【書評・紹介】『二院制議会の比較政治学 上院の役割を中心に』 岩崎美紀子
参議院が抱える問題点はここだ!
各国の上院を比較することで、参議院のこれからを考える!
| 読みやすさ | |
| わかりやすさ | |
| 専門性 | やや低 |
| 電子書籍 | 無し |
あらすじ
今日,民主主義諸国の多くが採用する二院制議会.中でも上院が特徴的な五つの国,カナダ,イタリア,スペイン,ドイツ,オーストラリアを取り上げ,各国の歴史的・政治的な背景を考慮しながら,議院の構造と権限,そして両院の力関係について言及する.参議院のあり方が問われている日本は,こうした国々から何を学ぶべきか.
二院制議会の比較政治学 – 岩波書店 (iwanami.co.jp)
書評
参議院不要論。
という言葉を聞いたことはありますか?
参議院は「良識の府」とも呼ばれますが、
- 世界の多くの国は一院制
- 衆議院と選挙制度が大きく変わらない
- 予算削減
- ねじれ国会の問題
- 参議院の「衆議院のカーボンコピー」化
- 審議のスピード化
などを理由に、参議院は不要であり廃止すべきという意見が年々強まってきています。
しかし一方で、一院制の国が多いとはいえ、先進国の多くは二院制。
それらの国でも、一院制にしようという動きはありますが、一般に日本ほど強くはありません。
この本はその二院制を採用している5カ国の議会、特に上院を比較することで、上院が担うべき役割とは何かを考える本です。
また、その考察をもとに、日本の上院(参議院)が果たすべき役割ついて考えていきます。
紹介される5カ国は、
カナダ、オーストラリア、イタリア、スペイン、ドイツ。
カナダ、オーストラリアはイギリス型議院内閣制の一例として。
イタリア、ドイツは日本と同じ敗戦国として。
スペインはイギリス型ではない立憲君主制国家として。
ここで重要なのは、この国の上院は素晴らしいと評価する本ではないということです。
どの国の上院にも、長所短所があります。
その国の政治史と共に、議院の性格、議会選挙、両院の関係などを分析していくのが本書です。
各国の上院にはかなりの違いがあります。
同じ旧英国植民地であるカナダとオーストラリアでさえもかなり違います。
たとえば、選挙制度。
日本の参議院と同じ様に国民の代表として選ぶのか、それとも州などの地域の代表として選ぶのか。
あるいは、両院の関係。
日本では予算の議決や首相の指名などにおいて、衆議院の優越が規定されていますが、
たとえばイタリアでは首相は両院の信任を得ないといけないなど、これも各国で差異があります。
そうした比較政治学的知見から、日本の参議院を考えてみる。
昨今、その是非はともかくとして憲法改正議論が今までにないほど盛り上がっています。
そして、その中において参議院の役割も議論されています。
また、一票の格差や合区の問題も議論されています。
参議院を廃止するのか、地域割にするのか、など。
そうした参議院のこれからを考える上で、各国の上院を比較した本書は間違いなく有意義です。
参議院はどうあるべきかを考える時に役立つ一冊。
是非お読みください!
単行本
dorasyo329
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