【書評・紹介】『‟もしも″絶滅した生物が進化し続けたなら ifの地球生命史』 土屋健

2022年8月19日受験勉強の息抜きに読みたい勉強になる本,教養書,生物学,図鑑

もしも絶滅した生物が進化し続けたなら?
をコンセプトに専門家がガチで作った1冊

著者:土屋健
イラスト:服部雅人
監修:藤原慎一、椎野勇太、松田眞由美

読みやすさ
ロマンを感じる度
独自性
電子書籍 無し
広告

あらすじ

大人が楽しめる,超リアルなビジュアルブック!
今回は,地球生命史における「if(もしも)の進化」に迫ります。
古生物は,すでに絶滅しています。
しかし,もしも古生物が“何らかの理由で”絶滅を回避し,子孫を残したとしたら,いったいどのような姿へと進化を遂げるのでしょう?
古生代の,あの甲冑魚が滅びなかったとしたら。
中生代の,あの肉食恐竜が滅びなかったとしたら。
新生代の,あの哺乳類が海洋進出をしなかったとしたら。
この本では,そんな「ifの物語」を,超リアルなCGを駆使して展開してみました。
もっとも,いくら「if の世界」であるとはいえ,この本に登場する“if の古生物” は,完全な想像ではありません。
これまでの研究によって明らかになっている進化の系統,生態,他の古生物たちとの関係,周囲の環境などの情報をもとに,専門家とともに
「この系譜で進化してきた古生物が,もしも,このまま進化を遂げたら,こんな種が登場したのではないか」
と“科学的思考実験”を行っています。
「あの魚,このまま進むとこんなになっちゃうの?」
「あの恐竜,こんな環境に進出しちゃうの?」
「あの哺乳類,食べ物を変えてこんな姿になるの?」
古生物たちの進化傾向と生存戦略を,直感的につかんでもらえます。
実在の古生物とifの古生物が交錯しながら展開する奇妙な世界。
古生物のもつ「思考実験を行う楽しさ」を感じてもらえる,マニアックな1冊です。

“もしも”絶滅した生物が進化し続けたなら ifの地球生命史:書籍案内|技術評論社 (gihyo.jp)

書評

もしも〇〇が絶滅していなかったら。
そう考えたことはありませんか?

もしも、ティラノサウルスが絶滅していなかったら?
もしも、アンモナイトが絶滅していなかったら?
もしも、ユーステノプテロンが絶滅していなかったら?

この本はそうした「もしも〇〇が絶滅していなかったら」を科学的に予想し描いたものです。
(ユーステノプテロンは残念ながら出てきませんが)

アノマロカリス三葉虫に代表される、古生代の生物がもしも滅びていなかったら、繁栄を続けていたら。
古生代の生物が9ケース、12種。

ティラノサウルスを始めとする恐竜など、中生代の生物がもし大量絶滅に遭遇していなかったら、滅びていなかったら。
中生代の生物が9ケース、11種。

もしもクジラなどが出現しなかったら、もしも絶滅したグループが絶滅していなかったら、そしてイヌネコは今後どのように進化していくのかなど、
新生代の生物が7ケース、8種。

あわせて、25ケース、31種の動物のもしもが描かれています。

一例を挙げると、表紙にも描かれているアンモノイド
アンモナイトは狭義の分類名でアンモノイドは広義の分類名。

生物史の上では

世界中の海洋に大繁栄を遂げたが、白亜紀末期(約6550万年前)に陸上の恐竜類などと一緒に完全に絶滅した。

アンモナイトとは – コトバンク (kotobank.jp)

とあるように、白亜紀末にそのほとんどが絶滅しました。

そんなアンモノイドがもし絶滅していなかったら?

アンモノイドの進化の系譜を見ると

古生代デボン紀の「殻が巻いていない」先祖から
→「殻が巻いている」いわゆるアンモナイト
中生代白亜紀の「殻が巻いていない」異常巻きアンモナイト

という流れが見て取れるそうです。

その流れに基づいて考え出されたのが表紙のアンモノイド
その名も、トルペドケラス・ムルティラミナートゥム

もしアンモノイドが絶滅していなかったら、このような生物が世界中の海にいたのかもしれません。

本書にはこういったことの他に
・ifのSTORYという物語
・形態
・生態
などがイラストと共に描かれています。

そんな本書のすごいところは、

製作者陣の本気度!

お遊びじゃありません。ガチです。
製作期間は2年半。構想にいたってはなんと10年以上。

脊椎動物監修の藤原先生、無脊椎動物監修の椎野先生はもちろん古生物の専門家ですし、ifの生物の学名に至っても松田先生というラテン語担当の監修者が監修しています。

イラスト担当の服部先生の描写力はもう表紙イラストを見ればおわかり頂けると思います。

筆者の土屋先生を中心に議論を重ね考えられた25ケースのifの生物。

地学的、生物学的面白さはもちろんのこと、イラストが多数収録されていることから、見て楽しむ図鑑としても読むことができます。

化石のロマンというかは、「太古の昔のこんな生物が生きていたんだ」というような言葉でよく表現されますが、
この本はその更に先を行く「太古の昔の生物が絶滅していなかったら、こんな生物が今周りにいたかもしれないんだ」というロマンを感じることができます。

もしも絶滅した生物が進化し続けたなら?
をコンセプトに作られた一冊。
是非お読みください!

単行本

The following two tabs change content below.
自称システムエンジニアのくせに、農学系の地方国立大に通うおかしな生き物。 ひつぎ教育研究所社長。 好物は恋愛小説と生物学、哲学。BL以外はなんでも読む雑食。 一応、将棋のアマ三段。