【書評・紹介】『86―エイティシックス―』 安里アサト
電撃小説大賞 大賞作品。
豚に人権を与えぬことを非道と謗られた国家はない。
86―エイティシックス― 冒頭より
戦争の最中、差別される側の少年兵士と差別する側の少女指揮官が織り成す物語。
| ストーリー | |
| 描写 | |
| キャラクター | |
| 感動度 | |
| 独自性 | |
| 結末が気になる度 | |
| 電子書籍 | 有り |
| 他のメディア展開 | コミック、スピンオフコミック 、テレビアニメ |
あらすじ
サンマグノリア共和国。そこは日々、隣国である「帝国」の無人兵器《レギオン》による侵略を受けていた。しかしその攻撃に対して、共和国側も同型兵器の開発に成功し、辛うじて犠牲を出すことなく、その脅威を退けていたのだった。
そう――表向きは。
本当は誰も死んでいないわけではなかった。共和国全85区画の外。《存在しない“第86区”》。そこでは「エイティシックス」の烙印を押された少年少女たちが日夜《有人の無人機として》戦い続けていた――。
死地へ向かう若者たちを率いる少年・シンと、遥か後方から、特殊通信で彼らの指揮を執る“指揮管制官(ハンドラー)”となった少女・レーナ。
二人の激しくも悲しい戦いと、別れの物語が始まる――!
第23回電撃小説大賞《大賞》受賞作、堂々発進!
86―エイティシックス― | 書籍情報 | 電撃文庫・電撃の新文芸公式サイト (dengekibunko.jp)
受賞歴
第23回電撃小説大賞 大賞
2018年このライトノベルがすごい! 新作部門1位、文庫部門2位
2019年このライトノベルがすごい! 文庫部門5位
書評
エイティシックスシリーズ第一作。
人の為に、人ならざる豚とされた人々が戦い、死んでいく世界で紡がれる物語です。
まずはカテゴリーについての補足を。
一応セカイ系のカテゴリーをつけていますが、かなり微妙なラインです。
軽いセカイ系と言っても間違いではない…かな…?くらいでつけています。
ご了承を。
舞台はサンマグノリア共和国。
しかし共和国とは名ばかりの非人道的国家です。
白系種以外の人、有色種(エイティシックス)は人ではない豚だとされ、日夜共和国の白系種のために戦わされている。
この物語はそんな有色種の戦闘員と彼らを遠隔で指揮する白系種の物語です。
主人公は有色種の戦闘員・シン。死神の異名を持ち、幾多の戦線をくぐり抜けてきた人物です。
そしてもう一人の主人公、指揮管制官のレーナ。白系種でありながら、エイティシックスへの差別に心を痛めています。
この二人の関わり、そして無人兵器であるレギオンとの戦いが話の主軸です。
あらすじを見ての通り、とてつもなく重い世界観です。
差別がある世界で、差別する側とされる側の物語。重くならないわけがありません。
しかし、ここが本作の一番の魅力だと思います。
差別する側でありながら、差別に心を痛める少女。そしてそんな彼女と関わることになる差別される側のエイティシックスたち。
戦争・戦闘ものですので、シンの部下たちも出てきます。
今まで散々に差別されてきた彼らとレーナの複雑な関係。
私はやはりここが一番の魅力だと思います。
そしてこの作品の特筆すべき点は、というかSFで戦争を描く作品はその多くがそうですが、
戦う為の兵器です。
ジャガーノートという蜘蛛みたいな機体に乗ってエイティシックスたちは戦います。
一方敵の無人機レギオンも似たような機体で、複数の足があり自立して動く兵器です。
どちらも詳細を描いたイラストが挿絵として載っていたり、また戦闘描写もかなり緻密にされているので、多分筆者が一番描きたかった部分なのだと思います(残念ながら私にはその点あまり響きませんでしたが)。
もちろんメカ好きの人にはたまらない作品なんだろうなあと思いますが、私はむしろそこではなく、やはり差別と戦争を面と向かって描かれているところに魅力を感じました。
戦争ですから当然人は死んでいきます。
しかし、差別される側が差別する側を守るために死んでいったとも言えるわけです。
そして指揮管制官で一緒に戦っているとは言っても、結局は自分だけ安全な場所から指揮をしているだけなわけです。
この指揮官がクズならばまだ救いがあったと言えたりするのかもしれません。
しかし、実際は差別に心を痛める少女が指揮官。戦っているのは少年兵。
電撃小説大賞を受賞した後このライトノベルがすごい!に二度ランクインし、アニメ化もされた人気作の第一巻。
無人機を相手に命を懸けて戦いながらも差別される少年たちと彼らを指揮する差別する側の少女。
是非お読みください!
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dorasyo329
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