【書評・紹介】『面白くて眠れなくなる数学者たち』 桜井進

2024年8月5日受験勉強の息抜きに読みたい勉強になる本,教養書,数学,伝記,物理学アルバート・アインシュタイン,山下以登,桜井進

公式の後ろには数学者がいる
数学に人生を捧げた数学者達を追った一冊

著者:桜井進
カバーイラスト:山下以登
本文イラスト:宇田川由美子

読みやすさ
わかりやすさ
著者の熱意を感じる度
感動度
眠れなくなる度
電子書籍 無し
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あらすじ

 数式の解明に人生を捧げた天才たちのドラマ。
 累計35万部を突破したベストセラーシリーズの最新刊!
 ○本書の目次より、ネイピア―多くの人命を救った対数をめぐるドラマ/ニュートン―今も世界を動かす天才物理学者/関孝和―微分積分を自在に操った和算の天才/アインシュタイン―ブラックホールもビッグバンも予言した数式/ボーア・仁科芳雄―摩訶不思議な量子力学を支えた科学者/フェルマー・谷山豊―超難問の完全証明にとり憑かれた数学者たち/ラマヌジャン―美しき公式と円周率の物語
 幾多の数学者、物理学者が発見してきた数式を眺めるとき、私の心に去来する蒼穹の思い。数式はひとたび発見され、その正しさが証明されるならば、永遠に、その輝きを眺める人々に与え続けます。永遠、無限、神秘。(中略)たった一本の数式を発見するまでにどれだけの探求者のリレーがあったのかに思いを馳せるとき、感動があふれてきます(「おわりに」より)。

面白くて眠れなくなる数学者たち | 桜井進著 | 書籍 | PHP研究所

書評

面白くて眠れなくなる』シリーズの一作。
今回は数学(者)です。

決して、数学者達が眠れなくなるわけではありませんのでご注意を(笑)

本書は、数学や物理の数式と共に、それらを発見(発明)した数学者達を追ったものです。

そして、肝心の眠れなくなるのかどうか。
私は普通に読んだ後眠りました(笑)

ただ、寝る前に本書に出てきた数学者達のことを思ったりはしていました。
人によっては間違いなく、面白くて眠れなくなるポテンシャルを秘めた一冊と言えるでしょう。

それくらい、私達の知らない数学者達の話を面白く描いている本です。

ここからは、章・数学者ごとに紹介していきます。

第1章 ネイピア

「多くの人命を救った対数をめぐるドラマ」

扱う数学のレベル的にも、エピソード的にも、読者が一番面白いと感じる章ではないでしょうか。

取り上げられるのは「ネイピア」。
16世紀~17世紀にかけての数学者。

扱われるのは「対数」。
M=α を
p=logαM と表すあれです。

高校でやりましたよね?

このlog、対数が作られるまでの物語です。
その後ろにいたのがネイピア、そしてもう1人の数学者。

高校では教えてくれなかった、logは一体何の役に立つのかという話と共に、数学者の感動のエピソードが語られます。

第2章 ニュートン

「今も世界を動かす天才物理学者」

取り上げられるのは「ニュートン
言わずとしれた17世紀~18世紀の数学者。
りんごの人です。

そんなニュートンの業績を明らかにしていくのが本章。
エピソードよりも数式などの解説が主で、人によっては眠くなるかもしれません。

第3章 関孝和

「微分積分を自在に操った和算の天才」

取り上げられるのは「関孝和
17世紀から18世紀に活躍した日本の和算家(数学者)。

和算とは何か。そして、鎖国の中にあって西洋の数学(洋算)の先を行った関孝和のエピソードが数式とともに語られます。

第4章 アインシュタイン

「ブラックホールもビッグバンも予言した数式」

取り上げられるのは「アインシュタイン」。
19世紀から20世紀にかけての物理学者。
言わずとしれた天才

数学者というより物理学者ということで、扱われる内容も数学ではなくほぼ物理。
相対性理論、更には統一理論までわかりやすく言葉で解説してくれていますが、
ここら辺からはもう結構数式の解説もおざなりで、
言葉での説明を受けて、よくわからないけどすごいんだ!
って感じる人が多いのではないでしょうか。

第5章 ボーア・仁科芳雄

「魔訶不思議な量子力学を支えた科学者」

取り上げられるのは2人の物理学者。
ボーア」、「仁科芳雄」共に20世紀の物理学者。
ボーア量子力学を発展させ、仁科芳雄は日本でその量子力学を普及させました。

シュレディンガーの猫に始まり、コペンハーゲン解釈シュレディンガー方程式EPRパラドックスと量子力学が解説されていきますが、後半はもう著者も数式を説明をする気がありません。
とにかく要点を絞り、例えることで読者に理解させようとしてくれてはいますが、数式は完全に置き去り。

数式について理解しなくて良い分、量子力学についてなんとなくわかった気にさせてくれる章です。

尤も、本章において重きを占めるのは数式というよりもエピソード。
ボーア仁科芳雄
そして、仁科芳雄に連なる日本の物理学者の系譜。
戦中、戦後においての苦労など、著者の熱意を感じる章となっています。

第6章 フェルマー・谷山豊

「超難問の完全証明にとり憑かれた数学者たち」

取り上げられるのは2人の数学者。
フェルマー」は17世紀、「谷山豊」は20世紀の数学者です。

題材はもちろん「フェルマーの最終定理」。

xn+yn=zn (nが3以上の自然数の時、この等式を満たすような0でない整数x、y、zは存在しない。)
というあれです。

副題の通り、この2人の数学者というよりも、フェルマーの最終定理に挑んだ数学者達について語られると言った方が正しいかもしれません。

そしてこちらも例に漏れず、数式についての説明は不十分。
数式の意味する所をだいたい理解して、エピソードを読み進めていく感じの章です。

第7章 ラマヌジャン

「美しき公式と円周率の物語」

取り上げられるのは「ラマヌジャン」。
19世紀~20世紀にかけての数学者。

彼が残した円周率の数式について語られるのが本章。
こちらも証明とかについては省かれがちですが、数式の美しさについてはわかってもらえるのでは、という章です。

総評

あまり知られていない「数学者」にスポットを当て、数式や物理学と結びつけて解説した一冊。
数式などについての説明ははっきり言って不十分であり、読者にとって理解しやすいものであるかは疑問ですが、大まかな流れをつかむという点では、わかりやすい一冊であると思います。

何より大事なのは、数学者のエピソード。
数式とかよりもむしろこちらに魅了される人の方が多いのではないでしょうか。

ネイピア然り、ボーアと仁科芳雄然り。
数学、物理好きでなくとも、数学者達の人生に感動を覚えると想います。

数学者に焦点を絞り、エピソードと共に数学・物理を解説した一冊。
是非お読みください!

単行本

加筆修正、新規原稿追加、改題前の本。

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自称システムエンジニアのくせに、農学系の地方国立大に通うおかしな生き物。 ひつぎ教育研究所社長。 好物は恋愛小説と生物学、哲学。BL以外はなんでも読む雑食。 一応、将棋のアマ三段。