【書評・紹介】『電車男』 中野独人

2022年5月13日小説,NL(HL、異性愛),恋のライバルなんて必要ない! 二人の関係性だけで描かれ敗者が存在しない恋の物語,エッセー・随筆,大人(恋愛),多様性社会の実現を考える上で読んでおきたい本,もしかしたら今どこかで本当に紡がれているかもしれない恋の物語,ドキュメンタリー,恋愛小説映画(実写),テレビドラマ,岡村慎一郎

2000年代初頭に大ヒット!!
インターネット掲示板2ちゃんねるで実際に行われたやり取りをそのまま書籍化した感動の純愛物語
ネットの温かさ、優しさがここに!

ストーリー
キャラクター
感動度
独自性
温かさ
幸福度
ラブコメ度
電子書籍 なし
他のメディア展開 文庫本、コミック、実写映画、
テレビドラマ、CDドラマ、
朗読劇
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あらすじ

電車内で暴れる酔っ払いから女性を救った、ヲタク青年。女性に縁がない彼は、彼女をデートに誘うべく、モテない仲間達が集うネットの掲示板に助けを求める。励ましは「電車男」と呼ばれるようになった彼に勇気を与え、その勇気は、皆の熱い共感を呼び覚ます。「電車男」は果たして意中の彼女に告白できるのか? 今世紀最強の純愛物語!!

中野独人 『電車男』 | 新潮社 (shinchosha.co.jp)

書評

本作は、約20年前の2004年、インターネット掲示板2ちゃんねる(当時)上で実際された内容をそのまま(誤字・脱字等趣旨を変えない範囲での修正アリ、書き込みも一部のものを抜粋)書籍化したものです。

内容は女性を助けたヲタクがネットユーザー達に助けを借りながら彼女と付き合うために努力していくといったものです。

ネット黎明期、古のネット民達によるこの物語は映画化、テレビドラマ化もされ、人々の感動を呼び、当時まだ蔑まれていたヲタク達が現在のように人権を手に入れるきっかけになったともいえる作品です。

まずは、作者について。前述の通り、この物語の元となったのはネット上でのやりとりであり、明確な作者は存在しません。
「中野独人」はインターネットの掲示板に集う独身の人たちという意味の架空の名前です。
まさに古のネット民達が自分たちで作り上げた作品とも言えます。

また、本作のジャンルについて。
一応本サイトでは小説と設定しています。
この物語、ネット上のやり取りが元ということもあって、どこまでが事実なのかはっきりしていません。
明確な事実は、2ちゃんねる上でこのやり取りが行われたということだけ。
本作の物語の核となる電車男による書き込みが果たして事実なのか、空想なのか、虚実混交なのかは誰にもわかりません。
ということでもしかしたら、小説じゃないかもしれません。ご了承ください。

と、前置きが長くなりましたが本作の書評について。

本作は2ちゃんねる上の掲示板のやり取りをそのまま書籍化したもの故、実際の掲示板のような形の横書きで描かれています。

一人のヲタク(電車男)が柄にもなく電車で女性を助け、そのお礼にとティーカップを貰います。
どうするべきか。お礼の手紙を送るべきか。お礼の電話をするべきか。
電車男はネット民たちに助けを求めます。
「電話をかけろ」、「今日中にかけろ」と議論が巻き起こる中、一人のネット民の問いかけによってそのティーカップがHERMES(エルメス)のものであると判明。
一気にヒートアップする掲示板。

その後ご飯に誘うか、店はどうするか、服はどうするか、何を話すかなどネット民のアドバイスを受け実行に移する電車男。

AA(アスキーアート)や「キタ━(゚∀゚)━!」などのネットスラングもそのままに、書き込まれた時刻も載っているので、その時の緊迫感というかがよくわかります。
電車男と女性(エルメス)のことを我が事のように気にするネット民たち。

ネットには一長一短、良いところ悪いところ両方がありますが、そのネットの良さ、温かさが嫌になるほどよくわかります(批判的な書き込みが掲載されていないということもありますが)。

そして何よりいいのが、これ、純愛なんですよね。
電車男もエルメスも、二人ともとっても良い人なんです。そしてそんな二人の幸せを願うネット民達。
終盤の書き込みなどは本当に感動できます。

実写映画化、テレビドラマ化、コミカライズ、朗読劇化、CDドラマ化、更にはアメリカでのドラマ化まで。
映画の観客動員数は200万人を突破し、2000年代初頭に一大ブームを引き起こし、その後のヲタク層増加、ヲタクの市民権獲得にまで影響を与えたと言われる純愛物語。
是非お読みください!

単行本

文庫本

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自称システムエンジニアのくせに、農学系の地方国立大に通うおかしな生き物。 ひつぎ教育研究所社長。 好物は恋愛小説と生物学、哲学。BL以外はなんでも読む雑食。 一応、将棋のアマ三段。