【書評・紹介】『ひとりぼっちの宇宙戦争』 藤子・F・不二雄

2023年5月13日少年漫画,漫画,読み切り・短編漫画,SF漫画藤子・F・不二雄

地球の運命を託されたのは、なんの取り柄もない普通の少年
藤子・F・不二雄が描くSF短編。

著者:藤子・F・不二雄(発表時は藤子不二雄)

ストーリー
キャラクター
感動度
電子書籍 有り
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あらすじ

惑星間の全面戦争を禁止されている宇宙人が他星を侵略するために許されている唯一の手段が代闘士制度である。地球侵略をねらう宇宙人が、その制度にのっとり、地球側代表として選んだのは気弱な空想好きの少年だった。午前〇時、時の流れが止まり、宇宙人が造ったもうひとりの自分──コピー人間相手に、少年は孤独な殺しあいを強いられる。コピーとはいえ、生身の人間そっくりに動く相手に少年はとどめを刺すことができず、逆に反撃を食らい深手をおう。だが、少年の負けは、そのまま地球の敗北につながってしまう!! 地球の危機を救うため、そして、愛する人を守るため、少年はついにある決心を固めた!!

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書評

藤子・F・不二雄先生のSF短編の一作。
『ひとりぼっちの宇宙戦争』です。

少年漫画の醍醐味を、キャラクターへの感情移入とするのなら、極めて良作な一作です。

あらすじの通り、主人公はどこにでもいそうな普通の少年。
気弱で空想が好き。

そんな彼は、無作為に地球代表の代闘士に選ばれてしまう。

戦ったこともない普通の少年は地球を守ることができるのかという物語。

そんな本作の一つの軸はやっぱり、

地球人VS宇宙人

と言っても、実際に戦うのは地球人と宇宙人ではありません。
あくまで戦いをふっかけてきたのが宇宙人というだけ。

地球は後進的な惑星である。
宇宙はもっと進んでいる。

そうした前提に立って、本作では侵略の手段として代闘士という独自の制度が用いられています。

無作為に選んだ代表者とそのコピーを戦わせて勝敗を決める。
国力やその場の状況、信頼関係などに影響されない純粋なフィフティ・フィフティの戦い。

ある意味で合理的です。

ですが、違う点もあります。
それが本作のもう一つの軸であろう

人間とコピーの違い

主人公と戦う相手は、主人公の遺伝情報をもとに作られたコピー。
当然ながら、感情はありません。

感情を持つ人間と、感情を持たず相手を殺すという命令に従うだけのコピー。

感情は時として非合理的なものであると思います。
感情が論理的、合理的な判断を阻害する。

しかし、感情があるからこそのものというものもまたあるわけです。

愛が勝つ。
そんなありふれた結末に至るのかどうか。
少年の奮闘を是非お読みください!

単行本

以下、短編の一つとして収録。

電子書籍

以下、短編の一つとして収録。

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自称システムエンジニアのくせに、農学系の地方国立大に通うおかしな生き物。 ひつぎ教育研究所社長。 好物は恋愛小説と生物学、哲学。BL以外はなんでも読む雑食。 一応、将棋のアマ三段。