【書評・紹介】『ワンナイト・モーニング 1~7』 奥山ケニチ

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一夜の関係✕美味しい朝食
現代の伊勢物語を想わせる傑作恋愛短編集

ワンナイト・モーニング1巻の表紙
ワンナイト・モーニング2巻の表紙
ワンナイト・モーニング3巻の表紙
ワンナイト・モーニング4巻の表紙
ワンナイト・モーニング5巻の表紙
ワンナイト・モーニング6巻の表紙
ワンナイト・モーニング7巻の表紙
著者:奥山ケニチ

ストーリー
描写
キャラクター
感動度
独自性
温かさ
美しさ
電子書籍 有り
他のメディア展開 ドラマ
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あらすじ

おにぎり、肉まん、ハニートースト…ワンナイト過ごした女の子と一緒に食べる朝ごはんはシンプル、でも特別。ちょっぴり切ないラブストーリーと共に美味しい朝ごはんを召し上がれ。グルメラブストーリー短編集!

ワンナイト・モーニング 第1巻( 奥山ケニチ ) | 少年画報社 (shonengahosha.co.jp)

書評

恋愛漫画の短編集です。

題材は
「一夜の関係」✕「美味しい朝ごはん」。

この作品では色々な男女が描かれます。

高校時代の同級生、セフレ、会社の同僚、昔のバンド仲間、といったある程度の関係性がある2人から。
居酒屋で出会った男女、出会い系で出会った男女、映画館で出会った男女、といったTHE一夜だけの関係まで。

その一夜の関係、そして起きてからの朝ごはん
これが本作の題材です。

冒頭、私はこの作品を「現代の伊勢物語」と形容しました。

伊勢物語は、平安時代に成立した歌物語。
とある男と女性たちの恋愛と和歌をかけ合わせた短編集とも呼べる作品です。

私はこのワンナイト・モーニングを初めて読んだ時、その「伊勢物語」を思い出しました。

伊勢物語は日本の物語の始まりともいえる作品。
無論、今現在残っている作品ではという話ではありますが、
伊勢物語源氏物語など数多くの古典作品に影響を与えました。
そして、源氏物語などがまた多くの作品に今なお影響を与えていることからも
日本の物語は伊勢物語の系譜に属すると言っても過言ではないのです。

そして、このワンナイト・モーニングはまさに現代の伊勢物語を思わせました。
描かれる様々な男女。
その職業、年齢、関係性は様々。
それを、一夜の関係と朝食で結びつけた短編集。

まるで、様々な男女を恋愛と歌で結びつけた伊勢物語のようだと。

そして、もう1点、本書が読者を惹きつけてやまないところがあるとすれば、
それは三大欲求全てを描いているという点でしょう。

三大欲求とはご存知の通り、性欲・睡眠欲・食欲。
この作品では、

性欲=一夜の関係
食欲=朝食
睡眠欲=その間を結ぶ幕間

と全てが揃っています。

そして、それら三大欲求が多種多様なキャラクター、ストーリーをその一点で結びつけている。
だからこそ、この作品は読者を惹きつけるのだと思います。
感動させるのだと思います。

はっきり言って、私は性を直接的に描く作品が好きではありません。
物語としての美しさを置き去りに、ただ読者の性欲を呼び起こし、それを購買欲へと繋げているように思えるからです。

しかし、この作品は違います。
そこに描かれる性は、物語として必要不可欠なものです。
欠かせないものです。

物語の中に誰しもが持つ欲求を入れることで、読者への共感を誘い、読者を物語へと誘っているのです。

一夜の関係✕美味しい朝食 を描いた短編集。
是非お読みください!

全巻セット

単行本

電子書籍

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自称システムエンジニアのくせに、農学系の地方国立大に通うおかしな生き物。 ひつぎ教育研究所社長。 好物は恋愛小説と生物学、哲学。BL以外はなんでも読む雑食。 一応、将棋のアマ三段。