【書評・紹介】『魔法科高校の劣等生 16 四葉継承編』 佐島勤

2024年8月5日小説,NL(HL、異性愛),SF小説,高校生(恋愛),このライトノベルがすごい!,禁断の恋,ライトノベル,恋愛小説テレビアニメ,小説家になろう,佐島勤,石田可奈

遂に訪れたその時。
深雪の達也に対する想いはどうなるのか。
物語に呑まれること間違いなしの四葉継承編開幕。

著者:佐島勤
イラスト:石田可奈

既刊のネタバレを含みます。
第1巻はこちら

ストーリー
描写
キャラクター
独自性
電子書籍 有り
他のメディア展開 コミック、TVアニメ、アニメ映画、ゲーム
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あらすじ

司波兄妹の血縁に驚愕の秘密……ついに達也と深雪の関係に急展開が!?
 司波深雪の許へ、四葉本家から一族の有力者が顔を揃える新年の集い『慶春会』の招待状が届く。それが意味するものは、四葉家次期当主の指名。
 ――自分が後継者に選ばれれば、兄も日陰者に甘んじなくて済む。
 ――次期当主の地位にはきっと、それに相応しい『婚約者』が付いてくる。
 深雪の心は千々に乱れる。
 そして『慶春会』前夜。四葉本家へ出頭した達也たちは、現当主・四葉真夜の口から「深雪は達也の妹ではない」という衝撃的な『嘘』を告げられる。
 それは、兄を恋愛対象として意識してもよいという意味であった。はたして深雪は――!

「魔法科高校の劣等生(16) 四葉継承編」 佐島 勤[電撃文庫] – KADOKAWA

受賞歴

このライトノベルがすごい! 2020 2010年代総合ランキング 第8位

書評

シリーズ累計発行部数は2200万部突破の大人気シリーズ第16巻。
紛うことなき傑作です。

15巻の最後、四葉家の話し合いが描かれました。
「新年の慶春会まで結論は保留」と。

描かれるのはその「慶春会」。
四葉家次期当主の指名。

深雪が当主となれば、達也が不当に扱われることはなくなる。
一方で、深雪は達也以外の男と結婚しなければならなくなる。

この16巻のオススメポイントは、

深雪の葛藤

兄と妹。
好きになってはいけない。
でも……。

一方で、自分が当主となれば、
達也が置かれている環境を良くすることができる。

達也のことが好きという気持ちと、達也のことを思うからこその気持ち。
この相反する感情を抱く深雪の描写がとにかく素晴らしいです。

そして、その深雪に対して、達也は何ができるのか。

交錯する二人の思いに、次期当主を巡る分家らの思惑に。

本作も戦闘・アクションシーンがないわけではありません。
しかし、メインはやはり達也と深雪の関係性、そして「四葉家」。

深雪以外の次期当主候補含め、四葉家の面々が勢ぞろいします。

そして明らかになる達也と深雪の過去。
もとい、誕生の秘密。

あらすじにある「深雪は達也の妹ではない」という『嘘』の意味。

物語の根幹に関わる伏線を回収する回であり、
深雪の達也に対する想いの行方を描く回であり、
達也の今後を考える回です。

この16巻の魅力はやはり、登場人物を絞り、アクションも控えめにし、
ただひたすらに上記三つの事柄に焦点を絞った結果、
より達也、あるいは深雪に感情移入できるという点にあると思います。
劣等生の達也が活躍することによるスカッと感という今までの展開とは根本的に異なります。

主たる登場人物は、
達也、深雪、水波、真夜、葉山、亜夜子、文哉の既知の面々に加え、
他の当主候補として、津久葉夕歌、新発田勝成。
新キャラには明確なキャラ付け、
言ってしまえば敵と味方かもしれない人物というわかりやすい存在として描写されており、
本筋である達也と深雪の物語を邪魔する存在となっていません。

感情を制限され、深雪に対する想いだけを胸に生き、
深雪を守るために行動してきた達也。

その兄を慕い、兄のために何ができるのかを考えてきた深雪。

そんな二人を縛る「四」という数字。
8巻の『アンタッチャブル―西暦二〇六二年―』から始まった四葉の物語に大きな変革が訪れる巻でもあります。

とにかく、これまで15巻をかけて綴ってきた深雪の達也に対する想いに一つの答えが出る巻です。
これまで15巻をかけて示唆してきた達也と深雪の誕生の秘密を明らかにする巻です。
『アンタッチャブル―西暦二〇六二年―』から始まる歪みが明らかとなる巻です。
そして、これからの物語にとても大きな伏線を張る巻です。

魔法科高校の劣等生16 四葉継承編。
まるで最終巻であるかのような濃密な285ページです。
是非お読み下さい!

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自称システムエンジニアのくせに、農学系の地方国立大に通うおかしな生き物。 ひつぎ教育研究所社長。 好物は恋愛小説と生物学、哲学。BL以外はなんでも読む雑食。 一応、将棋のアマ三段。