【書評・紹介】『イーゲル号航海記 3 女王と一角獣の都』 斉藤洋

2024年8月5日小説,異世界もの,SF小説,児童文学,児童書,冒険小説斉藤洋,コジマケン,ドイツ

斉藤洋によるイーゲル号航海記第3弾!
今度の冒険の舞台は女王が治める国
傑作冒険SF!!

著者:斉藤洋
絵:コジマケン

※1巻のネタバレを含みます。
1巻はこちら。

ストーリー
描写
キャラクター
独自性
電子書籍 有り
対象年齢 小学校高学年~
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あらすじ

日系ドイツ人の少年カールは、変人揃いの仲間とともにまたも異世界探検へのりだした。そこで一行は驚くべき伝説の生物と出会う。

女王と一角獣の都 | 偕成社 | 児童書出版社 (kaiseisha.co.jp)

受賞歴

2011年 全国学校図書館協議会・選定図書
2011年 日本子どもの本研究会選定図書
2011年 日本図書館協会選定図書

書評

斉藤洋先生による海洋冒険SF『イーゲル号航海記』の第3弾です。

児童書ではありますが、大人でも楽しく読める物語です。

砂漠を舞台にクィッククィッカー、そしてケウカ達を救った第2巻。
そして、カールについても何やら気になる事実が明かされました。

元大日本帝国特別秘密公使キリシマ男爵

公使とは、外交官の中で大使の次に偉い人。
では特別秘密公使とは?
調べてみたところそのような職はありませんでした。

まあ恐らく読んで字の如く、
何らかの特命を帯びた外交官というところでしょうか?

第3巻はその続き。
今度の舞台は女王の納める国です。

1巻では魚人の国。
2巻では砂漠。

3巻では一体どんな冒険が待っているのでしょう。

気になるのは表紙のムッシェル号
海上を航行するイーゲル号よりも高い位置にいるように見えますが……?

そんな3巻ではありますが、評価は低めです。
1、2巻と比べるとややトーンダウンというかです。

まず本シリーズの大事な要素の1つであるSF。
これが本作ではあまり……。

1巻では、魚人巨大化する鳥について、
2巻では、途中襲ってきたカウアウケウカと塩について、
かなりきちんと生物学的な面から説明されていたように思えました。

しかし、この3巻はその点があまり。。。
少なくとも、個人的には全く満足行く出来ではなかったです。

またストーリーについても評価低めです。

本作ははっきり言って、起承転結の転と結が短すぎるように思いました。
具体的には、異世界で生物と出会ってから終わるまでの文字数、ページ数が短すぎる、と。

1巻は全229ページ。
魚人と出会ったのは87ページでした。
つまり、始まってから38%ほど進んだところで出会っています。

2巻は全269ページ。
クィッククィッカーと出会ったのは118ページでした。
つまり、始まってから43%ほどのところで出会っています。

しかし、この3巻。
全278ページあるのですが、登場する生物と出会うのは始まってから62%が過ぎたところ。

起と承の部分にページを割きすぎて、後半がかなり駆け足のように感じました。

特に残念だと思ったのがカールと登場した生物というかとの友情。

1巻では魚人のクフと、2巻ではクィッククィッカー達とそれなりの長い時間接してきました。
しかし、この3巻ではそういうことはほとんどありません。
というかそもそもカールと生物との会話がないです。

300ページを超えたとしても、もう少し異世界の生物と出会ってからの部分を丁寧に描いてほしかったなあという。

そんな3巻ですが、前述の「元大日本帝国特別秘密公使キリシマ男爵」。
カールのお父さんについても少しずつ迫っていきます。
ここが一番の魅力でしょう。

イーゲル号航海記第3巻。
是非お読みください。

単行本

電子書籍

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自称システムエンジニアのくせに、農学系の地方国立大に通うおかしな生き物。 ひつぎ教育研究所社長。 好物は恋愛小説と生物学、哲学。BL以外はなんでも読む雑食。 一応、将棋のアマ三段。