【書評・紹介】『ジョン・ボルトン回顧録 トランプ大統領との453日』 ジョン・ボルトン

自伝,国際政治学,エッセー・随筆,軍事学,教養書,政治学,地政学,伝記

アメリカ合衆国・国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めた筆者が綴る
アメリカの安全保障外交、そしてトランプ大統領とは何者であったのかを明らかにする回顧録。

著者:ジョン・ボルトン
監訳者:梅原季哉
訳者:関根光宏、三宅康雄

読みやすさ
考えさせられる度
電子書籍 有り
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あらすじ

発売1週間で78万部突破し、世界中で話題の、前大統領補佐官による暴露本。注目すべきは、各国要人との詳細なやり取りで、日本に対する言及も140か所以上に及ぶ。安部首相や谷内正太郎氏との生々しい会話も頻繁に登場し、日米外交の裏側が詳細に語られる。

朝日新聞出版 最新刊行物:書籍:ジョン・ボルトン回顧録 (asahi.com)

書評

国家安全保障問題担当大統領補佐官
ジョン・ボルトン

北朝鮮から人間のクズと罵られるほどの強硬派。

そんな彼が、ホワイトハウス
トランプ政権下で過ごした453日の日々を綴った回顧録です。

出版前、暴露本として話題を読んだ書籍でもあります。

G7の写真
(引用)https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-44429281

今まで開催されたG7の中で私が一番好きな写真です。

①がトランプ大統領(当時)。
②が本書の著者であるジョン・ボルトン補佐官(当時)。
この二人と

④の安倍晋三首相(当時)、
⑥のメルケル首相(当時)、
⑦のマクロン大統領、
⑧のメイ首相(当時)
などとで行われていく外交。

本書の魅力はトランプ政権、トランプ大統領がどのような人物であったのかを詳らかにしている点よりも

安全保障外交の実態を明らかにしている

この点にあると思います。

言うまでもなく、アメリカは世界第一の軍事大国、超大国。
日本も日米安全保障条約によってその影響下にあると言えます。

その国の国家安全保障問題担当大統領補佐官。

核保有国であるイギリス、フランスはもちろんのこと
ドイツを始めとするNATO諸国。
北朝鮮と休戦状態にある韓国。
同盟国である日本。
一心同体とも言えるイスラエル。

あるいは、決して友好的とは言えないロシア、中国。

これらの国々と話し合い、時には国のために武力行使すらも進言する。
筆者はそのような仕事に就いていました。

この任期中にあった出来事としては、

2018年4月13日 シリアへの軍事攻撃
2018年6月12日 第一回米朝首脳会談
2019年1月23日 ベネズエラ政変
2019年2月27日 第二回米朝首脳会談
2019年6月30日 第三回米朝首脳会談(面会)

などが挙げられ、これの出来事の舞台裏が語られています。

この中で、やはり日本人として気になるのは米朝首脳会談。
拉致問題のこともそうですし、何より北朝鮮の核問題。

当時の安倍首相がどのようにトランプ政権と関わりを持っていたのかなど、興味深い内容が多く語られています。

現代国際政治において、どのようなやり方で外交が進められているのか。
これを理解するのにこれほど最適な本はないでしょう。

そしてそこに加わってくる、トランプ政権の歪さ。
誰が敵で誰が味方なのか。
絶対に回避しなければならないシナリオとの戦い。

ジョン・ボルトン補佐官は2018年4月9日から2019年9月10日までその職にあり、上記の出来事に深く関与してきたわけですが、その後のトランプ政権の動き。
特に、アフガニスタンからの撤退。

撤退する米軍の飛行機に市民が掴まり、落ちていく映像が記憶に新しいですが、
このシナリオを回避するために行われた様々なやり取りも語られています。

国民が選んだ指導者の指示が国益に反する場合、閣僚は、官僚はどうすべきか。
自分にもっとできることはなかったのか。

外交政策において筆者と考え方を異にする人が読んだとしても、この苦悩だけは共感できると思います。

単行本

電子書籍

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自称システムエンジニアのくせに、農学系の地方国立大に通うおかしな生き物。 ひつぎ教育研究所社長。 好物は恋愛小説と生物学、哲学。BL以外はなんでも読む雑食。 一応、将棋のアマ三段。