「電子書籍」のデメリット・危険性

コラム

電子書籍。便利ですよね。
端末一つでどこにいながらも読める。
印刷費などがかからない分、紙書籍よりも安い。
Kindle Unlimitedなど読み放題サービスがある。

私は基本的に紙書籍信者、というか紙書籍原理主義者ですが、
それでも電子書籍を読まないということはありません。
かなりの数の電子書籍を購入しています。

尤も、紙書籍が発売されていないからという理由でですが。

では何故私は、電子書籍ではなく紙書籍を買うのか。
もちろん紙の方が好きということもあります。
ですが、一番の理由はそこではありません。

電子書籍は、ある意味でリスクを抱えた製品であると思うからです。

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電子書籍のリスク

電子書籍に一体どのようなリスクがあるのかと思われる方が多いと思います。

ぱっと挙げられるのは、停電やネット環境がない場合に読めなくなることとかでしょうか?
でも、それはインフラが復旧すれば読めるようになるので大したリスクではありません。

私が言いたいリスクは、

電子書籍のサービスが終了すると読めなくなる

ということです。

まず、電子書籍は大きく二つに分けることができると思います。

1.企業所有のもの
2.個人所有のもの

1の企業所有のものは簡単に言うと
アプリなどの「専用のリーダー」を使って読む電子書籍のこと。
読者は電子書籍を購入しても、「専用のリーダー」がなければ読むことができません。

2の個人所有のものは
pdfなど、「ユーザーが選んだリーダー」を使って読める電子書籍のこと。
読者は自身の端末にファイルをダウンロードすることで、自分の好きなリーダーで読むことができます。

2の個人所有のものにリスクはありません。
というか、紙の書籍とリスクはそう変わりません。

ですが、1の企業所有のものにはリスクがあると考えます。

企業所有形式のリスク

では、企業所有のリスクとはなにか。
それは、企業が倒産した場合、あるいはサービスを終了した場合に電子書籍はどうなるのかということです。

そもそも電子書籍の購入とは、「所有権の購入」ではなく「利用権の購入」が主です。
消費者は電子書籍を所有するのではなく、利用しているに過ぎないのです。

いくつか実例があります。

ケース1

米Microsoftは4月2日(現地時間)、「Microsoft Store」から電子書籍のカテゴリーを削除すると発表した。同日、電子書籍の販売、レンタルサービスを終了。これまで利用者が購入した書籍の代金は、7月上旬に全額返金する。

Microsoft Store、電子書籍の販売終了 購入分は全額返金 – ITmedia NEWS

サービス終了によって電子書籍が読めなくなるという事態が発生しました。
しかし、この場合は全額返金対応が取られたので、また別のストアで購入すれば良い話でした。

ケース2

コンビニ大手のローソンが展開する電子書店「エルパカBOOKS」が2014年2月24日でサービスの提供を終了する。
サービス終了後は購入済み電子書籍の閲覧、再ダウンロードなどは行えなくなる(電子書籍の販売は1月16日まで)。同社では、エルパカBOOKSで購入した電子書籍相当の金額をPontaポイントで3月中旬ごろまでに返金する考え(ローソンWEB会員でのログインを終えておく必要がある)。

突然買った本が読めなくなる!電子書籍の「サービス終了」リスクにご用心 | ニュース3面鏡 | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)

こちらは現金ではなく、pontaポイントで返金。
しかし、現金ではなくpontaポイントで。
ローソンなどで使えるポイントですが、pontaが使える店を利用しない消費者にとっては返金されないと同義です。

ケース3

T-MEDIAホールディングスが運営する電子書店「TSUTAYA.com eBOOKs」がサービスを終了、すでに購入したコンテンツは、凸版印刷グループの電子書店「BookLive!」で引き続き読めるようにする考えであることが発表された

