【書評・紹介】『泣き顔百合アンソロジー』

2022年11月30日漫画,GL(百合),青年漫画,ローファンタジー,高校生(恋愛),作者の性癖がダダ漏れな作品,アンソロジーコミック,幼馴染,もしかしたら今どこかで本当に紡がれているかもしれない恋の物語,短編集,ファンタジー,恋愛漫画,くわばらたもつ

泣き顔×百合
7人の漫画家によるアンソロジー!

泣き顔百合アンソロジーの表紙

COVER ILLUST:
COMIC:春花あや、ゆでぱん、新井すみこ、つみきつき、Cocoa、くわばらたもつ、白玉もち

※平均値です。

ストーリー
キャラクター
落差が大きい度
電子書籍 有り
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あらすじ

見せて、あなたの泣き顔。

「泣き顔」をテーマに描く、全7作完全描き下ろしのちょっと特殊な百合アンソロジー!
それぞれの「泣き顔」をお楽しみください!

一迅社WEB | インフォメーションポータル | 書籍情報 | 泣き顔百合アンソロジー (ichijinsha.co.jp)

書評

泣き顔×百合がテーマのアンソロジーコミックです。
全7作。
1作ごと紹介していきます。

『ユー・アー・マイ・アイデアル』 春花あや

恐らく、You are my ideal.
日本語で「あなたは私の理想」。
ページ数は16ページ。

アイドルを辞めることにした少女と、それを聞かされたアイドルの少女の物語。
アイドル(idol)とアイデアル(ideal)をかけたタイトルということ?

心を打つ泣き顔とストーリー。
こじんまりとまとまりながらも、感動させてくれる良作です!

『彼女の涙が甘い理由』 ゆでぱん

幼馴染の百合ップルのお話。
ページ数は16ページ。

凪沙はある日、小さい頃に舐めた柑奈の涙が甘かったことを思い出す。
そして、柑奈の涙をもう一度舐めて確かめようと、柑奈を泣かせようとするストーリー。

確かに「泣き顔」が関係する物語ではあるけれど、どちらかというと「泣き顔」というより「涙」?
百合好きなら満足すること間違いなしな百合ップルがいちゃつくお話です。

『あふれた、そのさき』 新井すみこ

ページ数は24ページ。
涙があふれるとまわりを破壊してしまう力がある社会人女性の物語。

仕事もそうだし、理不尽な上司もそうだし。
社会人って大変だよねっていうのと超能力をかけ合わせたようなお話。
力が発動した時の描写は圧巻。
百合感はあまりなし。

ただ、結末というか、結末に至るまでの最後の展開が私は腑に落ちませんでした。

『私がいなきゃダメ!』 つみきつき

高校を卒業して大学生になった先輩と高校生の後輩の百合なお話。
ページ数は12ページ。

何か抜けてるように見える先輩としっかり者の後輩。
今まで同じ学校に通っていたけれど、この春先輩は卒業して少しだけ距離が離れてしまった。
泣き顔は可愛いし、終わらせ方はうまいし、何より2人が可愛い。
良作です!

『苦しい恋』 cocoa

男遊びをする女子高生とそんな彼女が好きな女子高生の物語。
ページ数は24ページ。

ここまでの4作の爽やかな感じとは一転。
端的に言えば、どろどろした百合のお話。
重たい愛のお話。

果たしてハッピーエンドと受け取るべきなのかどうか。
そういうお話です。

『雑音』 くわばらたもつ

これまた重たいお話。
ページ数は28ページ。

いじめられている女子高生と猫をかぶっている陽キャな女子高生。
2人が互いの本心を知って、そして少しずつ話すようになっていったら?

その涙は、泣き顔は一体どっちの意味なのか。
「いじめ」や「学校の空気」を扱った、重たい百合のお話。
ページ数から言っても、ストーリーから言ってもこのアンソロジーの核となる話の1つだと思います。

『ネ』 白玉もち

ページ数は12ページ。

はっきり言って問題作。
この美しいカバーイラストや『泣き顔百合』というタイトルからは全く想像がつかないお話。
というか何なら、表紙詐欺、タイトル詐欺。

爽やかな話から始まって、中盤少し重たくなって、さあ最後はどんな作品かな?って期待が打ち砕かれるストーリー。
端的に言ってただのエロ漫画です。

総評

まず、緜先生のカバーイラストが素晴らしい。
泣き顔が、抱き合う2人の少女という百合が、このアンソロジーを表し、そして何より何と言っても美しい。
また、このイラストの良いところは、解釈を絞っていないところ。
この表紙からは、青春的なストーリーがあってからの爽やかな「泣き顔百合」なのか、何かもっと重たいストーリーがあってからの「泣き顔百合」なのか、あるいは何か他の「泣き顔百合」なのか。
そのことが明確に描かれていないからこそ、先入観なくこのアンソロジーを読むことが出来ます。

そして収録されている作品たち。
良作揃いです。
爽やかな物語から重たいストーリーから。
順番も考えられていると思います。

ただ、最後の1作だけはどうしても受け入れ難い……。
アンソロジーを締める作品をこれにした意図がわからない……。
そこだけが不満でした。

泣き顔×百合を描いたアンソロジー。
是非お読みください!

単行本

電子書籍