【書評・紹介】『僕の知らない、いつかの君へ』 木村咲

2022年8月19日小説,NL(HL、異性愛),高校生(青春),高校生(恋愛),もしかしたら今どこかで本当に紡がれているかもしれない恋の物語,青春小説,恋愛小説木村咲,カスヤナガト

偽りのブログを介して知り合った女の子は学校の同級生?
青春とアクアリウムと恋愛と
それは嘘と偶然から始まった、まだ知らないきみとの恋の話。

著者:木村咲
装画:カスヤナガト

ストーリー
描写
キャラクター
結末が気になる度
独自性
電子書籍 有り
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あらすじ

アクアリウムが趣味の高2・水嶋慶太は、「ミキ」という名前を使い女性のフリをしてブログを綴る日々。そんな中、「ナナ」という人物とのブログ上のやり取りが楽しみになる。だが、あることをきっかけに慶太は、同じクラスの壺井菜々子こそが「ナナ」ではないかと疑い始める。慶太と菜々子の関係が進展するにつれ、「ナナ」はブログで「ミキ」に恋愛相談をするようになり、疑惑は確信へ。ついに慶太は秘密を明かそうと決意するが、その先には予想外の展開が―。

僕の知らない、いつかの君へ 木村咲 スターツ出版文庫

書評

はい。私が大大大好きなもしかしたら今どこかで本当に紡がれているかもしれない恋の物語です!
この小説の良いところはですね、もう評価を見ればわかると思うんですけど『キャラクター』です。
特に主人公達の周囲を取り巻くサブキャラが本当に良い味を出しているんです。

まずは、主人公の姉である『水嶋美貴』。主人公がブログで成りすましているミキの名はここから来ています。
「好きでも彼氏でもない男にもらって嬉しいものなんか、お年玉くらいのもんじゃない」、「好きでもない男からプレゼントもらって喜ぶ女がどこにいんのよ。物で釣ろうなんて甘いっつの」って臆せず口にするような女性なのですが、この方が後半大活躍します。この小説で一番盛り上がる部分を形作るのが彼女です。

そしてそんな彼女のことが好きな『森田篤』。主人公の一つ上の学年で、主人公達が通う高校の弱小野球部を甲子園出場に導いた、関西の中学出身の4番ピッチャー。もうこれだけで一つ小説が書けそうな人物なのですが、この先輩が主人公に大きな影響を与えます。
『美貴』 の弟である主人公に自分の恋に協力して欲しいと頼むところから二人は知り合います。『 美貴』 の誕生日に野球部の後輩まで巻き込んだプレゼント作戦を血行するなど体育会系の脳筋バカと言ってもような人物で、序盤はナニコイツって目で見ていたのですが、物語が進むにつれて私の評価は180度変わりました。もうね、いいやつなんですよ。めっちゃいいやつなんですよ。脳筋だけど。
最終的にこの人物のことを知って欲しいがためだけにこの小説をおすすめできるくらいには好きになりました。

そしてもうひとり。主人公のクラスメイトである『七瀬さん』。クラスの女子の中心的な人物でとても可愛い(らしい)所謂一軍の人物です。そんな彼女は主人公に気があるらしく度々アタックをかけてきますが、まあ主人公からはぞんざいに扱われます。所謂当て馬なわけですが、当て馬だけで終わらず、主人公と友人のような関係が続きます。それがまあ、いいやつなんですよ。この人も。

という風にこの小説はサブキャラ達が素晴らしいです。
もちろん、主人公やヒロインの『ナナ』も良いキャラでストーリーも面白いのですが、やはり私がこの小説をおすすめする一番の理由はサブキャラ達の存在です。
そんなサブキャラ達に囲まれた少年と少女が紡ぐ儚い恋の物語。是非お読みください。

文庫本

電子書籍 

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自称システムエンジニアのくせに、農学系の地方国立大に通うおかしな生き物。 ひつぎ教育研究所社長。 好物は恋愛小説と生物学、哲学。BL以外はなんでも読む雑食。 一応、将棋のアマ三段。