【書評・紹介】『杉下右京の事件簿』 碇卯人
右京さんはどことなく北の人というイメージがあり、スコットランドはぴったりでした。もう一編はあえて南の島を舞台にしようというひねくれた着想から、気がつくとなぜか奄美大島になっていました。
碇卯人
| ストーリー | |
| 描写 | |
| キャラクター | |
| 推理の意外性 | |
| 電子書籍 | 有り |
| 他のメディア展開 | テレビドラマ、実写映画、ゲーム、演劇 |
シリーズの紹介はこちら。
あらすじ
テレビ朝日の大人気ドラマ『相棒』のオリジナル小説。警視庁特命係の杉下右京が事件に挑む。舞台は、スコットランドと奄美大島。偶然訪れたスコッチ蒸留所で遭遇する密室殺人。目撃された「巨人」とは? 奄美沖で座礁した船で捕らえられた麻薬密輸犯が逃亡。しだいに浮かび上がる本当の狙い、そしてアクション。「静」と「動」の2編で、右京の推理が冴えわたる。ドラマでも映画でも見たことのない杉下右京がここに!
朝日新聞出版 最新刊行物:書籍:杉下右京の事件簿 (asahi.com)
書評
皆様ご存知、2000年からテレビ朝日系列で放送されている『相棒』のノベライズ本です。
主人公はもちろん杉下右京。
ドラマとはまた違った杉下警部の一面を見ることができます。
もちろん、『相棒』を見たことがない方でも十分楽しめる推理小説です。
しかしやはり『相棒』のあらましだけでも知っていた方が面白いので、読む前に『相棒』という作品の概観だけでも調べてみてください。
さて、本作『杉下右京の事件簿』は『霧と樽』、『ケンムンの森』の2つの話からなります。
どちらもドラマ、映画の脚本にはなっておらず、ノベライズ本独自のストーリーです。
詳細は各話の書評にて。
霧と樽
時間軸としてはテレビドラマのSeason1と2の間。
亀山くんが運転免許試験場の職員、杉下警部が警察学校の教官となっていた頃。
杉下警部のイギリスへの休暇旅行中のお話です。
舞台はイギリス、スコットランド。
50年物のウイスキーの蔵開きが行われると聞き、スペイサイドへとやってきた杉下警部。
そこで毎度の如く、殺人事件に巻き込まれ…というストーリーです。
題材は密室殺人。
しかも、10年前にも密室殺人があったらしく…?
杉下警部の推理が冴えまくる作品です。
この作品の見事なところは伏線とその回収。
ドラマ以上に見事です。
そして合理的でありながらもスケールの大きい事件のあらまし。
それすらも解決してしまうのかという感想を抱くくらい、ただただ杉下警部に脱帽の小説です。
登場人物は杉下警部と蒸溜所の関係者、そして地元警察関係者のみ。
ドラマに出てくる人物は杉下警部以外いません。
ケンムンの森
時間軸としては、Season7-9話で亀山くんが去ってから19話で神戸くんがやってくるまでの間。
角田課長がコーヒーがないと嘆いていた頃のお話です。
舞台は鹿児島県奄美大島。
座礁した不審船に乗っていた暴力団沢田組幹部・安田隆博の東京への護送を角田課長から頼まれ奄美大島へと向かう杉下警部。
しかし、入院していた安田隆博らは逃走し…という展開。
『霧と樽』とは対照的にこちらは逃げた容疑者を捕まえる物語です。
そしてこの話では杉下警部に1話だけの相棒が登場します。
奄美警察署生活安全刑事課の富田真吾警部補。
42歳、明るく快活な性格で、柔道五段の腕前。
この2人の相棒が逃走中の容疑者を追い、そして明らかになってくる謎を杉下警部が推理していきます。
追う警察と逃げる犯人。あらすじにもあった通り、こちらは「動」の物語。
杉下警部のアクションシーンも登場します!
そんな本作の見事なところは、やはりその結末。というより幕の引き方?
話をそこに着地されるのかと思わず感嘆し笑みがこぼれてしまう終わり方です。
そして前述のとおり、こちらには「暇か?」でお馴染みの角田課長が登場!
角田課長が杉下警部のことをどう思っているのかが文章で描写されていたりします。
また、大木さん、小松さんもほんのちょっとではありますが登場します。
総評
ドラマと変わらず、杉下警部がらしさ全開で事件を解決していく推理小説です。
「北」と「南」、「静」と「動」。正反対の2話を描くことで、杉下警部をより丁寧に描写でき、また読者を飽きさせない展開を作ることに成功しています。
ドラマの方では最近、脚本の当たり外れがよく話題となりますが、この2話は間違いなく当たりのストーリー。
亀山くん、神戸くん時代のあの杉下警部が生き生きと描写されています。
ドラマとはまた違った杉下警部が描かれるノベライズ本。
相棒好きなら絶対に読んでおきたい1冊です。
是非お読みください!
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