【書評・紹介】『決戦!本能寺』 葉室麟、冲方丁、伊東潤、宮本昌孝、天野純希、矢野隆、木下昌輝
葉室麟、冲方丁、伊東潤、宮本昌孝、天野純希、矢野隆、木下昌輝
名立たる作家たちがそれぞれの本能寺の変を描いた短編集
| ストーリー | |
| 描写 | |
| キャラクター | |
| 予想を裏切られる度 | |
| 独自性 | |
| 電子書籍 | 有り |
あらすじ
決戦シリーズ第三弾!!戦国のいちばん長い夜――本能寺の変。葉室麟(斎藤利三)冲方丁(明智光秀)伊東潤(織田信房)宮本昌孝(徳川家康)天野純希(島井宗室)矢野隆(森乱丸)木下昌輝(細川幽斎)豪華メンバーがみたび集結!乱世の英雄・織田信長を、討った男、守った男、そして、何もできなかった男たち――。その瞬間には、戦国のすべてがある。
『決戦!本能寺』(葉室 麟,冲方 丁,伊東 潤,宮本 昌孝,天野 純希,矢野 隆,木下 昌輝)|講談社BOOK倶楽部 (kodansha.co.jp)
書評
七人の名だたる作家陣が本能寺の変を題材に描いた短編小説をまとめた1冊です。
なお、各作家によって歴史解釈が異なっており、よって各短編小説に物語上の繋がりがあるわけではありません。
あくまで本能寺の変を題材に各作家が一人の人物に焦点を絞って描いた短編集です。
各短編ごとに紹介していきます。
『覇王の血』 伊東潤
織田信長の五男、織田勝長を主人公に本能寺の変が起こった理由へと迫る物語。
ページ数は62ページ。
武田家での人質時代、織田家に戻ってからの父や兄との関係性などを振り返りながら、何故本能寺の変は起きたのか、また何故織田信忠は逃げなかったのかを描く。
短編集の始まりに相応しい度肝を抜かれる小説。
『焔の首級』 矢野隆
織田信長の小姓として知られる森蘭丸(森成利)を主人公に、その思いや本能寺の変での戦いを描く物語。
ページ数は35ページ。
信長との衆道説や未だに与えられない出陣の機会、兄への羨望など蘭丸の心の内を描いた後に訪れる光秀の軍勢。
主君の死を目前にしたとき、彼は何を思ったのか。
18歳の青年の心情に重きを置いた作品。
『宗室の器』 天野純希
博多の三傑として知られる商人、茶人の島井宗室を主人公にその生涯を描いた作品。
ページ数は38ページ。
本能寺の変の前日、信長は名器38点など多数の文化財を携え茶会を開いていた。
その茶会に招かれていた宗室は期せずして本能寺の変に巻き込まれてしまう。
文化、茶の道と政治、そして本能寺の変。
その裏側で何が起こっていたのかも含め、宗室の目線から本能寺の変が描かれた作品。
『水魚の心』 宮本昌孝
徳川家康が主人公?の小説。
ページ数は44ページ。
家康の人質時代から伊賀越え、山崎の戦いまでを家康と信長の関係性と共に酒井忠次の目線で描く。
故に、徳川家康が主人公というより酒井忠次が主人公ように思える作品。
歴史の考察部分というかが多すぎてあんまり小説という感じがしませんでした。
また、落ちは面白いと思えたものの、全体を通してみたときただただ家康の人生を表面的に辿っただけのように見え、何を描きたかったのかいまいちわからなかったです。
『幽斎の悪采』 木下昌輝
織田家家臣、細川幽斎(細川藤孝)を主人公に描く小説。
ページ数は44ページ。
何故幽斎は親戚であり関係も深かった明智光秀に味方しなかったのかという謎は元より、そもそも何故本能寺の変は起きたのかに迫るストーリー。
武略よりも知略メインのミステリーチックなお話。
『鷹、翔ける』 葉室麟
明智光秀の家臣、斎藤内蔵助を主人公に描いた小説。
ページ数は33ページ。
内蔵助の心の内にあったもの、故郷である美濃に対する思いと共に本能寺の変を描く。
『純白き鬼札』 冲方丁
本能寺の変を起こした張本人、明智光秀を主人公に描いた小説。
ページ数は70ページ。
短編集の最後を締めるに相応しい名作。
何故光秀は本能寺の変を起こしたのか。織田信長との関係はどうだったのか。
実に面白く美しい本能寺の変がここに。
総評
謎の多い本能寺の変を題材とした短編集。
個人的に読む前はそれぞれの作家による本能寺の変の謎解きが読めるのかなと思っていました。
しかし、実際読んでみると本能寺の変の謎解きを主題としていないものもあり、そうした意味ではやや期待外れだなと。
また、シリーズ既刊の『関ヶ原』や『大坂城』と比べると本能寺の変は戦いとしての規模が小さく、また短かったため、必然的にストーリーに占める主人公の今までの人生の描写が大きくなるわけですが、人生を描くにしては短編小説1つ1つのページ数が基本的に少なく、その点でやや不満に感じました。
即ち、作家の数を減らすかページ数をもっと増やしても良かったのではという。
一方で謎の多い本能寺の変を題材としたからこそ、各作家による解釈の違いが色濃く出ており、読み比べると非常に楽しい短編集です。
名立たる作家陣がそれぞれの本能寺の変を描いた短編集。
是非お読みください!
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