【書評・紹介】『幼女戦記 10 Viribus Unitis』 カルロ・ゼン
「予備計画」へ向けた動きが活発化する中でも戦争は続く。
幼女という言葉に騙されることなかれ。

シリーズ既刊のネタバレを含みます!
第1巻はこちら。
シリーズの紹介はこちら。
| ストーリー | |
| 描写 | |
| キャラクター | |
| 続きが気になる度 | |
| 独自性 | |
| 電子書籍 | 有り |
| 他のメディア展開 | コミック、テレビアニメ、アニメ映画、オーディオブック |
あらすじ
幼女、転職決意!!
「幼女戦記 10 Viribus Unitis」 カルロ・ゼン[新文芸] – KADOKAWA
帝国という国家の砂はいずれ尽きる。
遺された時間は、あまりにも少ない。
砂時計の砂が尽きるまでに、人はそれぞれの決断を迫られる。
ある者は、そんなはずがないと運命に目を瞑る。
ある者は、破局を拒絶する道を選ぶ。運命だとしても、大人しく滅ぶ道理があろうか。
活路を求めて彼らはあがく。
そして、ターニャもまた『愛国者』という仮面の裏で誓う。
己は、絶対に沈む船から逃げ出す、と。
「……転職だ。転職活動しないと」
しかして、社会的動物に逃げ道は乏しい。
帝国軍とは必要の奴隷なのだ。
彼らは、手段をえらばない。
書評
存在Xによって異世界に転生させられ幼女となったサラリーマンの戦いを描くライトノベルの第10巻です。
魚雷戦にイルドアへの観光旅行に。比較的、比較的穏やかな日々を過ごしながらもその裏では着々と「予備計画」に向けた動きが進んでいった9巻。
10巻も似たような展開。
日々の作戦任務をこなしながらも、その裏では「予備計画」の準備が進んでいく。
もちろん西へ東へ転戦しながらですが。
そんな10巻の特筆すべき点は新キャラ。
遂に帝国外務省の要人が姿を表します。
その名もコンラート参事官。
参謀本部の中で外交を担ってきたレルゲン大佐の外務省側のカウンターパートと言えばいいのでしょうか。
戦争、予備計画に加え、外交も更に活発化していきます。
そして肝心の戦争、戦闘。
8巻に引き続きみんな大好きあのゼートゥーア閣下がまたしても辣腕を振るわれます。
9巻で久々に登場されたロメール将軍も南方の時と変わらず野心的な作戦を立案されます。
そしてその実行部隊たるターニャ。
苦労が偲ばれます。
しかし、もっともっと苦労が偲ばれる人物たちがいます。
はい。
レルゲン大佐とウーガ中佐。
10巻も例に漏れず苦労されます。
いや、多分今までで一番この二人が苦慮する巻です。
カラー口絵のウーガ中佐なんて本当に……。
そしてイラスト繋がりでもう一つ。
『幼女戦記』シリーズはその巻末に付録として戦況や歴史の概略図が掲載されてきました。
ターニャが「傾注!achtung!」と言っているやつです。
そのターニャの傾注のイラストが10巻から変わります!
必見です!
さて、戦争の裏側で着々と「予備計画」の準備が進んでいく10巻。
その副題は「Viribus Unitis」。
意味はラテン語で「力を合わせて」。
賢明なる読者の皆様にはもう何のことかお察し頂けるでしょう。
ちなみに、オーストリア・ハンガリー帝国にはこの副題と同じ名前の「Viribus Unitis」という戦艦がいました。
第一次世界大戦のきっかけとなったサラエボ事件の地に、暗殺されることとなるフランツ・フェルディナント大公夫妻を運んだ船でもあります。
そして亡骸となった夫妻をトリエステへと運んだ船でもあります。
その後、第一次世界大戦終結の直前に機雷によって沈みました。
博識なカルロ・ゼン先生のこと故、恐らくこうした意味も副題に含まれているのかなと想像したり。
「予備計画」の動きが活発化する中でも続く戦争。
幼女戦記第10巻。
是非お読みください!
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