【書評・紹介】『10万人を超す命を救った沖縄県知事・島田叡』 TBSテレビ報道局『生きろ』取材班

教養書,伝記,ドキュメンタリー,歴史テレビドラマ,沖縄,島田叡

2013年に放送されたテレビドラマ『生きろ~戦場に残した伝言~』の取材メモを元に再構成された一冊

著者:TBSテレビ報道局『生きろ』取材班

読みやすさ
考えさせられる度
電子書籍 無し
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あらすじ

こんな日本人がいた! 命がけで人を守り、戦い抜いた男。
「艦砲射撃・火炎放射器・集団自決。
 そんな沖縄戦の中で『生きろ』と号令した知事。
 TBSのラジオ・テレビが伝えたウチナーの戦が本になった。」
――永六輔

1945年1月太平洋戦争の最中、米軍が迫る沖縄に戦中最後の知事として赴任。5カ月の間だが、県民保護の立場を貫き通し、沖縄県民と最後まで行動をともにした。玉砕が叫ばれる中で「生きろ」と言い続けた島田の生き方を通して、沖縄戦とはどのようなものだったのかを伝え、命の重みを問う。

(039)10万人を超す命を救った沖縄県知事・島田叡| ポプラ新書| ノンフィクション| 本を探す|ポプラ社 (poplar.co.jp)

書評

本書のタイトルにもある「島田叡」。
皆さんはご存知でしょうか。

最後の沖縄県知事、官撰知事です。
(戦前、各都道府県知事は選挙ではなく国が選ぶ形で決められていました。)

戦時下にあって、県民のために命を懸け働いた官僚です。

その死後、内務大臣が日本行政史上初の内務大臣賞詞顕功賞を贈った人物です。

私がこの島田知事を初めて知ったのは、今から約10年前。
たまたまテレビを付けていたら始まった『生きろ~戦場に残した伝言~』というドラマを見てでした。

当時私は12歳。
それなりに政治や歴史に興味があった子供だったと自負していますが、沖縄戦のことは

・悲劇、惨劇
・軍の横暴
・基地問題の始まり
・唯一の地上戦
・首里城焼失

というくらいの認識しかありませんでした。

しかし、このドラマを見て認識は一変します。
ドラマを見終わったあと、反省しました。
自分は何も知らずに沖縄戦を知った気になっていたと。

何より、当時東京都民であった者として、本土の人間の子孫として恥じ入りました。

島田知事を語る上で欠かせない電報があります。
当時、沖縄の海軍指揮官だった大田実海軍中将が東京に送ったもの。

沖縄県民ノ実情ニ関シテハ県知事ヨリ報告セラルベキモ

に始まり

沖縄県民斯ク戦ヘリ 県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ

で終わる電報。

あれだけの被害を出した、命を失った沖縄。
その沖縄県民の実情を訴える最後の電報。

後世特別ノ御高配

戦後70年が経とうというのに、本土の人間は未だ沖縄に償いができていないではないかと。

ここから私は沖縄、琉球
そして似たような地域としての北海道、アイヌに興味を持ち、学ぶようになりました。

戦争は人々から全てを奪っていきます。
そして日本はその戦争で多大な被害を出した国の一つです。
沖縄はその日本の中で唯一の地上戦が行われた場所です。

子供心に、これは絶対に後世に伝えていかなければならない歴史だと当時思いました。

本当ならドラマの方が見やすいのでおすすめしたいのですが、2022年現在DVDなども出ていないようで。。。

それでも、そのドラマの取材メモ等を元に再構成された本書も読みやすい書籍です。

戦時下、高級官僚にあって、沖縄に行かず戦後生き長らえることもできたかもしれない人物が、何故県知事として沖縄に赴任し、努力し、亡くなるまでに至ったのか。
TBSなどの記者らによる取材を元に描かれている一冊です。
是非お読みください。

新書

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自称システムエンジニアのくせに、農学系の地方国立大に通うおかしな生き物。 ひつぎ教育研究所社長。 好物は恋愛小説と生物学、哲学。BL以外はなんでも読む雑食。 一応、将棋のアマ三段。