【書評・紹介】『Hello, Hello and Hello 〜piece of mind〜』 葉月文

2022年8月19日小説,連作短編集,NL(HL、異性愛),高校生(青春),解釈のしがいがある物語,高校生(恋愛),ローファンタジー,喪失の中にある一欠片の幸せを描く物語,青春小説,短編集,ファンタジー,ライトノベル,恋愛小説葉月文,ぶーた

何度も何度も何度も何度も、
出会いと別れを繰り返した二人が辿り着いた場所とは

二百十四回にも及ぶ一週間の恋が、四年に及ぶ一度きりの恋が行き着いた
願いと希望の物語

※1巻のネタバレを含みます。
1巻はこちら

著者:葉月文
イラスト:ぶーた

ストーリー
描写
キャラクター
感動度
独自性
結末が気になる度
温かさ
電子書籍 有り
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あらすじ

出会いと別れを繰り返し、それでも僕たちは明日を歩く。

これはわたしが紡いだ、あの夏から続く“願い”の物語。
そして――
これは僕に届いた、いつかの春へと続く“希望”の物語だ。

「わたしたちは最後の瞬間、お互いに向かって同じことを願ったの。会いにきて、名前を呼んでって。だって、それは――」
大学生活も終わりの足音が近づいてきた春の日に、僕は見知らぬ少年に声をかけた。その横顔はやけに真剣で、切実で、かつての自分に重なった気がした。
こんな風に新たな出会いを紡ぎ、僕は明日を歩いていく。いつか失った“願い”を手に、幸のように笑う“誰か”のもとへ。再び辿りつくことを祈りながら。

Hello,Hello and Hello ~piece of mind~ | Hello,Hello and Hello | 書籍情報 | 電撃文庫・電撃の新文芸公式サイト (dengekibunko.jp)

書評

『Hello, Hello and Hello』の続刊です。

前半は、意味深長なプロローグに始まり、「contact.130」,「contact.193」「contact.162」と前巻と同様幾度目かの出会いが描かれています。
こちらに関しては前巻と同様の展開です。

そんな中で毛色が異なるのが「contact.212」。サブタイトルは「Side-A 彼女の恋」。
竜胆朱音の視点から描かれた物語であり、 前巻で描かれた「contact.213」に繋がる物語。 朱音とハルの日常、そして朱音がハルを好きになった理由、contact.213で何故ユキに声をかけることになったのかがわかる物語です。

そしてこの本の中心にくる作品にして、 前巻「contact.214」のその後を描いた「contact.214+1」。サブタイトルは「僕たちの辿り着いた場所」。
大学四年生になろうとしているハルの物語です。

はっきり申し上げて、この結末は好みが分かれると思います。
私はあんまり好きにはなれませんでした。トゥルーエンドという言葉で表すのが最適かな?って感じです。
ハッピーエンドだと思う方もいれば、バッドエンドだと思う方もいるような結末です。

それ以前にこの出会いを、この存在を、この名前をどう解釈するのか。あるいはプロローグで描かれた意味深長な物語をどう解釈するのかによっても、この結末はハッピーエンドなのかトゥルーエンドなのかバッドエンドなのか意見が分かれると思います。

そんな中で一つ思ったことは、この最後の物語、「名残の雪」みたいだなと。
「名残の雪」という言葉。ご存知でしょうか?
春の季語なのですが、この言葉には二つの意味があります。
一つは「春が来ても消えずに残っている雪」。
そしてもう一つは「春が来てから降る雪」。

この「contact.214+1」で描かれた物語は果たしてどちらの「名残の雪」なのか。あるいはどちらでもないのか。是非読んで考えて頂きたいです。

最後に、作者の葉月文先生はあとがきでこう語られています。

正直、蛇足になることに不安もあったのですが、それでも今は胸を張って言えます。
これは、彼女と彼にとって必要な一冊だったのだと。
本編は"出会い"と"別れ"の物語。
番外編は"願い"と"希望"の物語。

Hello, Hello and Hello 〜piece of mind〜 あとがき

である、と。

“出会い"と"別れ"の先で辿り着いた"願い"と"希望"の物語。
是非お読みください!

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自称システムエンジニアのくせに、農学系の地方国立大に通うおかしな生き物。 ひつぎ教育研究所社長。 好物は恋愛小説と生物学、哲学。BL以外はなんでも読む雑食。 一応、将棋のアマ三段。