【書評・紹介】『社会はなぜ左と右にわかれるのか 対立を超えるための道徳心理学』 ジョナサン・ハイト
政治の二極化が進む今だからこそ読んでおきたい。
心理学的に現状を分析し、未来を考える一冊!
訳:高橋洋
| 読みやすさ | |
| わかりやすさ | |
| 考えさせられる度 | |
| 未来を考える上で読んでおきたい度 | |
| 新発見度 | |
| 専門性 | 中 |
| 電子書籍 | 有り |
あらすじ
理性に訴えるリベラルは、感情に訴える保守には勝てない――気鋭の社会心理学者が、従来の理性一辺倒の道徳観を否定し、感情のもつ力強さに着目した新たな道徳心理学を提唱する。豊富な具体例と、進化心理学や生物学、哲学、社会学などの幅広い知見を応用した説得力のある理論で道徳を多角的に分析し、明快に解説した全米ベストセラー。
社会はなぜ左と右にわかれるのか ジョナサン ハイト(著/文) – 紀伊國屋書店 | 版元ドットコム (hanmoto.com)
書評
社会は何故左と右に分かれるのか。
心理学的に分析した一冊です。
まずは左と右の定義から。
本書では左をリベラル、右を保守と定義します。
即ち、
左=リベラル=民主党
右=保守=共和党
という図式です。
その上で社会は何故左と右に分かれるのか。
あるいは、何故リベラルは勝てないのか。
心理学の研究を元に、生物学・宗教学などにも言及し解明していきます。
そんな本書は3部構成。
1部ずつ紹介していきます。
第1部 まず直感、それから戦略的な思考
本書の導入にあたる部分です。
心理学とは何か、そして2部以降で展開されていく話を理解するための論理が述べられています。
・道徳には直感や情動が大きく影響する
・理性は情熱の召使いにすぎない
といった具合です。
そしてそれらを多数の実験や事例を元に解説していきます。
特に直感と理性を「象」と「乗り手」に例えた説明はとてもわかりやすいです。
中々本題に入っていかず、ここで断念される方もおられるかもしれませんが、本題に当たる2部以降を読み進めていくためには本当に必要な導入です。
これを読まなければ始まりません。
第2部 道徳は危害と公正だけではない
「リベラルはなぜ勝てないのか?」
それに迫る部です。
言い換えれば、心理学的に保守とリベラルは何が違うのか。
本書では「正義心」を「味覚」のように例えます。
人々は「正義心」を満たしてくれるものを望む。
そして味蕾(味覚受容器)のように、「正義心」にも6つの受容器が存在するのだと。
・ケア/危害
・公正/欺瞞
・忠誠/背信
・権威/転覆
・神聖/堕落
・自由/抑圧
の6つです。
そして、リベラルはこのうち、「ケア/危害」・「自由/抑圧」・「公正/欺瞞」の3つの
保守は6つ全ての基盤に依存していると。
つまり、リベラルは甘みやうま味といった3つの味覚しか刺激しないが、
保守は6全ての味覚を刺激する。
だからこそ、リベラルは保守に勝てないのだと。
これは、保守は直感的(非合理的)、リベラルは理性的(合理的)といったイメージにも合致するものです。
保守は直感に訴えかければ、人々の正義心の6つの受容器全てに刺激を与えることができる。
しかし、リベラルは3つの受容器にしか刺激を与えられず、結果として理性的な主張が主になる。
これをデータと論理によって述べていくのが第2部です。
第3部 道徳は人々を結びつけると同時に盲目する
社会はなぜわかれるのか、即ちなぜ対立するのかに迫るのが第3部です。
「集団志向」について、生物学や宗教学の知見も交えつつ分析していきます。
ヒトは集団を志向する、即ち協力することで生き残りここまでの発展を遂げました。
一方で集団を志向することは、多様性を否定することにも繋がります。
そのことを理解した上で、左と右が対立を超えていくためには何ができるか、何をすべきか。
それを述べていくのが第3部です。
総評
日本のみならず世界で「二極化」が叫ばれています。
政治に関心のある人々は自らの考えによって左と右に分かれ対立。
アメリカのトランプ元大統領の誕生などがその具体例として挙げられます。
身近なところで言えば「ネトウヨ」と「パヨク」。
Twitterなどで検索をかければ今この瞬間も互いを罵り、貶し、否定しています。
では、この状況は望ましいものでしょうか。
互いに互いを否定し、理解し合えない現状は最善のものでしょうか。
私はそうは思いません。
この「二極化」が進む現代において、その対立を乗り越えていくために読むべき一冊が本書です。
心理学の立場に立ち、生物学・宗教学・哲学などの知見も踏まえ、現状を分析し、目指すべき未来を考える。
今だからこそ読むべき一冊です。
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