【書評・紹介】『Hello, Hello and Hello』 葉月文

2022年8月19日NL(HL、異性愛),小説,連作短編集,中学生(青春),高校生(青春),中学生(恋愛),高校生(恋愛),ローファンタジー,喪失の中にある一欠片の幸せを描く物語,電撃小説大賞,どんなに心が冷めている人でも絶対に涙を流す物語,青春小説,短編集,悲劇,ファンタジー,ライトノベル,恋愛小説ぶーた,葉月文

何度も何度も何度も何度も出会いと別れを繰り返す二人の恋の物語

著者:葉月文
イラスト:ぶーた

ストーリー
描写
キャラクター
感動度
独自性
結末が気になる度
電子書籍 有り
他のメディア展開 コミック
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あらすじ

――これは僕が失った、二百十四回にも及ぶ一週間の恋の話。
そして、わたしが手にした、四年に及ぶ一度きりの恋の話。

「ねえ、由くん。わたしはあなたが――」
初めて聞いたその声に足を止める。学校からの帰り道。中学のグラウンドや、駅前の本屋。それから白い猫が眠る空き地の中で、なぜだか僕のことを知っている不思議な少女・椎名由希は、いつもそんな風に声をかけてきた。
笑って、泣いて、怒って、手を繋いで。
僕たちは何度も、消えていく思い出を、どこにも存在しない約束を重ねていく。
だから、僕は何も知らなかったんだ。
由希が浮かべた笑顔の価値も、零した涙の意味も。たくさんの「初めまして」に込められた、たった一つの想いすら。
――これは残酷なまでに切なく、心を捉えて離さない、出会いハル別れユキの物語。

Hello,Hello and Hello | 書籍情報 | 電撃文庫・電撃の新文芸公式サイト (dengekibunko.jp)

受賞歴

第24回電撃小説大賞 金賞

書評

男の子と女の子が1週間だけの恋を214回繰り返すお話です。

男の子はその恋が、その出会いが初めてではないことを知りません。

女の子はその恋が、その出会いが過去にもあったことを知っています。

男の子が女の子との1週間を忘れてしまうのはある種絶対的なルールです。

もうですね、泣けます。
何度出会って恋に落ちても結ばれない2人。
男の子はその事を忘れ、女の子だけが覚えていて苦しむ。
辛くなる恋のお話です。

この小説は9つの短編からなり、そのタイトルの多くは「contact.92」など、何度目の出会いなのかがわかるようになっています。
読者はこの物語が何度目の出会いなのかがわかった上で読むことになります。

そんな物語のキャラクター。
主人公の名前は瀬川春由。物語の中で中学生から高校生へと成長していきます。
ヒロインの名前は椎名由希。主人公のことを由くんと呼びます。
あらすじにもある通り、ハルとユキの物語です。少しの間しか一緒にいられない春と雪の。

似たような作品として『一週間フレンズ。』がありますが、あちらは1週間経つと記憶が失われるもののノートを記すことである種記憶しておけるのに対し、こちらは1週間経つと世界そのものが作り替えられるようなもので、覚えておくことはできません。
より、辛く、悲しく、悲観的な物語となっています。

最後に、物語の終盤、春吉の言葉を紹介して終わります。

だって――

その熱を、僕たちは、"恋"と呼ぶのだから。

Hello, Hello and Hello 283ページより

彼らは何を「恋」と読んだのでしょうか。

第24回電撃小説大賞にて金賞受賞。出会いと別れを繰り返す二人の恋の物語。
是非お読みください!

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自称システムエンジニアのくせに、農学系の地方国立大に通うおかしな生き物。 ひつぎ教育研究所社長。 好物は恋愛小説と生物学、哲学。BL以外はなんでも読む雑食。 一応、将棋のアマ三段。