【書評・紹介】『俺にトラウマを与えた女子達がチラチラ見てくるけど、残念ですが手遅れです 1』 御堂ユラギ

2022年8月19日小説,NL(HL、異性愛),高校生(青春),高校生(恋愛),幼馴染,続きが気になって夜も眠れなくなる物語,三角関係,もしかしたら今どこかで本当に紡がれているかもしれない恋の物語,青春小説,ライトノベル,恋愛小説スポーツ,小説家になろう,,御堂ユラギ

女性に傷つけられ心が壊れていった「女運」が悪い少年と
そんな彼を傷つけてしまった女性達が織りなす勘違いの物語

俺にトラウマを与えた女子達がチラチラ見てくるけど、残念ですが手遅れです1巻の表紙

著者:御堂ユラギ
イラスト:

ストーリー
描写
キャラクター
感動度
独自性
ラブコメ度
続きが気になる度
悲観度
電子書籍 有り
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あらすじ

俺、九重雪兎は女運が悪い。昔から何かとトラブルに巻き込まれ、母親には疎まれ、姉には嫌われ、両想いだと思っていた幼馴染には告白前にフラれ、傷心中に嘘告される始末。すっかり感情がぶっ壊れて色々と手遅れなんだけど――
「私が悪いの……全部私が――」
「ごめんなさいユキ! アレはそんなじゃなくて――」
何故か俺にトラウマを与えた女性達がチラチラこっちを見てる気がする……。
これは傷つきすぎて好意を受け止められなくなった少年と、そんな彼を傷つけてしまった女性達による、手遅れから始まる全く始まらない勘違いラブコメディ!

俺にトラウマを与えた女子達がチラチラ見てくるけど、残念ですが手遅れです 1|オーバーラップ文庫 (over-lap.co.jp)

書評

こんな小説を待っていた。
読み終わった時にそう思いました。

主人公・九重雪兎は極めて女運が悪いです。
母には疎まれ、
姉には嫌われ、
両想いだと思っていた幼馴染には告白前に振られ、
その傷心中に女友達には嘘の告白をされ。
女性と関わる度に傷ついていく。そういう女運の悪さです。

結果として、雪兎の心は壊れていき、好意を受け止められなくなり……。

しかし、結果として雪兎を傷つけてしまった彼女たちにも相応の理由があって……。
傷つけられた男と傷つけた女達が織りなす物語。

なお、あらすじにはラブコメと書かれていますが、私個人としてはそんなにラブコメという感じはしませんでした。
著者の御堂ユラギ先生もあとがきで、

まだまだ本作の『恋愛』は始まっていません。
ここからがスタートラインです。今後の展開をご期待ください!

あとがき より

と、述べられており、1巻は恋愛よりもヒューマン物?というふうに感じました。

そんな本作の魅力は何と言っても主人公・雪兎の「女運」の悪さ。
女性と関わる度に傷ついていきます。
でも、それでも、雪兎の心は壊れていっても、雪兎の人間としての優しさがなくなるわけではなく、
人を信じられはしないけど、目の前に困っている人がいたら助けたいという優しさはそのままに、ただ傷ついていくという。

そんな雪兎ですが、中学時代は優秀なバスケ選手で、成績も優秀という絵に描いたような陽キャ。
のはずなのに、自分では陰キャぼっちを自称し、周囲との関わりを避けようとしていて……。
これも結局は前述の傷に影響することで。
一方で、そうでありながらも人を助けようとするという。
そこになんというか、自己犠牲というか、心が壊れかけているのにそれでもというか、で心が動かされます。

そしてそんな雪兎と対することになる女性陣達。
主たる登場人物だけを上げていくと

幼馴染・硯川灯凪(表紙左)
両想いのような素振りを見せておきながら、雪兎を振った。
友人・神代汐里(表紙右)
傷心中の雪兎に嘘の告白をし、また雪兎に〇〇〇〇〇た。
姉・九重悠莉
雪兎を嫌い、雪兎を〇〇〇〇〇た。
母・九重桜花
雪兎を疎み、雪兎に〇〇〇〇〇〇〇〇た。

しかし、上記の事柄は事実ではありますが、それには裏があって。
謝罪して関係をやり直したい女性陣と、全て自分が悪いと思い、心が壊れ彼女たちの本心に気づくことが出来ない雪兎。
この勘違い、関係性、やり取りが主題です。

その上で、舞台は高校!
様々な出来事、所謂イベントが起こり、雪兎と周囲の関係性が変わっていきます。
そこには、
スポーツ万能且つイケメンで絵に描いたような陽キャのクラスメイトや、
ちょっと頭のおかしい生徒会長、
軽口を叩き合う担任、
女神のような先輩、
など本当に魅力的なキャラが数多く登場し、物語を楽しませてくれます。

はっきり言って、ストーリーとキャラクターには文句のつけようがありません!

そうしたストーリー、キャラクターと比べて少し残念なのがやはり描写。
ライトノベルという事を鑑みても、ストーリーについていけていないような気がするというか。

例えばこの作品には前述の登場人物らを始め、数多くのキャラが登場するのですが、
時折、誰の言葉なのかがわかりにくい。
いや、名前が出てきているだけのキャラとかも多く、誰々が言ったまで把握しなくとも読む上で支障はないのですが、それでも、うーん?と。(あるいは私の読解力が低いだけか……。)
特に複数人で会話が進む時は、会話文の間に地の文があまり挟まれないこともあって、わかりにくいかなあと。

また、整合性という観点でも、微妙に感じる部分が少々。
例えば、雪兎は「作者の気持ちを答えなさいという理不尽な問題が苦手、わからない」と述べているのですが、一方で学年で見た時に雪兎の成績は極めて上位という。。。
まあそうした問題が解けないからこそ学年1位ではないということかもしれませんし、
実際に私の周囲にも、感情を答える国語の問題が分からない学年上位がいたので、そういうことなのかなとも思いますが、最初読んだ時は少し違和感が残りました。

更に言えば、ラノベ設定が強すぎやしないかなという。
いや、わかるんですよ。
ラノベですし、姉とか年上のお姉さんとかの描写でそういう風なものが増えるのは。
ただこの作品において、ここまで強く描く必要あったかなあという。
この展開はむしろリアリティという点で、ストーリーを霞ませているのでは?と感じることもありました。

という風に不満は多々あるのですが、はっきり言って他のラノベを読んでいるときにはそう気にならない程度のものです。
これも全てストーリー、設定、キャラ、テンポがこれ以上無いだろっていうくらい秀でているせい。
他が素晴らしいからこそ些細な描写が気になってしまうという。

ただ、何度でもいいます。
そんなのは些細な問題です。
10人が10人、問題と感じるようなものでは決してないです。
多分好みの部分に含まれるところ。

女性に傷つけられ心が壊れていった「女運」が悪い少年と
そんな彼を傷つけてしまった女性達が織りなす勘違いの物語
是非お読みください!
これを書いているのは5月1日ですが、
2022年に発売されたラノベの中で個人的1位になる(だろう)と思う作品です!

文庫本

電子書籍

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自称システムエンジニアのくせに、農学系の地方国立大に通うおかしな生き物。 ひつぎ教育研究所社長。 好物は恋愛小説と生物学、哲学。BL以外はなんでも読む雑食。 一応、将棋のアマ三段。