【書評・紹介】『日本アニメ史 手塚治虫、宮崎駿、庵野秀明、新海誠らの100年』 津堅信之
アニメの歴史を辿る一冊
これを読まずしてアニメの歴史は語れない!
アニメイトでも販売中のアニヲタ必見の書!
| 読みやすさ | |
| わかりやすさ | |
| アニメ好きの満足度 | |
| 専門性 | 低 |
| 電子書籍 | 有り |
あらすじ
初の国産アニメが作られてから、一〇〇年余り。現在、海外でも人気が高く、関連産業も好調だ。本書は、今や日本を代表するポップカルチャーとなったアニメの通史である。一九一七年の国産第一作に始まり、テレビでの毎週放送を定着させた『鉄腕アトム』、監督の作家性を知らしめた『風の谷のナウシカ』、深夜枠作品を増大させた『新世紀エヴァンゲリオン』など、画期となった名作の数々を取り上げ、その歴史と現在を描く。
日本アニメ史 -津堅信之 著|新書|中央公論新社 (chuko.co.jp)
書評
日本のアニメの歴史を辿る本です。
みなさんは日本初のアニメ作家をご存知でしょうか?
私はこの本を読むまで知りませんでした。
北山清太郎、下川凹天、幸内純一の3人が先駆者として挙げられるそうです。
この頃が大正。
そして昭和に入って、「日本アニメーションの父」と評される政岡憲三の登場。
この方の系譜はスタジオジブリへと繋がるそう。
そして戦争に伴い、プロパガンダアニメの誕生。
などと、歴史に沿ってその時代の作家や作品、特性などが述べられていきます。
特に日本のアニメと戦争の関係性については、ご存知の方は少ないと思います。
戦争がアニメの発展に与えた影響。
皮肉な話、戦争があったからこそ日本のアニメはここまで発展することができたと言えるかもしれない。そんな歴史もつぶさに描かれています。
そして戦後、テレビ放送の本格化。
ここでは、映画やテレビアニメの他に、最近では当たり前となったアニメCMについても触れられます。
日本初のアニメCMを作った会社は、今でも世界的に有名なあの企業です!
戦後アニメは東映映画(現在の東映)によって形作られていきます。
2019年の朝ドラで描かれた「東洋映画」のモデルは恐らくこの東映映画です。
そして東映は日本アニメに欠かせないあのジャンルを始めます。
そう!魔法少女!
1966年放送開始の『魔法使いサリー』が魔法少女の始まりです。
この作品が生まれた背景なども本書では触れられています。
その2年後の1968年。
遂にあの2人の名前が登場します。
「宮崎駿」と「高畑勲」。
スタジオジブリの巨匠2人。
監督:高畑勲、場面設計:宮崎駿による『太陽の王子 ホルスの大冒険』の公開です。
そして日本アニメ史に欠かせないあの作品の登場はこの少し前の1963年。
内容もさることながら、毎週1回・1話30分・連続放送という、今となっては当たり前の形式を初めて採用したあの作品。
『鉄腕アトム』です。
本書はこの『鉄腕アトム』、作者・監督の「手塚治虫」、そして制作会社「虫プロ」について第4章をまるまる使って取り上げています。
当時いかにこれが画期的だったのか、どれだけの影響をアニメ業界に与えたのかなどなどが語り尽くされます。
戦前のアニメなどは興味がないという人も、この4章だけは絶対に読むべきです。
日本アニメが進む道を決定づけ、そして今でも影響を与え続けているのが、『鉄腕アトム』であり「手塚治虫」であり「虫プロ」なのですから!
そうして、1970年代。
遂に大人向けアニメが生まれます。
1971年の『ルパン三世』などがその最たる例。
そしてこの頃には今でも大人気のアニメ作品
『サザエさん』、『宇宙戦艦ヤマト』、『アルプスの少女ハイジ』、
あるいはロボットアニメの祖とも言える『マジンガーZ』
などが誕生していきます。
この第5章では、これらの作品の説明と共に、どういう点が特徴的だったのか、そしてその後に与えた影響などが述べられています。
そしてその後は第6章で、アニメブーム。
宮崎駿の初期作品や週刊少年ジャンプのアニメ化作品など。
第7章で、『風の谷のナウシカ』やビデオの登場、ファミリー向けアニメの躍進など。
第8章で、『エヴァンゲリオン』の登場や『スタジオジブリ作品』の躍進、深夜アニメの増加など。
第9章で、アニメの国際化とインターネット。
第10章で、『君の名は。』そして次代を担う作家たち。
終章で、NetflixやHuluなどの配信アニメについて。
が語られていきます。
恐らく、第3章までは当事者意識を持って読めないものの、
第4章以降は、あの作品はここに繋がるのかや、あれはすごかったなど、自分の体験と共に読めると思います。
一例を挙げるのならば、例えば第6章で語られる『ルパン三世 カリオストロの城』。
今でこそ宮崎駿の傑作であり不朽の名作として知られますが、当時は不成功作。
しかし当時、とある賞を受賞しており、その内膜も書かれています。
そしてそこから繋がる第7章の『風の谷のナウシカ』、第8章の『もののけ姫』。
宮崎駿、高畑勲、スタジオジブリ。その歩みにはある種の感動を覚えます。
日本のアニメは日本独自の文化として発展してきました。
私は良い意味でのガラパゴス化であると思っています。
では、そのガラパゴス化はいかにして達成されてきたのか。
それを教えてくれるのが本書です。
一方で、
本書は日本のアニメ史を書いてきたが、実質的には作品史であり、監督史観が中心であり、付随してスタジオ史を織り交ぜた。
日本アニメ史 あとがき より
(中略)
一方、アニソンといわれるアニメの主題歌をはじめとする音楽、また声優の仕事にはほとんど触れられなかった。
と著者があとがきでも触れているように、基本的には作品とサブタイトルにある監督らが主であり、その他の要素の扱いが極めて小さい。
また、テレビアニメに比して映画の描写が幾分多いようにも感じられました(尤も『ジブリ作品』や『君の名は。』、『鬼滅の刃 無限列車編』など世間の耳目を集めた作品がどれも映画である以上当然と言えもします)。
また始めの方では、CMや教材などにおけるアニメも扱っていたが、後半に行くに連れ扱われなくなっていきました。
日本アニメ史であるのだから、CDのアニメPVや画期的なアニメCMなどにももう少し触れて欲しかったところです。
尤も、これだけの作品、作者を取り上げている以上、情報の取捨選択がなされるのは当然のこと。
日本のアニメ史の概観をたった300ページで書き上げている。
それだけで本書は称賛に値します。
日本の"アニメ"はどうやって生まれ、そしてこれからどこに向かっていくのか。
アニメファン、アニメヲタクのみならず
アニメが好きという感情があるのならば、読んで損はない一冊です。
是非お読みください!
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dorasyo329
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