【書評・紹介】『白狐魔記 元禄の雪』 斉藤洋
きつねの目から見た赤穂事件を描く。
白狐魔記シリーズの第6巻!
シリーズ既刊のネタバレを含みます!
第1巻はこちら。
| ストーリー | |
| 絵 | |
| 描写 | |
| キャラクター | |
| 独自性 | |
| 電子書籍 | 有り |
| 他のメディア展開 | オーディオドラマ |
あらすじ
江戸城に忍びこんだ白狐魔丸は、吉良に斬りつけた浅野の手をとっさに止める。が、そこから事態は思わぬ方向へむかっていく??白狐魔記版・忠臣蔵。
元禄の雪 | 偕成社 | 児童書出版社 (kaiseisha.co.jp)
受賞歴
全国学校図書館協議会選定図書に選定
書評
人の言葉を解し、神通力を操れるようになったきつね・白狐魔丸を主人公に描く歴史ファンタジー『白狐魔記』シリーズの第6巻です。
煙之丞と出会い、島原・天草一揆の一部始終を見届けた5巻から62年。
時は江戸時代、徳川綱吉の治世。
歌舞伎、浄瑠璃にハマった白狐魔丸は仙人に言われ江戸へ赴くことに。
雅姫とも再開し、いつものように化身して江戸城へ忍び込んでいた白狐魔丸は浅野内匠頭が吉良上野介に斬りかかる場面に遭遇し・・・。
第6巻はそんなお話です。
そんな6巻。
今までと明確に違う部分が1つあります。
それは第5巻に登場した煙之丞が再登場すること!
人が巻をまたいで登場するのは初めてのことです。
ということもあって、6巻は少なくとも5巻を読んだ上で読むべき作品です。
無論、5巻と言わず1巻から読むべきではありますが。。。
さて、第6巻も舞台は江戸時代。
表紙に書かれているのはちょうど松の廊下で吉良上野介を斬りつけようとする浅野内匠頭。
前述のように題材は赤穂事件です。
ただ、題材が赤穂事件か忠臣蔵かと問われると難しいところ。
白狐魔丸の関与を除いた上でも完全に史実通りかと言われるとそうではなく、かと言って忠臣蔵ほど脚色しているわけでもなく、やや脚色が入った赤穂事件という感じです。
そんな6巻の主要登場人物は2人。
まずは、吉良上野介の家臣である清水義久(清水一学)。
化け物退治と言って白駒山を訪れ、白狐魔丸に敗北を喫し知り合って・・・という役どころ。
ただ、今までのキャラクターと違いそこまで白狐魔丸と深い関係を築くわけではありません。
もう1人は、浅野内匠頭の家臣である大高源五。
ひょんなことから白狐魔丸と知り合います。しかし、こちらもそれほど深い関係を築くわけではなく。。。
他にも大石内蔵助など忠臣蔵と言えばの人物が何人か登場します。
もちろん仙人様や雅姫なども。
ただこちらも今までと比べると物語の本筋とそう絡むわけでもなく、どちらかというと第6巻は第1巻『源平の風』に近い雰囲気。
白狐魔丸と本当に深く関わる人間がいないことから、会話の相手はほぼ雅姫のみ。
赤穂事件に関わった白狐魔丸が浅野方、吉良方双方に知人を作りながらもどちらにつくでもなく中立的な立ち位置からその一部始終を見届ける物語です。
その上で、6巻が今までと比べると全体的に低評価なわけ。
それはやはり白狐魔丸と深く関わる人間がいない点が大きいです。
白狐魔記は人間と深く関わりながら人とは何か、武士とは何かを考えてきた物語。
しかし、この6巻では観察者という側面が強いです。
もちろんそれには理由があるのですが、人間に深く関わらず観察者のように振舞ってしまっていることで、他の忠臣蔵作品と比べて特別際立つ部分が失われ、狐と人のやり取りという面白さも半減し、雅姫の復讐の要素もなく、今までと比べると質が落ちたように感じました。
また、この6巻では歌舞伎や浄瑠璃がよく出てくるのですが、その部分が冗長すぎるように感じたのも低評価の一因。これは、忠臣蔵が元々浄瑠璃・歌舞伎の演目の1つであることも大きいのでしょうが、それにしたってここまで書く必要があったのかという。。。
本書が児童文学であるということを踏まえ、初めて赤穂事件・忠臣蔵を知る子どもが読んだ場合は面白いと思います。
しかし、赤穂事件・忠臣蔵のあらましを知る読者が読んだ場合、流れ・結末を知っているというデメリットがあります。それを今までの5巻は白狐魔丸と人間の関わりを深くすることで解消していたと思うのですが、今回はそれがなく、いわば本当にきつねから見た赤穂事件を描いただけの作品になってしまってはいないかと。
とあれこれ述べてきましたが、これらは大人が読む児童文学としての評価であって、本来の読者層である子どもが読む児童文学としては良作だと思います。
赤穂事件・忠臣蔵を初めて知る作品として最適なことは間違いありません。
きつねから見た赤穂事件を描いた白狐魔記シリーズ第6巻。
是非お読みください!
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