦とはなにか、代表を引き受けた理由、選挙実施までの過程。
日本の自衛隊にとって初めてのPKOである国際連合カンボジア暫定統治機構(UNTAC)。

UNTACについては恐らく一番わかりやすく書かれて本ではないかと思います。

より詳しく知りたい方は『カンボジアPKO日記 1991年12月~1993年9月』を。

そしてもう1つがユーゴスラビア。
ユーゴスラビア内戦への対応として創設された国際連合保護軍
カンボジアとは打って変わり、こちらは失敗に終わったからかあまり詳細は語られませんが、筆者の考えを知ることができます。

米中、米露の対立が激化していくであろうと考えられている昨今。
国連にかかる期待はかなりのものがあります。

何より、国連の分担金。各国が国連に拠出する額のランキングにおいて、日本はアメリカ、中国に次ぐ3番手
毎年数百億円を支払っています。

そうしたことを踏まえても、国連について最低限の知識と理解は必要であると思います。
本書は、元国連事務次長が著し、児童書としてわかりやすく書かれていることから、その入門書としては良書です。
是非お読みください。

単行本

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自称システムエンジニアのくせに、農学系の地方国立大に通うおかしな生き物。 ひつぎ教育研究所社長。 好物は恋愛小説と生物学、哲学。BL以外はなんでも読む雑食。 一応、将棋のアマ三段。