【書評・紹介】『廃墟集塊』 mocha
朽ち果てていく人工物を描いた感動的画集
| 美しさ | |
| 心を奪われる度 | |
| 泣ける度 | |
| 感動度 | |
| 電子書籍 | 無し |
あらすじ
廃墟のイラストを2016年頃から描いて、今年までの総集編の画集を作りました。在庫がなくなった既刊が出てきたので1つの節目として今作を作りました。 96Pに100点以上の作品を入れて、自費出版ではなかなかハードルの高い厚みになりました(笑)外出しにくいご時世ですので、少しでもお家の中で楽しめるものになっているといいなと思います。エア廃墟探索へ是非。
廃墟画集『廃墟集塊』2016-2021総集編 – Mocha Booth – BOOTH
B5サイズ/カラー/96ページ/掲載作品101点
書評
mocha先生による、廃墟を題材とした画集です。
と、言っても、THE廃墟というようなイラストもあれば、これは廃墟?というようなイラストもあり、
廃墟がテーマというよりも、
「人工物の風化」がテーマというような気がします。
この画集の魅力はその
という点にあると思います。
廃墟をテーマとした写真集は数多く出ています。
素晴らしいものもたくさんあります。
ですが、写真では絶対に撮れないものがあります。
1つは、動物を被写体としたもの。
動物は撮影者の思い通りに動いてはくれませんし、生息地などの兼ね合いで撮影が不可能な場合も多々あります。
しかし、イラストではその点を気にする必要がありません。
本書は、表紙のように一人の女性と廃墟を描いたイラストの他に、
動物と廃墟を取り合わせたものも多く掲載されています。
ネコ、ハト、カエル、キンギョ、メダカ、リス、タヌキ、ウサギ、キツネ、イノシシ、カラスetc…..。
こうした自然を表す動物が、人の手を離れ整備されず朽ち果てていく人工物と共に描かれている。
そもそも、この画集で描かれる廃墟はなぜ廃墟となったのか。
住む人が他の地へと去ったのか、はたまた文明が崩壊したのか。
かつて人が作ったものが、今では自然と共にある。
その光景自体に感情が揺り動かされますし、
何故そうなったのかと思いを馳せることもできます。
私は特に、「見つけた」という作品に心を動かされました。
花柄が描かれた少しおしゃれなやかん(ケトル)。
そこに溜まった雨水。
その水の中から生える水草と、そこから顔を出すカエル。
それなりの値段がしたであろうやかんを、今となっては我が物顔で使うカエル。
タイトルの「見つけた」は、
このイラストを実際に見た人がカエルを見つけて発した言葉なのか、
カエルがお気に入りの住処を見つけたことを指すのか。
また、季節変化が描かれている点も本書の魅力です。
同じ場所の風景を、異なる季節や天気で描いたイラスト。
季節や天気が違うだけで、まったく違う顔を見せる廃墟。
好きです。
でもやっぱり一番私が好きだったのは、
廃墟と制服を着た一人の女子高生の取り合わせ。
なぜ彼女はそこにいるのか。
登下校の最中に寄る場所とも思えない。
私自身は、文明社会が滅びた後、一人、かつて文明があったのだということを証明する廃墟を訪れたように思えました。
赤く錆び、緑が侵蝕を始めている中、一人その場所を訪れた女子高生。
彼女は、一人、その光景を見て何を思うのでしょうか。
本書に収録されている絵はどれも美しく、感動的です。
そして、どこかストーリー性を感じさせるものでもあると思います。
水、緑、光、陰、星、人工物、人、動物。
我々が生きている世界では目にすることのないであろう、これらの取り合わせ。
感動的、以外に言葉がありません。
リンクを載せたところで1円のアフィリエイト収入も入らないのに、
それでもここで紹介したい、この素晴らしさをもっと多くの人に知ってもらいたい、
と思うほど素晴らしい画集でした。
是非、この美しいイラストを楽しんでください。
同人誌
dorasyo329
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