【書評・紹介】『シュナの旅』 宮崎駿
チベット民話を題材に宮崎駿が描く
少年と少女と黄金の穀物を巡る物語
| ストーリー | |
| 絵 | |
| キャラクター | |
| 美しさ | |
| 電子書籍 | 無し |
| 他のメディア展開 | ラジオドラマ |
あらすじ
谷あいの貧しい小国の後継者シュナは、実りの種をたずさえはるか西方にあるという豊穣の地を目指す……。宮崎駿がチベット民話を題材に描く絵物語。
アニメージュ文庫 シュナの旅 – 徳間書店 (tokuma.jp)
書評
何も宮崎駿監督が描いた作品であるから高評価にしているわけではありません。
作品がただ、素晴らしいのです。
題材となっているのはチベット民話。
『犬になった王子』。
ですが、日本人にとってはこういった方がわかりやすいでしょう。
『ゲド戦記』の原案。
『風の谷のナウシカ』を感じる作品。
『もののけ姫』に登場した「ヤックル」の初登場作。
『天空の城ラピュタ』にも繋がる作品。
そんな本作を一言で表すとするならば
清廉潔白な少年と少女。
これは宮崎駿作品の主人公に共通する特徴であると思います。
本作もその例に漏れません。
加えて、元となったチベット民話も汚れのない物語であるからこそ、その清廉さがより際立っています。
しかし、これもまた宮崎駿作品に共通する点ですが、
全てが理想的なわけではない。
人の愚かさも描かれています。
そしえ、これもまた宮崎駿作品といえばですが、
ラピュタにいる動物たちという形容が一番しっくりきます。
そんな自然の中にいる異物。
物語は、飢えを無くす「黄金の穀物」を求めて、王国の王子が旅に出るところから始まります。
汚れとは無縁であろう谷の底の小さな王国から。
王子は、王国の外で様々なことを知ります。
それこそ、人の愚かさを。
そんな中で、「黄金の穀物」のある場所を知り、
清廉な少女と出逢い……。
宮崎駿作品全てに言えることですが、私にはやはり、その裏で何かを暗示しているように思えてならないのです。
例えばこの作品には、「みどり色の巨人」が登場します。
イメージとしては、巨神兵がより精霊的になった感じと言いましょうか。
そして、読んでみて思うのです。
この巨人はなにかに似ていると。
まあ自分勝手な解釈を並べすぎて変な先入観を持たせてしまうのは本意ではないので詳細は書きません。
とにかく、宮崎駿作品。
特に、『風の谷のナウシカ』や『もののけ姫』が好きな方は絶対に好きな作品です。
断言できます。
強いて気になった点を挙げるとすれば、民話が元となっていることもあって、主人公らの個性がほぼ無い点?
ですが、この主人公らのキャラクター性の無さが、このとつとつとした物語の美しさを際立たせていると思うので、欠点では決して無いと思います。
イメージとしては民話というよりも神話のように感じる作品です。
それもギリシア神話など、神が人のように振る舞う神話ではなく、
一神教の経典に書かれていそうな感じの。
宮崎駿が描く少年と少女と黄金の穀物を巡る物語。
是非お読み下さい!
文庫本
dorasyo329
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