【書評・紹介】『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』 城平京

2022年5月23日小説,NL(HL、異性愛),連作短編集,探偵小説,ローファンタジー,和風ファンタジー,大学生(恋愛),年の差,短編小説,短編集,バトル・アクション,ファンタジー,ミステリー,恋愛小説片瀬茶柴,城平京,テレビアニメ

虚構推理シリーズ第2巻!
一眼一足・知恵の神となった少女と妖怪を喰らった男が織り成す和風ファンタジーミステリー短編集。

著者:城平京
イラスト:片瀬茶柴

ストーリー
描写
キャラクター
結末が気になる度
予想を裏切られる度
独自性
ラブコメ度
電子書籍 有り
他のメディア展開 コミック、テレビアニメ

前巻のネタバレを含みます。
前巻はこちら

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あらすじ

妖怪から相談を受ける『知恵の神』岩永琴子を呼び出したのは、何百年と生きた水神の大蛇。その悩みは、自身が棲まう沼に他殺死体を捨てた犯人の動機だった。――「ヌシの大蛇は聞いていた」
山奥で化け狸が作るうどんを食したため、意図せずアリバイが成立してしまった殺人犯に、嘘の真実を創れ。――「幻の自販機」
真実よりも美しい、虚ろな推理を弄ぶ、虚構の推理ここに帰還!

『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』(城平 京,片瀬 茶柴):講談社タイガ|講談社BOOK倶楽部 (kodansha.co.jp)

書評

虚構推理シリーズの第2巻です!
今回は短編集。
5本の短編からなる物語です。

ヌシの大蛇は聞いていた

虚構推理第1期の第2話で描かれたお話。
アニメと原作ではほんの少し展開が違います。
ページ数は49ページ。

今回の相談者は、一時期神として祀られていたこともある大蛇。
自身が住まう沼に他殺事件の犯人が死体を捨てに来た。
しかし、死体を隠すためにわざわざ沼にやってきたにも関わらず、犯人は「うまく見つけてくれるといいのだけれど」と呟いた。
隠したいのに見つけて欲しいとはどういうことか。
『知恵の神』こと琴子の推理に火が吹きます(笑)。

一言で言えば実に虚構推理らしい短編小説。
アニメの第2話で描かれたことからもわかるように、わかりやすくまとまっていて、虚構推理のあらましがこの1話だけでわかるとも言える作品です。
なお、九郎先輩の出番というか活躍は少なめ。でも2人の関係性がそれとなくわかるお話。

うなぎ屋の幸運日

ページ数は38ページ。
友人同士でうなぎ屋にうなぎを食べに来た30代の男2人。
うなぎを食べていると、うなぎ屋には似ても似つかない人形のような少女がやってきた。
彼女は何故1人でうなぎ屋に?これは何かの前触れなのか?
2人の話はうなぎ屋の少女から、2人のうちの1人の男の殺された妻へと移っていく…。
というお話。

物語の大部分はこの2人の男の会話によって進んでいきます。
『鋼人七瀬』を正統、王道と見なすなら、こちらのお話は異端や邪道を言えるお話。

2人の男の話はどう妖怪と繋がっていくのか。
話の落ちが秀逸な一作です。

電撃のピノッキオ、あるいは星に願いを

ページ数は92ページ。
今回の相談は海辺の町に秩序を乱す人形が現れたというもの。
その人形のせいで魚の大量死なども発生。
事態を解決すべく、琴子と九郎が町に赴く…。というお話。

ページ数からもわかる通り、この短編集の核となるお話です。
そして『鋼人七瀬』と同じく王道を行くお話。
色々な妖怪、怪異たちも登場し、比較的賑やかでコメディでもありシリアスでもある作品。

ギロチン三四郎

ページ数は58ページ。
義弟を殺し、ギロチンで首をはねた後犯人が自首をするという事件が起きた。
一方、電車で眠る琴子とその横でPCを弄る九郎。
そんな眠る琴子の姿を目にして1人の女性が立ち止まる。
彼女は九郎に自らをイラストレーターと名乗るが、彼女の作品にはどれも処刑器具が描かれており…。

一言で言えば九郎先輩が大活躍?するお話。
まあ琴子は眠っているのでその分九郎先輩の出番が増えるのは当然と言えば当然ではあるのですが…。

結末がやや感動的というか、今までのお話とは少し毛色が異なる物語です。
こういうところが探偵小説の良さだよなあという一作。

幻の自販機

ページ数は62ページ。
うどん作りに凝った化け狸が他の妖怪達にも食べて欲しいと自販機でうどんを売り始めた。
そのうどんの自販機は異界に置かれているが、たまに人間も迷い込んでうどんを食していく。
そんな折、1人の殺人犯が偶然うどんの自販機を訪れ去っていった。
しかし、狸のうどんを食したがために意図せずアリバイが成立してしまい…。
というお話。

化け狸が作ったうどんを食べたという事実をいかにして虚構の推理で塗り替えていくかという、正に『虚構推理』というお話。
短編集の締めという感じはしませんが、面白い短編小説です。

それにしてもうどん作りにハマった化け狸が自販機でうどんを売るという可愛い展開。
もしそんな自販機があるのなら、一度食べてみたいものです。。。

総評

『鋼人七瀬』に続く第2巻。
短編集、短編小説という読みやすさ、テンポの良さが遺憾無く発揮されています。
むしろこの巻を1巻に持ってきたほうが読者には優しかったのでは?とも思う一冊。

『ヌシの大蛇は聞いていた』は琴子、
『電撃のピノッキオ、あるいは星に願いを』は琴子と九郎先輩、
『ギロチン三四郎』は九郎先輩
というように、短編小説ごとに主役?や切り口が異なるので、読んでいて飽きが来ません。

また、1話ごとになんだかんだと2人のラブコメ?が繰り広げられるので、琴子&九郎カプ好きにはたまらない短編集です。

前述の通り、テレビアニメ化されたのは『ヌシの大蛇は聞いていた』のみですが、他の作品もSeason2で描かれるのではないかなと思います。

一眼一足・知恵の神となった少女と妖怪を喰らった男が織り成す和風ファンタジーミステリー短編集。
とても読みやすい一冊です。
是非お読みください!

なお、まとめ買いするならアニメイトがお得です!

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自称システムエンジニアのくせに、農学系の地方国立大に通うおかしな生き物。 ひつぎ教育研究所社長。 好物は恋愛小説と生物学、哲学。BL以外はなんでも読む雑食。 一応、将棋のアマ三段。