【書評・紹介】『沖縄美ら海水族館はなぜ役に立たない研究をするのか?サメ博士たちの好奇心まみれな毎日』

SDGs・持続可能な社会を考える上で読んでおきたい本,受験勉強の息抜きに読みたい勉強になる本,教養書,水産学,生物学,ドキュメンタリー新型コロナウイルス感染症

美ら海水族館の研究者達が語る。
その日常から研究、コロナ禍での水族館。

著者:佐藤圭一、冨田武照、松本瑠偉
イラスト:冨田武照

わかりやすさ
読みやすさ
考えさせられる度
専門性
電子書籍 有り
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あらすじ

年間入場者数300万人超えの大人気水族館「沖縄美ら海水族館」は超一流研究施設でもあった!
世界が憧れる沖縄美ら海水族館の、知られざる日常と非日常を綴った一冊。
・水族館は不要不急⁉
・ジンベエザメの採血&エコー
・「メガロドンは深海ザメですか?」
・古代ザメの幻のペニスを求めて
などなど、気になる話題が盛り沢山!

沖縄美ら海水族館はなぜ役に立たない研究をするのか? サメ博士たちの好奇心まみれな毎日 佐藤 圭一(著/文) – 産業編集センター | 版元ドットコム (hanmoto.com)

書評

沖縄県にある美ら海水族館。
表紙イラストにあるように、ジンベイザメの飼育で有名です。

そして本書はその美ら海水族館で働く「サメ博士」、サメの研究者達の日々を綴ったものです。

水族館の職員の仕事というと、ぱっと思い浮かぶのは
・動物達の世話
・来館者への応対
といったところでしょうか。

それも水族館の大切な業務です。
ですが、他にも大切な業務、役割があります。

そもそも水族館とは何かと言われて、きちんと説明できるでしょうか?
恐らく多くの方が説明できないと思います。
私も大学の講義「博物館概論」で学ぶ以前はきちんと説明できませんでした。

もう半ば答えを言っちゃっていますが、多くの水族館は博物館でもあります。
これ、面倒臭いところなのですが、博物館について定めた法律「博物館法」には「水族館」という文字が出てこないんですよね。

ですが、その二条で
「この法律において「博物館」とは、歴史、芸術、民俗、産業、自然科学等に関する資料を収集し、保管(育成を含む。以下同じ。)し、展示して教育的配慮の下に一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資するために必要な事業を行い、あわせてこれらの資料に関する調査研究をすることを目的とする機関(後略)」とあり、この「自然科学等に関する資料を育成、展示」に水族館が該当するものとされています。

では、博物館の役割とはなにか。
同三条に書かれているので一部抜粋すると
・実物、標本、模写、模型、文献、図表、写真、フィルム、レコード等の博物館資料を豊富に収集し、保管し、及び展示すること。
・一般公衆に対して、博物館資料の利用に関し必要な説明、助言、指導等を行い、又は研究室、実験室、工作室、図書室等を設置してこれを利用させること。
・博物館資料に関する専門的、技術的な調査研究を行うこと。
・博物館資料の保管及び展示等に関する技術的研究を行うこと。
・社会教育における学習の機会を利用して行つた学習の成果を活用して行う教育活動その他の活動の機会を提供し、及びその提供を奨励すること。

長々と法律について書いてきて何がいいたかったのかというと、
水族館は「研究機関」でもあるということです。

そして本書は、その水族館の研究機関としての面にスポットを当てたものです。

出てくる話は色々あります。
・表紙イラストにもあるようにジンベイザメの研究
・サメの人工子宮の研究
メガロドンの研究やサメの進化の研究
などなど。

他にも興味深い話がありました。
コロナ禍と水族館の話です。

新型コロナウイルスの流行によって、他の業種同様、水族館にも休業要請が出されました。
しかし、休業と言っても動物たちの世話はあるわけです。
また、入館料やグッズの販売によって得ていた収入が立たれた中でも、水温や水質の維持のために莫大なランニングコストがかかります。

そうした経済的影響。
そして、水族館は不要不急なのかという葛藤。
新型コロナが水族館にもたらした影響がまざまざと語られています。

美ら海水族館のサメ研究者達がその日常を語った一冊。
是非お読み下さい!

単行本

電子書籍

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自称システムエンジニアのくせに、農学系の地方国立大に通うおかしな生き物。 ひつぎ教育研究所社長。 好物は恋愛小説と生物学、哲学。BL以外はなんでも読む雑食。 一応、将棋のアマ三段。