【書評・紹介】『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』 斎藤惇夫、薮内正幸

2022年8月19日小説,NL(HL、異性愛),動物ファンタジー,国際児童年特別アンデルセン賞優良作品,児童文学,どんなに心が冷めている人でも絶対に涙を流す物語,児童書,戦記小説,動物文学,ファンタジー,冒険小説,恋愛小説東京,テレビアニメ,斎藤惇夫,薮内正幸,アニメ映画

ガンバ三部作の第二作
ガンバらネズミとイタチの戦いを描く感動冒険ファンタジー

著者:斎藤惇夫
イラスト:薮内正幸

ストーリー
描写
イラスト
キャラクター
感動度
独自性
結末が気になる度
電子書籍 有り
他のメディア展開 コミック、TVアニメ、アニメ映画、ミュージカル、オーディオブック、ゲーム

『ガンバ三部作』の第一作、『グリックの冒険』はこちら。

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あらすじ

イタチと戦う島ネズミを助けに,ドブネズミのガンバと仲間たちは夢見が島へ渡りました.しかし,どうもうな白イタチのノロイの攻撃をうけ,ガンバたちは知恵と力のかぎりをつくして戦います.

冒険者たち – 岩波書店 (iwanami.co.jp)

受賞歴

国際児童年特別アンデルセン賞 優良作品

書評

本作は『ガンバ三部作』の二作目ですが、時系列的には一番最初の物語です。
よって、前作『グリックの冒険』を読まずとも問題はありません。

さて、書評。
まず本作は1972年発表から50年間ずっと愛され続けている作品です。
小説だけに留まらず、アニメ化、アニメ映画化、ミュージカル化など形を変え多くの人に感動を与えています。

あらすじはご覧の通り。大筋としてはネズミとイタチの戦いです。
ご存知の通り、イタチは肉食獣。ネズミが主食と言っても過言ではない生物です。
そんな到底敵うはずのない敵に挑むネズミ達を作者の斎藤先生がとても面白く、感動的に描いています。

そしてなんといってもこの作品の魅力は個性豊かなキャラクター達。

主人公のガンバをはじめ、頭脳明晰なガクシャ、親分肌のヨイショ、穴掘りが得意なアナホリ、齧るのが得意なカリックなど個性豊かなネズミたちが物語を彩ります。

そしてなんといってもイタチの頭領「ノロイ」。白い毛に青い目をもつとても賢いイタチがネズミ達に襲い掛かります。
この「ノロイ」、1975年のアニメを見た人たちにとっては、その恐ろしさ、残虐性からトラウマになっており、「日本のアニメ史に残る悪役」と呼ばれているほどです。

最恐のイタチ ノロイ とネズミ達の戦いの先に何があるのか。最後の最後まで物語に惹きつけられます。

恋愛要素もこの小説の大きな魅力です。ネズミ達を助けるため島に渡ったガンバは、島で潮路というネズミと出会います。そうしてまあ、恋に落ちるといいますか、になるのですが…。
ここから先は小説で。もう、絶対に満足、感動すること間違いありません。断言できます。

そして最後、この物語の背景について。
この物語の舞台は夢見が島という小さな島です。
・・・
ここで おや? と思われた方。流石です。
イタチは本来、対馬など大きな島を除き、島には生息していません。
では何故、夢見が島にはイタチがいるのか。
はい、人間が移入したからです。実際に伊豆諸島などでネズミを駆除するためにイタチが移入されました。
つまり、この作品で描かれているネズミとイタチの戦いは、人間によってもたらされたものと考えることもできるのです。そして今、人間によって移入されたイタチはネズミ以外の在来種の数も減らすということで、問題になっています。

作者の斎藤先生は八丈島に行ってこの話を知り、そしてこの物語を描こうと思われたそうです。

そういう背景を知った上でも読んでもらいたい作品です。

前作に引き続き、本作の挿絵も薮内正幸先生が担当されています。
図鑑の挿絵なども担当された薮内先生の描く、精緻で、それでいてどこか温かみを感じる動物達の姿は必見です。

ガンバ三部作の第二作。感動の冒険ファンタジー『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』
是非お読みください!

文庫本

単行本

電子書籍

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自称システムエンジニアのくせに、農学系の地方国立大に通うおかしな生き物。 ひつぎ教育研究所社長。 好物は恋愛小説と生物学、哲学。BL以外はなんでも読む雑食。 一応、将棋のアマ三段。