【書評・紹介】『白狐魔記 洛中の火』 斉藤洋
きつねの目から見た室町時代の始まりを描く。
大人にも子供にも読んで欲しい1冊。
シリーズ既刊のネタバレを含みます!
第1巻はこちら。
| ストーリー | |
| 絵 | |
| 描写 | |
| キャラクター | |
| 平易さ | |
| 独自性 | |
| 電子書籍 | 有り |
| 他のメディア展開 | オーディオドラマ |
あらすじ
「元」の襲来時に、天の「気」を動かして嵐をおこした白狐魔丸。今度は51年後の室町時代初期、京都で楠木正成という武将と出会う。
洛中の火 | 偕成社 | 児童書出版社 (kaiseisha.co.jp)
受賞歴
全国学校図書館協議会選定図書に選定
日本図書館協会選定図書に選定
書評
人の言葉を解し、神通力を操れるようになったきつね・白狐魔丸を主人公に描く歴史ファンタジー『白狐魔記』シリーズの第3巻です。
市谷小平太や竹崎季長と出会い、ブルテ・チョノら蒙古を退けた2巻から51年。
時は鎌倉から室町へ。
長い眠りから目覚めた白狐魔丸は雅姫らとの出会いによって元弘の乱、建武の乱へと巻き込まれていく。
第3巻はそんなお話です。
2巻同様、一応既刊のあらましも書かれており、この3巻から読み始めても問題はありませんが、やはり1巻、2巻を読まれた上で読まれることをおすすめします。
さて、第3巻は元弘の乱、建武の乱。
表紙に書かれている武士は、楠木正成。
日本史屈指の戦略家として知られ、今でも人々から楠公さんと親しまれ、次の大河ドラマの題材にと署名活動が行われているあの武将。
2巻の竹崎季長のポジションを担う人物です。
しかし、3巻の主役はこの楠木正成ではなく、2巻で初登場したあの雅姫!
北条時輔と吉野へ逃れた雅姫がこの物語、ひいては日本史の中心に鎮座します。
他にも
六波羅探題北方の「北条仲時」、
後醍醐天皇の子で鎌倉幕府打倒のため戦う「大塔宮護良親王」、
その親王に仕える「村上義光」とその子「村上義隆」。
オリジナルキャラクターでは、
その父子に仕え、白狐魔丸と親しくなる「大和十蔵」。
このキャラが2巻での市谷小平太のポジションです。
しかし何といってもこの3巻は楠木正成と雅姫。
楠木正成については皆様ご想像の通り。
中世から現在に至るまで様々な作品で描かれてきた大楠公そのままの人物像で描かれます。
そんな楠木正成と出会うことで白狐魔丸は何を思うのか。要注目です。
そして雅姫。
この雅姫というキャラクターがいるからこそ3巻はここまで面白くなる。
彼女の行動が物語を大きく動かします。
そして2巻でもうお気づきになられたと思いますが、この『白狐魔記』シリーズは白狐魔丸が見た歴史を描く物語ではありません。
白狐魔丸や雅姫、武士らが共に紡いだ歴史を読む物語なのです。
2巻では仙人様、そして白狐魔丸が嵐を起こし、蒙古を追い払いました。
では3巻では誰が何をし歴史が紡がれていくのか。
きつねの目から見た室町時代の始まりを描く。
大人にも子供にも読んで欲しい『白狐魔記』シリーズ第3巻!
是非お読みください!
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