【書評・紹介】『八〇万本の木を植えた話』 イ・ミエ

2024年8月5日SDGs・持続可能な社会を考える上で読んでおきたい本,児童書,伝記,ドキュメンタリー中国,植樹・緑化

砂漠を緑の王国に変えた夫婦の実話

著者:イ・ミエ
訳者:高賛侑
監修:吉川賢
挿絵:中村鈴子

読みやすさ
わかりやすさ
電子書籍 無し
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あらすじ

砂に飲みこまれた村で生き抜くため、若い夫婦が木を植えはじめた。それから20年。1400万坪もの大地が、緑あふれるいのちの楽園に変わっていた。世界が驚嘆した感動の実話。

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書評

砂漠緑化の実話を元にしたお話です。

舞台は中国、内モンゴルにあるモウソ砂漠

主人公・ウィチョンはある日、モウソ砂漠に住むワンシャンの元に嫁ぐことになります。
しかし、そこはあたり一面、砂砂砂
まるで砂の牢屋
洞窟の家に住み、誰も訪れない生活。
この生活から抜け出したい。この砂の牢屋を変えたい。

こうして夫婦は八〇万本のを植え、を蘇らせることとなります。
その苦難の日々、成功の経験を描いているのが本書です。

本書は2つの読み方ができると私は思います。

1つは、

砂漠緑化の難しさと重要性

これを実体験から知ることができる1冊です。

砂漠緑化と一口に言っても、その目的には様々なものがあります。
漠然と、砂漠よりのほうが良いからなどというものではありません。

砂漠では農作物を育てることもできないため、を植えることで保水できるようにする。
砂嵐を防ぐため、の根を這わせが飛ばないようにする。
を生やし、家畜を育てられるようにする。
など。

しかし、一口に緑化と言っても、ただを植えればとなるわけではありません。
ただでさえ水のない砂漠
風を遮るものがない砂漠

を植えたとしても、枯れ果てるか砂嵐によって飛ばされるか。

夫婦の試行錯誤の日々が描かれます。

またここで大事なのが塩害の問題。

植物を育てようと、長い年月をかけ溜まった地下水を利用しすぎると、問題が生じます。
その1つが塩害
土の表面に塩類が溜まると、植物は育ちません。
砂漠緑化において、この点をきちんと説明している児童書は少ないですが、本書はきちんと解説されています。

そして、もう1つの読み方が

サクセスストーリー

見渡す限り砂の大地緑あふれる楽園へと変える。
思うのは簡単です。
しかし、それを実行に移し、そして成功させるのは極めて難しい。

人は生きていて数多くの課題に直面します。
諦めるという選択をすることもあるでしょう。
諦めることも人生では大切です。

しかし、本書で描かれる夫婦は諦めず、緑化に挑みました。
そして成功しました。

諦めることも大切ですが、諦めないことも大切です。
その後者、諦めないことの大切さを学べるのが本書であると思います。

砂の大地緑あふれる楽園へと変えた夫婦の実話。
世界で進行する砂漠化、その解決策としての緑化を初めて学ぶのに最適の一冊です。
是非お読みください!

単行本

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自称システムエンジニアのくせに、農学系の地方国立大に通うおかしな生き物。 ひつぎ教育研究所社長。 好物は恋愛小説と生物学、哲学。BL以外はなんでも読む雑食。 一応、将棋のアマ三段。