【書評・紹介】『ハダカデバネズミ 女王・兵隊・ふとん係〈生きもの〉』 吉田重人、岡ノ谷一夫
ハダカデバネズミってどんな生き物?
真社会性を持つ数少ない哺乳類にして、ガン耐性や低酸素耐性でも注目を浴びるハダカデバネズミがわかる一冊
イラスト:べつやくれい
| わかりやすさ | |
| 読みやすさ | |
| 専門性 | 低 |
| 電子書籍 | 有り |
あらすじ
ひどい名前,キョーレツな姿,女王君臨の階級社会.動物園で人気急上昇中の珍獣・ハダカデバネズミと,その動物で一旗あげようともくろんだ研究者たちの,「こんなくらしもあったのか」的ミラクルワールド.なぜ裸なの? 女王は幸せ? ふとん係って何ですか? 人気イラストレーター・べつやくれい氏のキュートなイラストも必見!
■著者からのメッセージ
ハダカデバネズミ – 岩波書店 (iwanami.co.jp)
豊臣秀吉は信長から愛着を込めて「ハゲネズミ」と呼ばれていたそうですが,本書で紹介するのは「ハダカデバネズミ」です.初めて目にした人々は,「グロいよ!」「えーっ,カワイイじゃない」と,まちまちの感想をもちます.要するに,とてもヘンな外見の珍獣です.
ハダカデバネズミは,風変わりな生活を営んでいることも分かってきました.女王,尻に敷かれる王,階級社会,下克上…….人間社会に関係のあるキーワードも次々と登場します.彼らはいったい何者なのか? この動物の謎に迫る私たち研究者の奮闘ぶりも紹介します.
人気イラストレーター・べつやくれいさんの,この動物への愛情あふれるイラストも必見です.
書評
ハダカデバネズミ
ご存知ですか?
名前くらいは聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
こんなネズミです。
上野動物園にいます。
ヨボヨボで出っ歯で、端的に言えば可愛くない。
でも一周周ると可愛いかも?
なハダカデバネズミ。
エチオピアやソマリアなどアフリカの角と呼ばれる地域に生息するネズミです。
実はこのハダカデバネズミ、生物学的、そして医学的にとても面白い生物なんです。
まず挙げられるのが「真社会性」。
世代の重複、親以外の個体による子育て、繁殖しない個体を伴う役割分業の三点を満たす社会の総称。アリやハチなどの膜翅目の昆虫が一般によく知られているが、その他、多くの分類群にて、その存在が確認されている。哺乳類では、齧歯目デバネズミ科のハダカデバネズミとダマラランドデバネズミの2種のみが真社会性の基準を満たしている。
【プレスリリース】哺乳類における複雑な社会への進化過程を解明:真社会性であるデバネズミ二種にかかる淘汰圧の比較 | 新着情報 | 国立大学法人 総合研究大学院大学 (soken.ac.jp)
例えばアリ。
一般的には、女王アリ、王アリ(オスアリ)、働きアリに分かれています。
子供を産むのは女王アリだけ。
働きアリは子供を産みません。
あるいは、ミツバチ。
嬢王蜂、王蜂(オス蜂)、働き蜂に分かれています。
子供を産むのは嬢王蜂だけ。
働き蜂は子供を産みません。
そしてどちらも、生まれた子供の世話を労働階級の個体が行う。
こうした生態を「真社会性」といいます。
そして、哺乳類でこの「真社会性」をもつのはハダカデバネズミとダマラランドデバネズミだけ。
哺乳類ではとても珍しいんです。
またこのハダカデバネズミ。
ガンになりません。
無酸素で18分も生きられます。
そうした面白い生態をもつハダカデバネズミを解説しているのがこの一冊。
ハダカデバネズミの生態や特徴、研究史といったことはもちろんのこと、
著者がハダカデバネズミを日本に連れてくるまでの苦労、
あるいは飼育の苦労。
そうしたことが軽妙な語り口調で述べられています。
ハダカデバネズミという世にも奇妙な生き物を知ることができる一冊。
是非お読み下さい!
単行本
電子書籍
dorasyo329
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