TSUTAYA.com eBOOKsがサービス終了へ BookLive!への移行措置/Tポイント返還を予定 – ITmedia eBook USER

こちらは他社のサービスで引き続き読めるようにしたケース。
恐らくこの形が一般的になっていくと思います。

まとめ

2023年現在、国内において電子書籍の会社が倒産ないしはサービスを終了し、返金などの対応が取られることなく読めなくなったという事例は存在しません。
そうした対応を取ろうとした企業は批判に晒され、方針を撤回してきました。

ですが、過去の事例の多くは倒産ではなくサービス終了によるもの。
これが倒産の場合はどうでしょう?
その企業に返金をする体力は残されているでしょうか?
他企業に引き継ぐ猶予はあるのでしょうか?

所有権を購入するのではなく、利用権を購入するということはそういうリスクをはらんでいるということです。

電子書籍の話ではありませんが、こういう例があります。

【相談事例1】
10か月前に契約期間1年間の全身脱毛エステ12回コースを契約した。代金24万円は現金で全額支払い済である。施術はまだ6回しか受けていないが、最近、この脱毛エステ事業者が倒産したことを知った。未施術分の代金を返してほしい。

川崎市:契約中の脱毛エステ店が倒産してしまった~長期・高額な契約に気をつけて~ (city.kawasaki.jp)

ある種のサブスクリプション、利用権購入の一例です。
これに対する川崎市の回答がこちら。

一般的に、事業者が倒産し、裁判所により事業者の破産が確定、破産管財人が選任されると、消費者は「債権届」を破産管財人(弁護士)に提出し、清算配当を受けることになります。破産管財人は事業者が所有する財産を集めて現金化し債権者に配当しますが、税金や従業員の給与等の支払いが優先されるため、一般債権者である消費者への配当はほとんど期待できません。そのため、事例1のように現金やクレジットカードで既に全額支払い済みの場合は、被害の回復が図れないケースがほとんどです。

川崎市:契約中の脱毛エステ店が倒産してしまった~長期・高額な契約に気をつけて~ (city.kawasaki.jp)

電子書籍でも同様の事例が発生する場合が大いにありえます。

本来であれば、こうした電子書籍サービスの終了時における企業の責任について国が何らかの指針や法規制をかける。
あるいは、業界団体が消費者のためにサービスの引き継ぎを実施する枠組みを作る。
こうした取り組みがあっても良いと思うのですが、電子書籍サービスは始まったばかり。

電子書籍は急速に私たちの生活に浸透してきましたが、「電子書籍元年」と呼ばれるのって実は2010年。
まだ一般社会に広まって10年ちょっとしか経っていない形態なのです。

そのため、電子書籍のルール・法整備はまだまだ発展途上。
これから何らかの問題が生じる度に、都度何らかの対応が取られていく段階。

つまり、消費者に被害が生じてから、それをモデルケースとして規制を作っていく段階なのです。

電子書籍を否定する気は毛頭ありません。
が、そうしたリスクを承知の上で使うべきものであると思います。

それこそ、「利用規約」、きちんと読んでいますか?

事業者は、利用者の同意なく当該サービスの提供を終了することができる。
事業者は、当該サービスの提供終了によって生じた利用者の損害に対する責任を負わない。

なんて書かれていませんか?

私は、紙が好きという理由もありますが、というかそちらの方が大きいですが、
こうしたリスクも踏まえて、電子書籍の購入を最小限にしています。

電子書籍に限らず、これからどんどんITの進歩による新しいサービスが生み出されていくはずです。
新しいサービスは画期的ではありますが、規制がかかっていないからこそ新しいのです。
そうしたリスクを踏まえて、自分の世界を広げて行きましょう!

なんてそれっぽいことを書いて、今日のところはここら辺で。
Auf Wiedersehen!

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自称システムエンジニアのくせに、農学系の地方国立大に通うおかしな生き物。 ひつぎ教育研究所社長。 好物は恋愛小説と生物学、哲学。BL以外はなんでも読む雑食。 一応、将棋のアマ三段。

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Posted by dorasyo329