【書評・紹介】『帰れない村 福島県浪江町「DASH村」の10年』 三浦英之
福島原発事故により帰宅困難区域に指定された旧津島村
そこに住まう人々は今、何を思うのか
| 考えさせられる度 | |
| 読みやすさ | |
| 電子書籍 | 有り |
あらすじ
君は知っているだろうか 日本には人が住めない「村」があることを──。いきなり文庫!
東日本大震災から10年以上経った今でも、住人が1人も帰れない「村」がある。東京電力福島第一原発から20~30キロ離れた「旧津島村」。かつて人気番組でアイドルグループ「TOKIO」が農業体験をした「DASH村」があった地域だ。数々のノンフィクション賞を受賞した気鋭のライターが、原発事故で引き裂かれた人々の苦悩を描く。反響を呼んだ『南三陸日記』に連なる記念碑的ルポルタージュ。
帰れない村 福島県浪江町「DASH村」の10年/三浦 英之 | 集英社 ― SHUEISHA ―
受賞歴
2021年LINEジャーナリズム賞 受賞
書評
「DASH村」
鉄腕DASHを見たことがある方はもちろんご存知でしょう。
日本テレビで放送されている『ザ!鉄腕!DASH!!』の企画の1つです。
この本は、そのDASH村のあった地域。
浪江町、旧津島村の住民を初めとする関係者へのインタビューと写真を集めた本です。
DASH村に登場、関係する人のインタビューも掲載されています。
東日本大震災、福島第一原発事故。
ここで説明する必要もないでしょう。
旧津島村は帰還困難区域に指定され、立ち入りが制限されています。


今、1つの村が消え去ろうとしています。
その村とは地域のことであり、コミュニティのことであり、歴史のことです。
住民達はそこでどう暮らしていたのか。
住民達は原発事故で何を奪われたのか。
住民達は今何を思うのか。
そうした住民達の言葉から、彼らの思いを伺いし得る一冊です。
また、この本では、住民以外の方へのインタビューも掲載されています。
放射線量の調査を行った科学者。
福島へ取材へと赴いた報道カメラマン。
自分が外の人であるからか、私は彼らの言葉が一番印象に残りました。
私もそうですが、ある意味外の者とも言える彼らは、旧津島村で何を見、何を感じ、そして今何を思い、これからどう関わり続けていくのか(というより、そもそも殊この事に関しては内も外もないのだと思います)。
基本的に、東日本大震災、そして原発事故を目にした人には、
「自分も何かしたい」
「力に成りたい」
そうした思いがあると思います。
だからこそ、1兆円を超える寄付が集まり、
日本人の約77%が何らかの寄付をしたという数字に繋がっているのだと思います。
(引用)東日本大震災から10年、日本の寄付の現在地|ファンドレイジング・ジャーナル・オンライン – Fundraising Journal online (jfra.jp)
しかし、あの震災から11年が経過。
時の流れと共に、徐々に徐々に震災が忘れ去られていこうとしていることは紛れもない事実です。
この本はその流れに抗う、記憶の風化に立ち向かう一冊であると思います。
旧津島村は帰還困難区域に指定され、立ち入りが制限されています。
しかし、村が無くなったわけではありません。
たとえ故郷に戻れなくても、この先地図から消されるようなことになったとしても、「村」は人々の記憶の中で存在し続ける。
帰れない村 福島県浪江町「DASH村」の10年 プロローグより
本書は基本的に2ページのインタビューと4ページの写真のセットで構成されています。
写真は全てモノクロ。
写真が読者へと語りかける本です。
旧津島村の人々を追ったルポタージュ。
是非お読みください。
文庫本
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