【書評・紹介】『カイケツ小池さん』 藤子・F・不二雄

2023年5月13日漫画,解釈のしがいがある物語,青年漫画,読み切り・短編漫画,SF漫画藤子・F・不二雄

正義感が強い小池さん。
そんな彼がある日、スーパーマンのような力を手にしたら?
傑作SF短編!

著者:藤子・F・不二雄(発表時は藤子不二雄)

ストーリー
キャラクター
考えさせられる度
独自性
電子書籍 有り
広告

あらすじ

正義感が強い小池さん。世の中の曲がったことが許せない。
見ず知らずの人に説教、都知事に電話、大量の投書。
正義屋というあだ名をつけられ、笑われる日々。
そんな彼がある日、スーパーマンのような力を手にしたら?
正義感が強い一般市民が力を手にしたらどうなるのかを描いたSF短編。

書評

藤子・F・不二雄先生のSF短編の一作。
そして名作、傑作。
『カイケツ小池さん』です。

正義感が強い小池さん。世の中の曲がったことが許せない。
見ず知らずの人に説教、都知事に電話、大量の投書。
正義屋というあだ名をつけられ、笑われる日々。
そんな彼がある日、スーパーマンのような力を手にしたらどうなるのかという作品。

この作品をもとに、藤子・F・不二雄先生は『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』

という作品も描かれています。

そして、小池さん。
この姿を見れば、知ってるという方も多いのでは?

『オバケのQ太郎』や『忍者ハットリくん』など、
藤子不二雄作品で欠かすことのできない名バイプレーヤーです。

そんな彼が主人公という点でも、興味深い作品です。

あなたは正義感が強いですか?

と聞かれると、そうではないと言われるかもしれませんが、

あなたはニュースを見て、世の中に憤りを感じたりしますか?

と聞かれると、頷く方も多いのではないでしょうか。

昨今で言えば、

高齢者の運転による事故。
いじめなどによる子供の自殺。
騒音等による子供の遊び場、公園の減少。
介護殺人。
政治不信。

そして、自分が責任ある立場であったら、絶対にこのような事態にはさせない。
と思う方もおられるのではないでしょうか。

この作品が描かれたのは、1970年。
数十年前でも、人々が思うことは同じ。

しかし、そんな善良な市民が力を手にしたらどうなるのか。

小池さんは、最初のうちはその力を正義のために使っていましたが。。。

私は読んでいて、権力機構の話に考えが至りました。
最近で言えば、「ライト独裁」という言い方もされるでしょうか。

民主主義の停滞。
ならば、独裁の方がマシではないかという考え方。

確かに、正義を貫く完璧な人物がいて独裁を行えば、世の中はもっと良くなるのかもしれません。

しかし、こういう言葉もあります。
「力は人を狂わせる」

権力の制御機構たる、憲法。
あるいは三権分立といった仕組み。
こうしたものの重要性を考えさせられる作品でもありました。

そして、この作品も落ちが秀逸です。
世の中の怒りで我を忘れた小池さんが、最後のコマの次。
この短編が終わった後にどのような行動を取るのか。

正義感の強い一般市民がスーパーマンの力を手に入れたら?
人の狂気を描いた作品とも言えると思います。
藤子・F・不二雄先生による傑作短編。
是非お読みください!

単行本

以下、短編の一つとして収録。

電子書籍

以下、短編の一つとして収録。