【書評・紹介】『世界史を大きく動かした植物』 稲垣栄洋

2024年8月5日受験勉強の息抜きに読みたい勉強になる本,教養書,農学,歴史

人間の歴史は植物とともにあった。
イネ、コムギ、トウモロコシの三大穀物からトマトやサクラまで
人類史と植物の関わりを知ることができる一冊

著者:稲垣栄洋

わかりやすさ
読みやすさ
専門性
電子書籍 有り
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あらすじ

 一粒の小麦から文明が生まれ、茶の魔力がアヘン戦争を起こした――。
 人類は植物を栽培することによって農耕をはじめ、その技術は文明を生みだした。作物の栽培は、食糧と富を生み出し、やがては国を生み出した。人々は富を奪い合って争い合い、戦争の引き金にもなった。
 歴史は、人々の営みによって紡がれてきたが、その営みに植物は欠くことができない。人類の歴史の影には、常に植物の存在があったのだ(本書の「はじめに」より)。
 【本書の目次より】コムギ―― 一粒の種から文明が生まれた/イネ――稲作文化が「日本」を作った/コショウ――ヨーロッパが羨望した黒い黄金/ジャガイモ――大国アメリカを作った悪魔の植物/ワタ――「羊が生えた植物」と産業革命/チャ――アヘン戦争とカフェインの魔力/ダイズ――戦国時代の軍事食から新大陸へ/チューリップ――世界初のバブル経済と球根/サクラ――ヤマザクラと日本人の精神…

世界史を大きく動かした植物 | 稲垣栄洋著 | 書籍 | PHP研究所

書評

人類史は植物とともにあった。
と言われてピンと来るでしょうか?

イネやコムギのこと?と思われるでしょうか。
なるほど。どちらもとても重要な穀物。
これらも間違いなく人類史に欠かすことのできない植物です。

ですが、人類史に大きく影響した植物はそれら穀物だけではありません。

本書はそうした人類史と密接な関係にある14の植物を取り上げています。

取り上げられているのは

  • コムギ
  • イネ
  • コショウ
  • トウガラシ
  • ジャガイモ
  • トマト
  • ワタ
  • チャ
  • サトウキビ
  • ダイズ
  • タマネギ
  • チューリップ
  • トウモロコシ
  • サクラ

コムギ、イネ、トウモロコシは当然ですね。
なにせ、世界三大穀物ですから。

コショウやジャガイモ、ワタ、チャ、サトウキビも納得の選出。
コロンブスが香辛料を求めて西インドに行った話や
アイルランドでの「ジャガイモ飢饉」。
綿花の紡績によって起こった「産業革命」。
「ボストン茶会事件」などチャを巡るあれこれ。
砂糖のための「プランテーション農業」。

中学の社会や高校の歴史で扱ったはずですが、覚えていますか?

しかし本書で取り上げられている植物はまだまだあります。

トウガラシ、トマト、ダイズ、タマネギ、チューリップ、サクラ。

これらの植物が「世界史を大きく動かした」と言われて、きちんと説明できるでしょうか。
いまいちピンと来なくても、本書を読めば、なるほど確かにと納得できます。

植物という観点から見た歴史。
面白いです。

しかし、一方で注意が必要だなと思う点も。

著者の稲垣栄洋氏は植物学者です。
恐らく植物が大好きなのでしょう。
世界史上の色々な出来事をこの植物がもたらした!と説明することが多いです。

しかし、歴史というものは何か一つの要因だけで動くものではありません。
その多くは様々な複合要因によって起きたことです。
その点だけは意識して読むべきかなと思いました。

尤も当然といえば当然のことですが。

本書の魅力は前述の通り、植物という観点から見た歴史という面白さにあります。
そして、その説明がとても読みやすいのも魅力です。

200ページほどの本を14章で区切っているといえばその短さがおわかり頂けると思いますが、
さらにその章の中の文章もかなり小さく区切られています。
このことによって、本が苦手だったり歴史が苦手だったりする人にもとても読みやすい一冊になっています。

人類史は植物とともにあった。
14の植物を通してみる世界史。
是非お読みください!

単行本

電子書籍

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自称システムエンジニアのくせに、農学系の地方国立大に通うおかしな生き物。 ひつぎ教育研究所社長。 好物は恋愛小説と生物学、哲学。BL以外はなんでも読む雑食。 一応、将棋のアマ三段。